しばらく前のScience(だと思いますが)のフロントページで、サルに言語による意思疎通が可能かどうかを調べるという研究を随分前に行った人へのインタビュー記事がありました。赤ちゃんザルとその研究者との共同生活がニューヨークのアパートで始まり、研究者はサルにサイン言語を教えます。何年もの教育の結果は、結局、そのサルはいくつかの単語を覚えることはできたが、その単語を使って文を作ることはできるようにならなかったそうです。サルには人間の言語体系を使ったコミュニケーションは不可能であり、そして、サルには他人の気持ちを推し量る能力はなさそうだ、という結論になったということです。そのサルは、研究終了とともに結局、どこかの動物園のサル山に戻されたとかいう話で、そのことについて、「大変残酷なことをした」といようようなことをその研究者は述べていたと思います。即ち、赤ん坊のときから人間とニューヨークのアパート暮らしで育ったのに、研究終了にともなって、突然、田舎のサル山に戻されたサルを思って、研究が終わった時のことを十分に考えてやっていなかった、「Exit Strategy」に考慮が足りなかったと述べたのです。
株式投資などのバクチなどでは、大損しないために「Exit Strategy」の重要性は強調されます。またビジネスも研究でもプロジェクトは成功するよりもコケる可能性の方が高いバクチのようなものですから、Exit Strategyは重要です。何をゴールにするか、ゴール達成の見込みをどこで判断し、達成困難と判断された場合にどのようにロスを最小化してどういう形で終了させるか、そういうことをプロジェクトの開始前から考えておく必要があります。そういう準備なしにプロジェクトを始めてしまうと、うまくいかなかった場合にずるずると深みにはまり込み、傷を広げることになります。
Exit Strategyが皆無なのは原発でしょう。「トイレの無いマンション」と呼ばれる所以です。核廃棄物という処理不可能なウンチがマンションの一部にある密封された肥だめ部屋に溜められています。日に日にその量は増えていくのですが、処理の方法がないのです。マンションに住んでいる人は、日々増え続ける排泄物が溜まっていっていて、いつかは肥だめが一杯になること、何らかの原因で肥だめが壊れて中身が溢れ出したら、マンションには住めなくなること、は頭ではわかっています。でも、「自分が死ぬまでは大丈夫だろう」「だれかエラい人が処理技術を開発してくれて、肥だめ問題がいつかは解決するだろう」と何の根拠も無く、都合良く考えているワケです。そして、3月11日に実際に肥だめの中身が大量に漏れ出ました。当然ながら誰もそれを処理することができません。Exit Strategyを考えることなく、何とかなるだろう、と一部の住人が目先の利益を優先したがために、取り返しのつかないことを引き起こしてしまいました。原発にからむ巨大な利権集団の利己的な欲望が、バンドラの箱ならぬ、肥だめの蓋を開けてしまいました。
人間の一生にもExit strategyはないよりはあった方がよいのではと思います。私も自分の人生のExit Strategyについて考えることが多くなりました。どのようにして残りの時間を過ごし、どのような形で地上から消えていくか、自分自身のことになると、なかなか具体的に想像するのは難しいです。風の吹くまま気の向くままに生きて、成り行きに任せて死ぬというのも気軽でよさそうですけど、私は、できるなら立つ鳥あとを濁さずで、すうっと消えるように去りたいと思っております。しかし、本当に重要なのは、その瞬間ではなく、今からその瞬間に至るまでの過程だと思います。若い時は長生きしたいと思った事はありませんでしたが、やはり家族や子供ができると気持ちも変ります。余り明るい将来が想像できないこれからの社会を生きていかねばならない子供たちが自力で未来を切り開けるよう準備ができるまでは、この世にいて何らかの役に立ちたいと思っています。
というワケで今週は夏休みをとって、残された時間を家族と一緒に楽しく過ごす予定ですので、ブログの更新しないと思います。
先日、次期総理と先走って地上げ屋さんのブログの情報を流してしまいましたが、昨日の地上げ屋さんのブログでは、松野氏が代表選に出る可能性は低いとありました。結局、馬、鹿、猪(野田氏)の争いになるかもしれないという冴えない話。代表選に向けて、早速、増税だ、大連立だと本性を見せ始めた野田氏。この筋違いの発言は、消費税を口にして参院選惨敗をきたした去年の空きカンを思い出させます。この人が次期総理になったら民主党は次の選挙で消滅するでしょう。
ところで、この人、ずっと誰かに似ていると思っていて思い出せませんでしたが、ようやく分かりました。
加東大介さんです!。ひょっとして親子だったりして。
この映画で思い出しました。
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