South Is. Alps
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Coromandel
Coromandel, NZ
Square Kauri
Square Kauri, NZ
Lake Griffin
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ヒュー・ブロディ「エデンの彼方」

ヒュー・ブロディ、2004、『エデンの彼方:狩猟採集民・農耕民・人類の歴史』、草思社("The Other Side of Eden: Hunters, Farmers and the Shaping of the World ")
ヒュー・ブロディはトリニティ・カレジで人類学を学んだ後、クイーンズ大学で社会人類学を教え、現在は、南アフリカのサン研究所で「ブッシュマン」の研究をおこなっている人類学者であり映像作家。主要な作品としては、本書のほか"Maps and Dreams"があり、映像作品として"Hunter and Bomber"がある。
彼は、狩猟採集民こそが定着民であって農耕民は移動民であるという。狩猟採集民は、自然の稔りを享受するためには生活の場に生きる動植物に関する詳細な知識なくしては生存できず、生活域における環境を知り尽くす必要がある故に移動できないという。それに対して農耕民は環境に対して大きく手を加えるので、その結果として、新しい生活域に進出することが可能であるという。彼は、農業革命以降、農業地域が急速に拡大していったこと、さらには、ヨーロッパによる新世界への進出もまた、農耕民は移動民であるという自説の論拠とする。
ブロディは彼のフィールドワークをアイルランドの農民で開始した後、狩猟採集民に関心を移す。最初は、ハドソン湾西岸のイヌイットであり、続いてブリティッシュコロンビアのダネ・ザ(ビーバー・インディアンとよばれる)である。そして、現在は南アフリカでサンの研究をしているらしい。たとえば、 Botswana, the Bushmen/San, and HIV/AidsopenDemocracyに寄せている。ついでながら、同じサイトに、アボリジニに関する論考 You have to have a story: Aboriginal memory and opportunityも寄稿している。
本書はブロディの二つの主要なフィールドのエスノグラフィーとよんでも大変興味深い。第一章の「イヌイット語を学ぶ」では、言葉を学ぶことは生活そのものを学ぶこと、文化そのものを学ぶことが示される。また、第三章の「時空を翔る」では、ダネ・ザの言語を学ぶことを断念するのだが、著者は英語を媒介としながら、かれらの神話について学び、神話の語りと現代社会に生きるかれらの生活の変容について記述する。第二章は「天地創造」と名付けられていて、聖書の創世記から、狩猟採集民と農耕民の相違点を示そうとする。彼は、ユダヤ系イギリス人で約束の地を与えられたにもかかわらず、彼の地を去らねばならなかったサバルタンのひとりである。
第四章は「言葉を奪われて」というタイトルで、カナダの寄宿舎問題や各国の言語政策が批判される。第五章は「農民の神、狩猟採集民の神」と題されていて、神話の問題とキリスト教の世界観との関連が言及される。第六章は「狩猟採集民と人類の歴史」では、人間観や異人観さらには、チョムスキーの言語理論やレヴィ=ストロースの構造主義が批判され、彼の人類学観が披瀝される。
彼の筆致は、狩猟採集民に入れ込みすぎているとの批判も出来ようが、少なくとも、一般書としては蒙を開くものといえよう。加えて、断片的ではあるが、映像作家でもある彼の背景をあわせて、エスノグラフィーとしても良質である。寝本にしてみてもいいのではないか。

2004-02-24 23:59:22 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


青蕗とツブ貝の煮浸し

青蕗とツブ貝の煮浸し(蕗の皮と筋を取り、さっと湯がき、冷水に入れる。だし汁でツブ貝をさっと煮ておいた汁にいれ、煮浸しにする)、切り干し大根に煮付け、キンキのみそ漬け、小松菜のごま和え、わかめと豆腐のみそ汁

2004-02-24 12:31:09 | 夕食・自宅 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )