前回、貼付けた東大の児玉龍彦さんの国会での演説、この映像が余りに広く拡散したせいか、早速、政府(か誰か知りませんが)は手を回して、Youtubeから削除したようですね。
別バージョンのビデオとその文字起こしを、「みんな楽しくHappy♡がいい♪」にあるのを知りましたのでリンクしておきます。
「カナダde日本語」で、戦う官僚、古賀茂明氏に陰湿な嫌がらせがされているという話。「官僚ども」と私も十把一絡げで言いますけど、個人レベルではこのように国民のために真摯に取り組んでいる人もいます。私も以前は大学病院という「組織」の一部にいたので、日本の組織の「自己保存本能」というもののやっかいさを多少は知っています。つまり、病院という組織の利益とその顧客である患者さんという個人の利益が相反する場合、「ヒポクラテスの誓い」は破られる、ということです。官僚組織と国民の関係もそうでしょう。従来、「お上」の意識、エリート意識の強い官僚ですから、そもそも官僚には「ヒポクラテスの誓い」などというものさえ存在しません。必死に勉強してT大に行ったのも、国民に仕えているフリをしているのも、安定に定年まで税金で喰わしてもらって、定年後は天下って不労報酬をもらう、という自己保身が動機であったりするわけです。組織を構成する人間の動機が「行政を通じて社会を良くしたい」という情熱ではなく、一生安楽に過ごしたいという利己的理由の場合、組織のもつ集合的保身意識は始末に終えないものになるのも当然でしょう。
前回の、政府の現地対策本部の役人が、震災後、何と初めて(!)住民と持った話し合いのビデオ、この「組織」という化け物に操られた役人の哀れさがさらけ出されています。
対話を始める前提の確認をしようと、福島の住民代表の方が、「福島県民にも他の国民と同様に、被爆しないで健康な生活を送る権利がありますね?」と、日本国憲法で定められた国民の権利に関する当然の問いかけをした時に、これらの役人は、「もちろんです」と答えられなかったのです。政府は、この当たり前の原則を認めて、これまでのデタラメな災害後の政策を改めないといけなくなった場合に、巨額の補償モロモロで大変なことになるのがわかっているので、何とかごまかして福島の被害者を見捨て、補償金を浮かせようとしているワケです。そして、現地対策本部の税金ドロボーどもは、官僚組織の利益を守ろうとする組織自己保存能のために、当たり前の質問に当たり前の返事さえできなくなり、知能退行してしまっているのです。これが、T大H学部を出てエリートコースを歩んでいると思い込んでいる連中の末路です。毎日の戦いの中で命を張って生きている一般の日本国民が、こんな組織保身本能に毒されて幼稚園児なみに退行した連中に「仕事をして下さい」とお願いせざるを得ない不幸というのは、察するに余りあります。
私は日本の組織とは縁を切り、グラントの切れ目が職の切れ目というしがらみのない零細自営業的立場におります。当たり前のことさえ当たり前に言えないような組織に操つられたゾンビのような連中をみていると、痩せたソクラテスを目指す方を選んでよかったとつくづく思います。
ところで、さっき読んだ「内田樹の研究室」で「ネット上の発言の劣化について」というエントリーがありました。長いエントリーなので私の理解したと思う要点をムリに一行で言えば、聞き手との対話に結びつかないような発言は良くない、ということかな、と思います。確かに、匿名で「お前のカーちゃん、デベソ」的発言をすることの有益さは疑問です。私も匿名で政府や空きカンの悪口を散々、書きチラシておりますが、私の悪口は生産的悪口、船頭の誤りを皆に知らせるために叩く船縁の音だと思っております。同じ悪口でも「お前のカーちゃん、デベソ」とは違うと自負しております。
実は、情報の受け手と対話に結びつかないような言論を実行しているのは、政府と記者クラブです。言論統制で国民に与えられた情報の中で国民同士が対話する、そいういう時代が長年続いてきました。今、大勢が、政府のいう事や記者クラブメディアが垂れ流す(内部)情報が信用できないものであることを知っています。即ち、国民が広く共有すべき情報の土台が崩れてしまったということです。人がテレビを見なくなり新聞を読まなくなったのは、これらメディアの情報の劣化が著しいからでしょう。朝日新聞の社説など、それこそ「開いた口が塞がらない」レベルです。ネット上の発言が「劣化」しているのは、劣化ではなく、そもそも発言というものはそういうものだと思うわけです。これまでマスネディアは「お前のカーちゃん、デベソ」的投書があっても、紙面に掲載しなかっただけのことです。ところが、今やそのマスメディアそのものが「開いた口が塞がらない」レベルに劣化しています。マスメディアが、公正中立な立場に立って真実を報道するという姿勢をとっくの昔に放棄し、例えば、検察リークの虚偽の情報を垂れ流し、何の罪が確定したわけでもない小沢氏個人を「開いた口が塞がらない」と題した社説を書いて攻撃しているのです。(何様のつもりか、と言いたくなります)ネット上の発言の劣化よりも、マスメディアの劣化の方が遥かに深刻な問題です。(これは客観的事実でしょうから断言させてもらいます)