すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

参参参(十三)重症患者日誌

2023年03月29日 | 読書
 言うまでもなく、「健康病」重症患者の記録だな、こりゃ。
 それでも読書は心の栄養になるか。


『健康という病』(五木寛之 幻冬舎新書)

 およそ5年前の発刊で、『日刊ゲンダイ』紙の連載を集約した一冊。当時から「~~~~という病」という書名は流行のようになっていたので、売れ筋をねらったのだろうが、「健康」と「病」をつなぐのはいかにも逆説的だ。一文で表わせば帯文にあるように「健康を過度に気遣うことは、深刻な病気である」。具体的には、まさに洪水・津波のような健康情報に溺れることがないように、という戒めである。類書の多くも言いたいことは一貫している。「健康情報には定説はあっても、唯一の解はない」「自分の身体の声を聴け」…それが出来ないまま、健康オタクと自認することは「健康病」に罹っているという診断だろう。




『免疫力を高める生き方 食べ方暮らし方』(安保徹  芽ばえ社)

 安保教授の本も結構読んでいる。これは講演録+免疫力アップの基礎知識という形で構成されている。ここでも「自然治癒力」という言葉がポイントになる。「治るために避けられない不快なステップ」とは、発熱や痛みなどに対するふだんの向き合い方を考えさせられる。それは最終章「医療の未熟さと国家の未熟さ」にも通じるところがある。コロナ禍の経緯を出すまでもなく、常に責任回避ができるように先回りして行い、結果「体質」「力」が弱まっていくような繰り返しを、我々はいつまで続けるのだろうと考えているのは、私だけではないはずだ。



『ほとんど食べずに生きる人』(柴田年彦  三五館)

 書名だけ見ると小説にもなるかなと思い浮かぶ。いや怪奇モノではないのだから…。この本には「監修 安保徹」と記されていて、単なるダイエットとは次元の違う「超低カロリー食による健康維持」の実践研究を、自らの身体を使って実証していった記録と考察、そして「少食・微食」の提言がなされている。しかし正直「食」を人生の大いなる楽しみにしている自分は、避けて通りたい内容だ。常識にとらわれず「不安・不快」を乗り越えた著者には敬意は表すが、真似はできない。ただ一つ副題にある「『引き算』の生き方革命」という思考は、焦点化できれば、何かしらで実践する齢になっている。