百醜千拙草

何とかやっています

頭のいい人の発想

2015-04-03 | Weblog
ちょっと感心したこと。
世の中には頭のいい人がいますね。人間、誰でも自分には人にはない価値がある思っていて、人と比べて「勝った、負けた」という判断をするものです。人の性ですけど、この傾向の強い人は余り幸せにはなれません。上には上がいますからね。
数年前のTED レクチャーでカーネギーメロンのコンピューター研究者の人の話を聞いて感心しました。アイデアの出し方、発想を全く別の次元の立場に立って行うこと、頭のいい人はそういう点が優れていますね。

この人はCAPCHAというインターネットのインターフェイスで情報入力している相手が人間であること確認するためのソフトを開発した人です。何らかのフォームを送信しようとすると、しばしば変に歪んだ文字が画面に現れて、その文字が何であるかを判別して入力させるヤツです。人間だと容易な歪な文字の認識がコンピューターだと正確にできないのを利用しています。私はしばしば解読を誤るので、このシステムは迷惑だなと常々思っておりましたが、開発者の人も当然、大勢の人がこのシステムのお陰で迷惑していることは理解していたわけで、それで、せめてこのシステムに費やす人々の時間をもっと有効に使えないかと考えたのだそうです。ここで、頭のいい人は以外な観点から発想を出していくのですね。

それで、この人は、では、デタラメの文字列の代わりに本物を解読してもらおうと考えたのだそうです。つまり、コンピューターでは読めないような文字を人間に解読してもらって入力してもらい、認証と同時に認証者に仕事もしてもらおう、というアイデアです。具体的には、昔の印刷された文書のデジタル化です。デジタル化はコンピューターにイメージ化されたテキストから文字認識させてやっているわけですが、とくに古くて痛んでしまったような文書ではかなりの率で正しく読めないのだそうです。これをCAPCHAのプロセスの間に本物の人間にやってもらうのです。

この発想から、発展して今度はウェッブサイトを翻訳するというプロジェクト(Duolingo)も始まっています。
世の中には、外国語を学びたいという人が大勢います。普通は、語学学校などに授業料を払って教えてもらったり、コンピュータープログラムや教科書で自分で学ぶということになるのですが、この言語学習のプロセスを実務的な翻訳に利用してしまおうというアイデアです。このコンピュータープログラムで外国語を学習すると、その練習問題が実は「本物」のサイトを翻訳することになっているのです。初心者の学習者であっても同じ問題を大勢の人にやってもらって、最大公約解を拾っていけば、プロの翻訳家なみのクオリティーの翻訳になるそうです。素晴らしいのは、言語を学びたい人はタダで学べるし、プログラムを提供する方はその学習プロセスから実際に役に立つ成果を得ることができるというwin-winの関係になるということです。

話も大変面白いです。ヒマな時にどうぞ。

Massive-scale online collaboration:luis von Ahn
コメント
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