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本物の時代遅れ

2023年03月21日 | 雑記帳
 あるバラエティ番組で若手俳優が好きな曲として『時代遅れ』を挙げたのは意外だった。好みは人それぞれだろうが、20代前半で♪一日二杯の酒を飲み さかなは特にこだわらず…♪は、到底似合わない。あえて言えば♪目立たぬように はしゃがぬように 似合わぬことは無理せずに♪という箇所への共感なのか。


 「時代遅れ」という語で済ます文脈が問われるほど、時代はスピードを増している。WBCの試合はTVで見るのではなくネット視聴であることは、ごく普通になっている事実を、週末に二人の娘夫婦と会話していて知った。機器ごとの放映時間の僅かなズレを楽しんでいる様子は新鮮でもあるし、疎外感もある


 「時代」に「遅れる」とは、つまり現実を把握できない、現実に見合った言動ができないという意味と解釈すれば、典型的なのは先日の夜のこと。ここ数年ずっと感じてはいたが、タクシーや代行運転などの減少が進んでいる。平日の夜間はJR主要駅前にもタクシーは1台も並んでいない光景は、もはや普通なのだ。




 隣市での落語会の後に駅前の居酒屋で遅い夕食をとり、タクシー乗り場に行ったら、車はおろか人っ子一人いない。高座で落語家が駅に降り立ってあまりの人通りの少なさに驚き、会場満席の客に対して「皆さん、どこから出てきたんですか」とからかった現実は、夜が更けると益々深刻を増す。もはや笑うしかない。


 電話で頼んだら30分以上かかると言われ、徒歩で戻ると覚悟を決めた。Mapによると宿まで2.7キロ。寒いわけではなくそれではと薄暗い街灯の道を進む。1キロほどで偶然空車が見つかる。歩くこと自体が目立っているし、はしゃがぬように、自力初志貫徹と似合わぬことをせず素直にタクシーへ乗り込んだ。