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桜と絵本と豆乳と

超乱読で作り笑顔を

2022年06月14日 | 読書
 『文豪たちが書いた 泣ける名作短編集』(彩図社)を読む。太宰治の『眉山』に始まり、菊池寛の『恩讐の彼方に』まで計10篇。半分は未読の作品だった。「泣け」はしなかったが、まあ味はあるわな…やはり芥川の『蜜柑』はドラマだ…鴎外『高瀬舟』の深い色調は独特だ…と、このような感想しか持てずに読了だ。


 文藝春秋誌がかつてSPECIALとして出版した2冊を再編集した『老後の真実』という文庫。健康や経済、住宅から恋愛まで、その道の専門家が「新しい常識」を記してある。脳研究者池谷裕二の「歳のせいで物忘れがひどいという誤解」は真面目に読み入った。要は思い込みをなくす…それが老いへ向かう唯一の姿勢だ。



 このシンプルな表紙絵に惹かれつい手にとった。『満月笑顔はすべてを解決する』(佐藤康行 河出書房新書)。「心の専門家」と称する著者の経歴をみると、メンタルヘルスの塊のような気配が漂う。熟読しなくても言いたいことは予想できるし、その通りだった。自分で格言を作れば「作り笑顔が、作る幸せ」となる。


 お気に入りの作家なので再読しようと手に取った『ショート・トリップ』(森絵都 集英社文庫)。48篇の掌編集だ。読みだしたら何だかつまらない。7年前に単行本を読んだメモにもそう書いていて納得。名手にも合わない設定があるのだろう。巻末にあるいしいしんじによるエッセイ「旅のかす」の方が味わいが深い。


 どこか集中しきれないまま活字を眺めた感のある4冊。その訳はある程度はっきりしているのだが、それでもただ「読めばいいのだ」という根本義に従う自分というものも見えてきて、思わず「作り笑顔」をしてしまう。いつか思い出す。