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ひとりぼっちは泣いていい

2021年09月18日 | 絵本
 小学生低学年の頃は泣き虫だった。3年生になって「これじゃいけない」と心の中で宣言したことを覚えている。それは成長と呼べるのかもしれないが、感情を抑え込む術を身につけたのは狡さの始まりだったかと思ったりもする。このシンプルな絵本には妙に共感してしまった。「ひとりぼっち」は誰でもさびしい。


『なくのかな』(内田麟太郎・作  大島妙子・絵  童心社) 



 休日の公園だろうか、それともお祭りの縁日のような所だろうか、「おとうさんと おかあさんに はぐれて」「ぼくは こらえていたけど」…と切り出し、すぐに泣くのではなく、自分以外の存在に置きかえて想像してみるのだ。最初はオニ、そしてオオカミ、さらにはサムライ、そしてオバケまで…みんな泣いている。


 泣くまで様々な思いが揺れ動くことを、キャラクターを登場させながらユーモラスに描いている。「だれでも みんな なくんだよ みんな ないても いいんだよ」…泣き虫の子どもは、ほっとするだろう。もしかしたら、大人も抱える状況の違いがあっても安堵感を抱くかもしれない。そんな雰囲気のある一冊だ。


 「泣き虫の人はいるかな?」「お出かけのときにはぐれたり、迷子になったりしたことがある人はいるかな?」と、そんなふうに切り出すだろうか。自分も2年生までは泣き虫だったと白状しようか(笑)。さて読み方は、きっとキャラクターに合った感情的な形ではなく、淡々と文章を発したほうが沁みていく気がする。


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