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嗤える現実笑える噺

2023年03月18日 | 雑記帳
 久しぶりの落語鑑賞。春風亭一ノ輔は一度しっかり聴いておきたかったので、早々に予約しいい席(4列目中央)がとれた。その後、数日経ってからなんと一之輔が「笑点」レギュラーになるという驚きの知らせがあり、その効果は絶大で大ホールはほぼ満席という状況だった。一之輔のマクラも予想通りその顛末で…。


 全国各地で行われている落語の会で、観客動員が多いのは笑点メンバーだという事は以前から聴いていた。数人いる私のお気に入りはそこではないので、「通」(笑)好みの会に足を運んだことは多い。そうやって地道に落語会を作ってきた(徐々に観客を増やした)噺家も少なくない。一之輔のその一人だったようであり…。





 初めは数十人の小ホールも満席にならず、各地の愛好する主催者たちの努力によって一歩ずつ積み上げてきたのだ。だいぶメジャーになったここ数年も、コロナ禍があり状況は厳しかったという。それが笑点レギュラーになったとたんに様変わりし、あっという間に席が埋まる現実と悲哀?を可笑しく語ってみせた。


 演目は「粗忽の釘」。客層を意識したのか、妄想爆笑筋を入れたのでホールは盛り上がった。流れるような口調と間のとり方などやはり一流の気配が漂う一席である。色物は音楽パフォーマンスを演じる「のだゆき」という女性。いつぞや見た気もするが、まずは合格点。そして会のトリは柳家三三だ。6年ぶりとなる。


 なんとその時は、名人柳家小三治の前座として噺を披露したことに驚いた。今回は古典「井戸の茶碗」。マクラのくすぐり方もさすがの域に達している。人物の口調を変えるのではなく「心」を変えるといったのは師匠の小三治だったが、見事に継承している。一之輔、三三の高座でだいぶ笑ったので免疫力も高まった。