すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

脱・自動販売機の人

2007年10月15日 | 読書
 養老孟司氏が「こんな日本人もいる」というその人は、今ラオスに住んでいる。
 若原弘之さんは、幼い頃から蝶を採ることを一番に優先してきた人である。

その半生については、季刊誌『考える人 №22』(新潮社)に詳しい。

 取材した編集部が、若原さんに「日本人をどう思うか」と尋ねた。
 即座に返ってきた答がこれである。

 「自動販売機」。その心は「なにを押しても決まったものが出てくる」
 
 二通りの解釈ができるのではないかと思った。
 一つは、日本人全体がステレオタイプになっていること。
 もう一つは個人として見た場合、入力→出力はそこそこ行っているが、その中はブラックボックス化していること。

 この二つはもちろん互いに関連を持っているが、自己点検の意味で後者がより強く響いてきた。

 仕事であっても娯楽であっても、私たちはブラックボックス化に慣れきっている。また社会もそれを要求している傾向が強いのではないか。
 この問題をどう考えればいいのか、どう処理していくか…様々な考えはどうあれ、すでに結論は準備されていて、それに近いものしか認められない。
 そうしたパターンをくりかえすと、自分自身の思考回路が機能不全に陥ることは明らかだ。

 構造をしっかり把握し、存分に機能を働かせれば、出力はもっと個人的なものになってゆくのではないか。
 自分の機能と構造を見つめ直す必要がある。