「ベトナムの風に吹かれて」小松みゆき
著者はベトナムで働く、日本語教師。
母が要介護・認知症となる。
いったい、どうしたものか?
熟慮の結果、母親をベトナムに連れて行って介護する、という決断をする。
特殊な事例ではあるが、参考になる点もあり、興味深く読めた。
P46
母は自分の生きてきた時代に興味があるようだ。田舎にいるとき「認知症」というだけで、やっかいもの扱いする傾向があったような気がする。けれども一緒に暮らして分かったが、認知症であっても「知りたい」という気持ちは強いし、その場の会話はまともだと思う。だた記憶が飛ぶことや物忘れ、思い違い、思い込みはある。このことを家族や周囲の人がうまくカバーできるか、どう受けとめるかが課題だと思う。
P156
ちなみにハノイを流れる川はソンホン(紅河)。その河の内側の町がハノイ。漢字で書くと河の内なので「河内」と書いてHa Noiとなる。
P159
サバから見える一番高い山は、ファンシパンといい、3143メートルあるベトナムの最高峰だ。
PS
母子を☆(ぼし)と書いたり、婆さん=BAさんとしたり、言語感覚に首をかしげる箇所もあるが、概ね、読みやすい文章だ。
【ネット上の紹介】
ベトナムの首都ハノイで、日本語教師として働く著者。新潟に住む81歳の母とは離れて暮らしていたが、母の認知症がひどくなり介護の必要性が増したことから、母をハノイに迎え同居生活を始めた。人間関係の濃い下町の旧市街や旅先での緑豊かな山々の光景に刺激され、母はイキイキと昔の思い出を語り出す。転倒による大怪我や失踪事件などのトラブルにもめげない母娘。等身大の海外介護の日常をユーモラスに綴った感動のエッセイ。