百醜千拙草

何とかやっています

Sequestration発動

2013-03-05 | Weblog
驚いたことに、アメリカ政府の強制歳出削減 (Sequestration)が発動してしまいました。いつもの民主党と共和党のチキンレース芝居とタカを括っていた多くの人は、共和党が期限の二月末まで突っぱねて、交渉決裂にいたるとは思っていなかったようで、私も正直驚きました。加えて、今月末にもアメリカ政府はカネがなくなり機能停止に陥る可能性が(理屈上は)あり、今回のSequestrationが回避できなかったということが、人々の不安を高めています。この歳出強制カットがこのまま執行されると、国防、社会保障、教育制度など、税金に依存するプログラムの縮小が進み、結果として、おそらく立場の弱い人々(例えば一時雇用の人々)から、解雇が進むことになるでしょう。結果として消費は冷え込み、経済は縮小し、中小企業から倒産していき、研究者は廃業となる、負のスパイラルが始まると思います。必ず弱いものから犠牲になっていきます。それと同時にそれを利用して焼け太りするいつもの懲りない面々がいて、結果、社会格差はますます広がって行くことでしょう。予想としては、3月末までに妥協案が出てSequestrationは再び一旦、中断、延期されるのではないかと思うのですけど、そもそも、発動を回避できなかった(しなかった)という今回の予想外の成り行きを見ると、よくわかりません。共和党の下院議長のベーナーは下院の過半数を占めていることを良いことに、これを期にオバマ民主党を攻め込む大チャンスとみてかなり強気に出ています。ねじれに弱いのはアメリカ議会も同じ事、オバマは最後の4年で思う通りにやりたいと思っても今後の共和党との交渉には困難が多いでしょうね。
 しかし、いずれにせよ、それでも人は毎日、起きて働いて食事して寝る、という生活を変えるわけにはいきませんし、成り行きを見て最善を尽くすしかありません。興味深いのは、日本の新聞がSequestration回避ができなかったことを一斉に非難していることです。3K新聞は「歳出強制削減 世界経済への責任果たせ」という見出しの社説。それにしても、誰に向かって説教しているのですかね、この新聞は。「責任をはたせ」とエラそうに宗主国の政治を批判して何とかなるとでも思っているのでしょうか。非難する理由は、Sequestrationが引き金となって世界不況を引き起こせば日本の輸出産業に悪影響が及び、そして国防費の大幅カットで日本の安全保障(その実、米軍基地利権)にも影響するという利己的な理由のようです。一般日本人の立場であれば、アメリカの財政危機を見たら、それではアメリカの経済や安全保障に依存しない国づくりをしよう、という理屈に普通なりませんかね。アメリカが実質、経済破綻しているのは明らかであり、このままアメリカべったりでは将来が危ないと思うのが普通の人の感覚だと思うのですが。しかし、どんなにつれなくされてもアメリカに寄り添いたいアベ自民党、選挙前には「TPP断固反対」と書いた党のポスターを貼りまくったくせに、政権を取ったらいつもの手口で180度の手のひら返し。国民にはウソをつき、その富を売り払い、ととことんアメリカ様に尽くすつもりのようです。私、すっかりドジョウといい、アベ氏といい、平気でウソをつく日本の首相を見続けて、もう批判する元気も失せました。ウマの耳に何とやら、両耳の間の頭蓋骨の中は空洞だとしか思えません。

ところで、売国協定TPPについては、アメリカの一般市民の中にも危機感を持つ人々がいるようです。これはアメリカとか日本とかという国を越えて、企業が利潤追求のために一般人から搾取するためのスキームですから、アメリカ人であっても一般人はそれなりに危機を感じているのでしょう。
 つむじ風ブログで、「TPPは国家間の貿易協定ではない、国家権力から、企業権力への移行協定である!」と端的にその本質を指摘してあります。すなわち、カネで世界を支配している本当の世界の支配者が、国民を守るための国家という枠組みを越えて、更に支配力を強めるためのシステムだといってもよいでしょう。そこには日本もアメリカもなく、カネで人々を支配する少数の連中と支配される大多数という世界の仕組みを更に押し進めようとする意図が見えます。

アメリカ市民団体がTPPの秘密性と内容を警告しているビデオ(字幕)があるのを知りましたのでリンクします。(上記ブログにもリンクされています)

アメリカ市民団体がTPPについて報道した驚異の内容とは
コメント
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