日曜日に、引き受けたレビューをやってしまおうと思ったのですが、半日潰して、3本目に入ったところで、根性がなくなりました。それにしてもやはり某国からの論文読むのは疲れます。一般化してはいけませんが、これまでこの国からの投稿論文はかなりの数を読みましたが、ほぼ100%共通する性質があります。読みにくくわかりにくいのです。データの絵はそれなりです。でもそのデータの詳細を理解しようとして本文やレジェンドを読んでもしばしばどういう実験をしてどういう解析をしたらその結果が出たのかということが理解できないことがあります。読む人の立場に立って書かれていないことが第一の原因ですが、データだけはそれなりなのに実験の詳細がしっかり書かれていないというのは、あるいは、最初から結論があってそれにあわせてデータを適当に選んでいるのではないかとさえ勘ぐりたくなります。(そういうスタイルで一流紙に再現性のない論文を連発している人がおります)とにかく、コメントはしないといけないので、とりあえず内容を理解しようとはするのですが、それさえ十分にできない場合もあります。やっていると腹が立ってきます。一度は、余りに記述が不完全な上、エラーが多くて内容がよく理解できないので、エディターにエラーを直してから再投稿するように著者に言ってくれと伝えたら、エディターから「エラーが多過ぎて理解不能である」というコメントを一行書いて、リジェクトにしてくれと言われました。なるほど。しかし、そういうコメントを書くのも勇気がいりますしね。
その他、目についたニュースなど。
低分子G蛋白研究のAlan Hall氏、5月にニューヨークでジョギング中に心臓発作で死去とのこと、Cellの訃報欄で知りました。まだ62歳だったとのこと。随分前、近い分野にいた人が、スマートでモテモテのイギリス紳士なのでうらやましいとかくやしいとか言う話を聞いた覚えがあります。どんなにエラい人でもモテモテの秀才でも死は平等に訪れます。
細胞周期研究のTim Hunt氏、研究室の女性について周囲の男性に「恋をする。批判すると泣かれる」などと会議で発言したことがTwitterで広まってユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の名誉教授職の辞任に追い込まれたという話。実体験で感じていたことを公の場でついうっかり漏らしてしまったのでしょう。口は禍いの元、有名人ほど気をつけなければなりません。だいたい涙は女の武器、アカデミアで戦っていくのに男でも女でも使えるものは最大限利用するのは当然と思います。現にこうしてUCLから男性のポストが一つ減りました。そういえば、我が国のノーベル賞科学者T先生、ついこの間もScience論文を出しておられましたが、数年前に女性教官の採用を阻止しようとしてスキャンダルになって、研究所所長を辞任した事件を思い出しました。
音楽関係。オーネット コールマン氏85歳、ニューヨークで死去。研究でも音楽でもそうですが、人々は常により新しい知識や技術、スタイルや概念を求めていきます。しかし、60-70年台のヒッピームーブメントやフリージャズは振り返っても奇異に移ります。ジャズが現代の音楽として急激に発展しだしたのは、多分バップからではないかと思います。チャーリー パーカーは若くして死んで伝説となった一方、マイルスはどんどん新しいスタイルを開発していって、彼なりに行き着く所まで行って一旦、引退してしまいます。コルトレーンはマイルスと別れた後に「至上の愛」でモードを極め、そしてアチラの世界(フリージャズ)へ行き、そしてやはり地上を去りました。コルトレーンのスタイルの変化は(少なくとも表面上は)彼の宗教的深化と関連しているように見えます。アチラに行ってしまった以上、あとは死ぬしかなかったのだという必然性を感じます。一方、セシルテイラーやアルバート アイラーやオーネット コールマンはどうだったのでしょうか。むしろヒッピーのような思想的、知性的な実験だったのではなかったのだろうかと想像します。自由であることは、構造性が低いということだと思います。ジャズ(に限らずクラッシック音楽の進化も)は構造(の一部)を意図的に壊していくところにその妙味があったわけですが、破壊度が大きくなり過ぎたら、結局、それ以上進化のしようがなくなり行き詰まってしまう、ということなのではないかと私は思います。フリー(自由)というものは自由でないものがあって初めて意味があるのでしょう。安定した構造の壁があり、その一部を壊してみて、そこから無限に広がる青空を眺めるからこそ、自由であることの尊さが理解できる、そういうものだと思います。大きな視点から見れば、モダンジャズにはそもそも伝統的な音楽的制約を超えて自由に演奏してよいという了解がそもそもあります。ならば、フリーもジャズの一部として内包されている一構造だという見方もあるでしょう。
因みにセシルテイラーは二年前に京都賞を授賞しています。たぶん京都賞を授賞した唯一のジャズ音楽家だと思います。かつてジョン ケージが授賞しているのを見ると、この賞の音楽部門の選考基準もなんとなくわかりますが、個人的にはナベサダぐらいに賞を上げてもいいのではないかと思うのですが。
ヒラリークリントン、大統領選に向けて始動との話。オバマが二期やったので次は共和党になるだろうというのが普通の見方ですが、どうも史上初の女性大統領という筋書きがあるようで、何事もなければ次の大統領はヒラリーさんになるだろうとのこと。日本よりはマシでしょうが、アメリカもイギリスも議会でやっていることは、政策をダシにした単なる勢力争いです。民主党であろうが共和党であろうが大差はありません。
その他、目についたニュースなど。
低分子G蛋白研究のAlan Hall氏、5月にニューヨークでジョギング中に心臓発作で死去とのこと、Cellの訃報欄で知りました。まだ62歳だったとのこと。随分前、近い分野にいた人が、スマートでモテモテのイギリス紳士なのでうらやましいとかくやしいとか言う話を聞いた覚えがあります。どんなにエラい人でもモテモテの秀才でも死は平等に訪れます。
細胞周期研究のTim Hunt氏、研究室の女性について周囲の男性に「恋をする。批判すると泣かれる」などと会議で発言したことがTwitterで広まってユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の名誉教授職の辞任に追い込まれたという話。実体験で感じていたことを公の場でついうっかり漏らしてしまったのでしょう。口は禍いの元、有名人ほど気をつけなければなりません。だいたい涙は女の武器、アカデミアで戦っていくのに男でも女でも使えるものは最大限利用するのは当然と思います。現にこうしてUCLから男性のポストが一つ減りました。そういえば、我が国のノーベル賞科学者T先生、ついこの間もScience論文を出しておられましたが、数年前に女性教官の採用を阻止しようとしてスキャンダルになって、研究所所長を辞任した事件を思い出しました。
音楽関係。オーネット コールマン氏85歳、ニューヨークで死去。研究でも音楽でもそうですが、人々は常により新しい知識や技術、スタイルや概念を求めていきます。しかし、60-70年台のヒッピームーブメントやフリージャズは振り返っても奇異に移ります。ジャズが現代の音楽として急激に発展しだしたのは、多分バップからではないかと思います。チャーリー パーカーは若くして死んで伝説となった一方、マイルスはどんどん新しいスタイルを開発していって、彼なりに行き着く所まで行って一旦、引退してしまいます。コルトレーンはマイルスと別れた後に「至上の愛」でモードを極め、そしてアチラの世界(フリージャズ)へ行き、そしてやはり地上を去りました。コルトレーンのスタイルの変化は(少なくとも表面上は)彼の宗教的深化と関連しているように見えます。アチラに行ってしまった以上、あとは死ぬしかなかったのだという必然性を感じます。一方、セシルテイラーやアルバート アイラーやオーネット コールマンはどうだったのでしょうか。むしろヒッピーのような思想的、知性的な実験だったのではなかったのだろうかと想像します。自由であることは、構造性が低いということだと思います。ジャズ(に限らずクラッシック音楽の進化も)は構造(の一部)を意図的に壊していくところにその妙味があったわけですが、破壊度が大きくなり過ぎたら、結局、それ以上進化のしようがなくなり行き詰まってしまう、ということなのではないかと私は思います。フリー(自由)というものは自由でないものがあって初めて意味があるのでしょう。安定した構造の壁があり、その一部を壊してみて、そこから無限に広がる青空を眺めるからこそ、自由であることの尊さが理解できる、そういうものだと思います。大きな視点から見れば、モダンジャズにはそもそも伝統的な音楽的制約を超えて自由に演奏してよいという了解がそもそもあります。ならば、フリーもジャズの一部として内包されている一構造だという見方もあるでしょう。
因みにセシルテイラーは二年前に京都賞を授賞しています。たぶん京都賞を授賞した唯一のジャズ音楽家だと思います。かつてジョン ケージが授賞しているのを見ると、この賞の音楽部門の選考基準もなんとなくわかりますが、個人的にはナベサダぐらいに賞を上げてもいいのではないかと思うのですが。
ヒラリークリントン、大統領選に向けて始動との話。オバマが二期やったので次は共和党になるだろうというのが普通の見方ですが、どうも史上初の女性大統領という筋書きがあるようで、何事もなければ次の大統領はヒラリーさんになるだろうとのこと。日本よりはマシでしょうが、アメリカもイギリスも議会でやっていることは、政策をダシにした単なる勢力争いです。民主党であろうが共和党であろうが大差はありません。