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桜と絵本と豆乳と

今年度の読み納め一冊

2023年03月25日 | 絵本
 今年度、読み聞かせをした中で印象深い一冊を挙げるとしたら、これだろうか。岩崎書店が出している「恋の絵本」シリーズで、この本以外の著者は桜庭一樹、辻村深月、白石一文、村田沙耶香というラインナップである。小説好きなら興味が湧くだろう。そうでない自分もたまたま書架から見つけて読み入ってしまった。


『まっくろいたちのレストラン』
  (島本理生/作 平岡瞳/絵)岩崎書店 2020.5




 一人きりで暮らすまっくろいたちが始めたレストラン。ある日、川向うから訪れたうさぎのおじょうさまに恋をする。しかし婚約しているうさぎの王子様が現われ、食事を終えた帰りにワシに襲われるところを…という展開の末に…。筋に若干飛躍があり、大人なら容易にわかるが…と少し迷いつつ練習を続けた。


 高学年へは機会がなくドーカナアと思いつつ3年生で語ってみた。PPTに取り込む際に時間経過等を表わす工夫を試みた。読み込んだのでそれなりに表現できたようだ。以前記したが「メッチャいい話じゃん」と一人の男子が言ってくれたことが嬉しく、今度は1年生が多い放課後教室で再読。達成率は85%(笑)か。


 地の文は全体的に落ち着いた調子で語る。間が十分に必要な箇所が多い。さらに「恋」を意識させるため「にっこり」「ぎゅっとだきしめる」「じっとみつめて」の部分に特に留意したい。当たり前のことだが短い絵本ゆえに一語の重さが際立つことを感じさせてくれた。女性の読み手なら、またイメージが違うだろう。