津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

書状を読む(四)

2012-05-23 20:02:53 | 史料

 元和五年正月五日書状(折紙)


     尚々其方使者ハ方々江参之由候間はやき便宜ニ此状遣候 已上
  為年頭之祝儀被差越使者 太刀一腰・馬一疋代銀壹枚到来幾久と珎重ニ候 次ニうら付肩
  衣三ツ・堺之たまり二桶祝著ニ候
一 小笠原右近殿江いつそや御約束申候中津之殿主儀 右近殿次第ニ可被渡候 幸舟所ニ御入
  候間殿主うけ取奉行御乗せ候て舟御下候へと被申遣 請取奉行下次第ニ念入色め可被渡
  候 立御用満足申之由可被申越候 恐々謹言
                   越
        正月五日     (ローマ字印)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 元和元年大坂の陣において小笠原秀政・忠脩父子は戦死している。右近こと二男忠眞は傷を負ったが見事な鑓働きをしている。
其の故をもって信濃松本八万石を相続した。兄忠脩の未亡人である亀姫を家康の命により正室とした(元和二年)。
そして元和三年七月廿八日には播磨の明石十万石に転封となった。

忠眞は忠利室・千代姫の兄である。父と兄を失った忠眞に対し心のこもった援助をしている。
元和一国一城令にもかかわらず、支城中津城も城割を免れている。この中津城の天守を明石に差し上げるというわけである。
さて、この話が実行されたのかどうか私は承知していない。どなたか御存知であればご教示頂きたい。 

 

小笠原忠眞 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E7%AC%A0%E5%8E%9F%E5%BF%A0%E7%9C%9F

明石城    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E7%9F%B3%E5%9F%8E

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書状を読む(三)

2012-05-23 08:22:05 | 歴史

 元和元年五月十四日付、内記(忠利)宛忠興の書状である。(書状下部の空白部分は折紙であることによる)

        小笠原殿父子打死候
        大學殿大てからにて
        やりきす数ケ所おハれ
        候へとも少も無別儀候
     十二日之書状今日
        ふしミの内竹田邊之寺ニ
     十四日於吉田令披
        御入候間御目見之後
     御入候間見候其方事まつ
        被参候て可見廻候 已上
     すくニ伏見へ被参

     公方様御目見仕

     それより此地へ

     可被越候

     大御所様へ御目

     見ハ上州まて我々

     様子申遣可申候可

     被得其意候 恐々

     謹言

      五月十四日  越
              忠 花押

       内記殿
          御返事 
                                                 (大日本近世史料・細川家史料一 九七 p123) 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 忠利室千代姫(保壽院)の父親・秀政と兄・忠脩が戦死したことを知らせる書状である。大學とは忠脩の次弟、後の豊前小倉藩主となる忠眞であり、傷を負ったものの(命に)別儀なく大手柄を挙げたというものである。お寺で養生しているのであろう、これを見舞うように指示している。この時期忠利は小倉から全軍を率い出陣するが、忠興からの報告により戦いの終わったことを知り軍を撤する。忠興のこの書状の通り、自らは上京して家康に謁して賀を述べている。
当時忠利30歳、千代姫19歳、結婚して六年後のことであり、千代姫にとっては深い悲しみの年である。 

小笠原秀政 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E7%AC%A0%E5%8E%9F%E7%A7%80%E6%94%BF

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする