田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

初冬の前田森林公園観察会

2021-12-05 15:54:07 | 環境 & 自然 & 観察会

 初冬の森はほとんどの木が葉を落とし、静かにたたずんでいた。しかし、専門家に導かれるといろいろと興味深い森の様子が見えてきた。また、写真には撮れなかったが、エゾフクロウやエゾリスが樹間に遊ぶ姿も目撃することができた。

   

 秋の前田森林公園観察会(10月17日)に続いて、本日開催された初冬の観察会にも参加した。その大きな理由は、観察会を主催する凸凹クラブの案内ガイドの石田氏のユーモアを伴う確かな説明を再びお聴きしたいと思ったからだ。

   

※ 観察会の集合場所となった前田森林公園の事務所&集会所です。

 観察会は前回同様およそ20名くらいの参加者だった。公園内には一昨日降った雪はほとんど消えていたが、気温は上がらず上下ともに冬仕様で参加したのだが終始肌寒い感じは否めなかった。

 私たちは石田氏の案内でおよそ2時間にわたって、森林公園内を歩き回り、いろいろと興味深いお話を伺うことができた。   

    

※ ヤマナラシの葉です。その葉柄の葉に近い部分が平ったくなっています。

   

※ ヤマナラシの大木です。木の中間上部のところにヤドリギが見えます。

   

※ ヤマナラシと同じ属のドロノキです。

 その中で私が最も興味を抱いたのは、ヤマナラシという大木の葉のことだった。ヤマナラシの大きな葉の下に付いている葉柄の部分が他の葉とは違い断面が丸くはなく、左右方向につぶれた形状になっている。(伝わったろうか?つまり断面が平べったくなっている)そのために葉が風に揺れやすく、いつも葉がひらひらと舞っているよう見えるのだという。葉がいつもひらひらと舞うように見えるのはポプラの葉がそうであるが、実は両者は同じハコヤナギ属ということで同じような葉柄の形状をしているそうだ。

   

※ 最初に紹介されたチョウセンヒメツゲを見入る参加者です。大木はミズナラです。

 その他にも興味深いことをいろいろ伺ったが、メモできたことを写真と共に可能なかぎりレポしていきたい。

   

※ チョウセンヒメツゲの小さく厚い葉です。

   

※ チョウセンヒメツゲの実です。(ピントが甘いですが、真ん中のものです)

   

※ チョウセンヒメツゲの花芽がたくさん見えます。(白い部分)

 公園の入口近くに背丈の低いチョウセンヒメツゲが植わっていた。何気なく見ていると見過ごしてしまうが、葉先のところに小さな実が付いていた。また、枝にはたくさんの花芽も付けているところを確認することができた。

   

※ 鮮やかな白樺の林です。

   

※ シラカバの幹内に侵入したカミキリムシの幼虫がシラカバの根元から外へ出るとき開けた穴です。

   

※ そのカミキリムシの幼虫を捕食するためゲラ類がシラカバに空けた大きな穴です。

 前田森林公園は公園の一部に植わっているシラカバの木がその木肌を美しく見せている。ところがそのシラカバにはカミキリムシの幼虫が寄生するらしい。シラカバの木に寄生したカミキリムシの幼虫は樹内に入り込み、樹液を吸ってやがてはシラカバを枯らしてしまうらしい。シラカバの木の根元にはその幼虫が抜け出た丸い穴がいたるところに見え、痛々しい姿だった。

   

※ 樹上に止まったエゾフクロウを望遠でねらい、トリミングしました。逆光で残念。

   

※ 左から順に(下の分を参照ください)

   

※ トドマツの実です。トドマツはマツボックリの形で地上に落ちることはないそうです。

 エゾリスが好むマツの樹のところに案内された。その周りにはマツボックリがたくさん落ちていたが、マツの木の高いところで一匹のエゾリスが盛んにマツボックリを食していた。また、同じところでエゾフクロウが飛ぶ姿も目撃することができた。しかし、両者ともカメラに収めるには遠すぎた。ここで石田氏はご自身が収集した各種のマツボックリを披露してくれた。左から、チョウセンゴヨウマツヨーロッパクロマツキタゴヨウマツアカエゾマツのマツボックリである。

   

※ 公園内の遊歩道脇に植えられているライラックです。

   

※ そのライラックの脇から台木のイボタが育っていました。

 公園の通路脇にはライラックの木が植わっていたが、全て葉を落としていた。しかし、その中の一本が緑の葉を付けていた。それはライラックではなく、イボタの木だという。実はイボタはライラック台木として使用されたそうだが、ライラックの木が弱ったためにライラックに代わってイボタの木が芽を出し成長した姿だそうである。

   

※ プラタナスの木肌です。その表皮をめくると…。

   

※ 写真中央に小さな白い虫が4匹見えます。

   

※ ウェブ上から拝借したプラタナスグンバイの拡大写真です。

 次に石田氏は私たちをライラックの木の下に案内してくれた。そして各自に虫めがねを提供してくれた。ライラックの木肌は薄く剥がれてくるが、その木肌を剥がすと小さな虫が現れた。プラタナスグンバイというプラタナスにとっては害虫で、樹液を吸い取られやがて枯れる原因となるということだ。体長はせいぜい5~6mmといった程度だが、かなり多くのグンバイが寄生していた。

   

※ ウラシロハコヤナギの特異な木肌です。若いうちはもう少し白いようです。

   

※ モナタンマツです。この木の葉は二葉松です。

 その他にも説明を受けたことがあるが割愛したい。石田氏の案内は期待どおりに素晴らしかったし、勉強になった。来春5月には春の観察会を予定しているとうかがった。できるかぎりまた参加したいと思わせてくれた初冬の観察会だった。