最近は、金曜日に良いニュースがやってきます。
しばらく前に投稿した論文、ちょっとムリかも知れないので、次の投稿に向けて、原稿の書き直しの準備をしておくか、と思った金曜日に、比較的好意的なレビューが返ってきました。ホッとしてrevisionの準備を始めました。先々週の金曜日は、絶対にムリだろうと思ってた学内のグラント申請に高いスコアがついて通りそうだという話をたまたま審査委員会に居た人が教えてくれました。その前日に私の今年の研究予算が10%もカットされるという通知がやってきて、いつもよりも余計、どんよりしていたところだったので、大変うれしかったです。最初に思ったのは、これで、ほとんど無給で働いてくれている人に二年間は給料を払ってあげられるということでした。コストが心配でできなかった実験もできそうです。その次の金曜日は、プロジェクトの運命がかかった実験が、ダメかと思ったら実はイケそうだというデータがでました。これも大変嬉しかったです。そして、先週の金曜日は、一年前にちょっと実験を手伝った人から、論文を投稿するから共同著者になって欲しいというタナボタのようなメール。研究でのさまざまな活動を、おいしいもの、まずいもの、おいしくもまずくもないもの、と分けていくと、論文出版は上からトップ3に入る「おいしい」ものの一つです。自分で額に汗して耕した畑から取れる作物は格別においしいですが、棚から落ちてくるボタモチもとてもおいしいです。ボタモチを落としてくれた方、どうもありがとうございました。
研究の楽しみは、誰も知らなかったことを見つける喜びですが、その活動を続けるにはカネが必要で、そのカネを得るためには、それなりの論文を出す必要があります。なので、論文が通るというのは、必ずしも研究そのものの喜びとはいえなくても、大変、嬉しいことです。残念ながら、私のような零細研究室では、自力では、1.5流のジャーナルに二年に一本出すのが精一杯です。グラントのことを考えると「量より質」と正論ばかり言っているわけにもいきませんので数を出すことも大切です。かといって、下のクラスの通りやすいジャーナルなら数を出せるのかと言われると、ジャーナルのクラスにかかわらず、データの出るスピードが実験系によって違うので、そういうわけにもいきません。そういうことをしようとすると「二兎を追うもの一兎も獲ず」になると思います。
大勢の優秀な人を雇って、複数のプロジェクトを同時並行させてハズレはどんどん捨てるような(あるいはハズレでも力ずくで一流ジャーナルにのせることができる)、資金の潤沢な一流研究室のやり方が出来れば、ハイインパクト論文が毎年出るのでしょうが、私のところはメインの実験に必要なコストでさえどう節約するかと頭を悩ませているような状況です。ハズレをフォローする余裕はないので、ハズレたらダメージは大きいです。一方、アタリそうなものを引くと仕事が急激に増えますから、他のことをやっている余裕がなくなります。過去3年は、アタリかハズレか微妙なものを複数引いてしまい、どれも捨てきれずに労力が分散してしまいました。振り返れば、サッパリと捨てておくべきでした。はじめるのは簡単でも撤退するのはいつも難しいものです。Exit Strategyは始める前にきっちりと立てておく必要がある、頭ではわかっていたのに結局実行できずに後悔することになりました。
こんな調子なので、本当に毎日が綱渡りです。ま、長くやってきたので、綱渡りは多少、うまくはなったと思います。綱渡りのコツは油断してはいけないということでしょうね。常に予想されるパターンに対して準備を怠らず、心の平静を保って恐れず奢らず、冷静かつ論理的に対処する、これを積み重ねて行けば、綱渡りは、単に直線の上をまっすぐに歩くだけのことだと考えれるようになるのではないでしょうか。
しばらく前に投稿した論文、ちょっとムリかも知れないので、次の投稿に向けて、原稿の書き直しの準備をしておくか、と思った金曜日に、比較的好意的なレビューが返ってきました。ホッとしてrevisionの準備を始めました。先々週の金曜日は、絶対にムリだろうと思ってた学内のグラント申請に高いスコアがついて通りそうだという話をたまたま審査委員会に居た人が教えてくれました。その前日に私の今年の研究予算が10%もカットされるという通知がやってきて、いつもよりも余計、どんよりしていたところだったので、大変うれしかったです。最初に思ったのは、これで、ほとんど無給で働いてくれている人に二年間は給料を払ってあげられるということでした。コストが心配でできなかった実験もできそうです。その次の金曜日は、プロジェクトの運命がかかった実験が、ダメかと思ったら実はイケそうだというデータがでました。これも大変嬉しかったです。そして、先週の金曜日は、一年前にちょっと実験を手伝った人から、論文を投稿するから共同著者になって欲しいというタナボタのようなメール。研究でのさまざまな活動を、おいしいもの、まずいもの、おいしくもまずくもないもの、と分けていくと、論文出版は上からトップ3に入る「おいしい」ものの一つです。自分で額に汗して耕した畑から取れる作物は格別においしいですが、棚から落ちてくるボタモチもとてもおいしいです。ボタモチを落としてくれた方、どうもありがとうございました。
研究の楽しみは、誰も知らなかったことを見つける喜びですが、その活動を続けるにはカネが必要で、そのカネを得るためには、それなりの論文を出す必要があります。なので、論文が通るというのは、必ずしも研究そのものの喜びとはいえなくても、大変、嬉しいことです。残念ながら、私のような零細研究室では、自力では、1.5流のジャーナルに二年に一本出すのが精一杯です。グラントのことを考えると「量より質」と正論ばかり言っているわけにもいきませんので数を出すことも大切です。かといって、下のクラスの通りやすいジャーナルなら数を出せるのかと言われると、ジャーナルのクラスにかかわらず、データの出るスピードが実験系によって違うので、そういうわけにもいきません。そういうことをしようとすると「二兎を追うもの一兎も獲ず」になると思います。
大勢の優秀な人を雇って、複数のプロジェクトを同時並行させてハズレはどんどん捨てるような(あるいはハズレでも力ずくで一流ジャーナルにのせることができる)、資金の潤沢な一流研究室のやり方が出来れば、ハイインパクト論文が毎年出るのでしょうが、私のところはメインの実験に必要なコストでさえどう節約するかと頭を悩ませているような状況です。ハズレをフォローする余裕はないので、ハズレたらダメージは大きいです。一方、アタリそうなものを引くと仕事が急激に増えますから、他のことをやっている余裕がなくなります。過去3年は、アタリかハズレか微妙なものを複数引いてしまい、どれも捨てきれずに労力が分散してしまいました。振り返れば、サッパリと捨てておくべきでした。はじめるのは簡単でも撤退するのはいつも難しいものです。Exit Strategyは始める前にきっちりと立てておく必要がある、頭ではわかっていたのに結局実行できずに後悔することになりました。
こんな調子なので、本当に毎日が綱渡りです。ま、長くやってきたので、綱渡りは多少、うまくはなったと思います。綱渡りのコツは油断してはいけないということでしょうね。常に予想されるパターンに対して準備を怠らず、心の平静を保って恐れず奢らず、冷静かつ論理的に対処する、これを積み重ねて行けば、綱渡りは、単に直線の上をまっすぐに歩くだけのことだと考えれるようになるのではないでしょうか。