鮎と戯れて・・・魚族に感謝

東北地方を中心とした短い夏のあまり多くない鮎釣りの記録。家族に感謝して。近くの広瀬川の環境等にも拘るも、オフは時事問題も

大菩薩峠

2008-11-09 23:31:10 | お知らせ

 下の写真は、ご覧のとおり中里介山の「大菩薩峠」です。

 角川文庫版で、全27巻という膨大なものです。

 もともとの初版は、1巻が昭和30年(7月5日)、最終巻の27巻が昭和31年(7月15日)です。13ヵ月かかっての刊行です。 

 私のものは、1巻が昭和45年6月30日発行の33版・定価160円、27巻は昭和44年9月30日発行の7版・定価140円です。

 2枚目の写真にもありますように、読了したのは学生時代の昭和45年・1970年・12月5日(土)午後5時43分30秒となっています。

 

 

 実際には今はなされていませんが、パラフィン紙?のカバーがついています。昔は岩波文庫もついていました。いまは紙の綺麗なカバーがついていますが。

 「大菩薩峠」はこれでも未完なのですね、未完の長編、世界一の長編小説です。

 「大菩薩峠」というと、ほんので出しの机龍之介による罪もない子どもと巡礼中の老人の、有無を言わせない惨殺が有名ですが、実際はそんなものではなく、深い仏教思想に裏付けられた人間界の諸相を描いています。いろいろな女性が個性的に豊かに描かれています。

 今は角川文庫にはないようですが、何年か前に筑摩書房でハードカバーの本として発行されていたし、筑摩文庫にはあるのではないでしょうか。是非とも読んで欲しい、とくに若い人に読んで欲しいと思います。

 読み進むと物語の世界に引きずり込まれ、止められなくなります。 世界一の長編小説に是非とも挑戦してみて欲しいと思います。

 

 

 今の私にはもうとても読めません。 字が小さくて細かいこと、1ページにぎっしり詰まっています。 残念ながらルーペがないと字が見えません。

 学生時代は視力は悪くはなかったし、すらすら読めたのでしょう。 何といっても面白くて、次ぎどうなるのか待ちきれない。 一日1巻くらいずつの割合で読み進んだと記憶しています。 入手するのに手間取り、仙台市の書店を探し回ったりもしました。

 

 第1巻のはじめに著作者の言葉があります。

 

 ”この小説「大菩薩峠」全篇の主意とする処は、人間界の諸相を曲盡して、大乗遊戯の境に参入するカルマ曼荼羅の面影を大凡下の筆にうつし見んとするにあり。 この着想前古に無きものなれば、その書面絶後の輪郭を要すること是非無かるべきなり。 読者、一染の好僧に執し給ふこと勿れ。  至嘱   著者謹言”

 

 新自由主義、市場原理主義に侵されたグローバリズムが破綻をきたしている現在だからこそ、人間性を回復するためにも是非一読をお勧めします。 決して高い買い物にはなりません。 逆に大きなお釣りが来ます。 是非とも挑戦してみて欲しいものです。 日本にこうゆう作家、こういう作品があったということを知って欲しいです。 世界に誇れる日本の宝、不朽の国民文学ではないでしょうか。

 

 


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