百醜千拙草

何とかやっています

サーロー節子さん、ICANノーベル平和賞受賞スピーチ

2017-12-15 | Weblog
ちょっと、日にちが経ってしまいましたが、先日行われたオスローでのノーベル平和賞受賞のスピーチを読みました。

また愚痴から始まるようですが、このノーベル平和賞の受賞スピーチを日本のメディアはほとんど報道しません。もはや日本人ではないイシグロさんのノーベル文学賞はわがことのように報道するのに、日本人の被爆者として反核運動を続けてきたサーロー節子さんのノーベル平和賞はスルー。もちろん、反核がアベ与党が進めたい原発稼働や核武装化に都合が悪からでしょう。それにしても浜の真砂ではないですが、アベ絡みの悪巧みはつきませんな。

森友学園問題も安倍晋三、加計学園問題も安倍晋三、レイプもみ消し問題も安倍晋三、 スパコン詐欺問題も安倍晋三、リニア利権問題も安倍晋三、もはや完全に「悪事の裏に 安倍晋三あり」だな。 — きっこ (@kikko_no_blog)

さて、愚痴はこれぐらいにしておいて、一応地方紙ながら、唯一まともな大手新聞である、東京新聞に演説が掲載されていました。

ノーベル平和賞が団体に授与されたのは初めてです(と思います)。共感する能力のある大人の人間なら、このサーロー節子さんの言葉が胸に沁みるでしょう。国語の教科書にも採用してもらいたいぐらいです。まだ読みでない方は、是非全文を読んでください。
      ◇
 両陛下。ノルウェー・ノーベル賞委員会の高名なメンバーの皆さま。ここにいる、そして世界中にいる運動家の仲間たち。淑女、紳士の皆さま。
 ICANの運動を形づくる傑出した全ての人々に成り代わってベアトリス(・フィン事務局長)と共にこの賞を受け取ることは大変な栄誉です。私たちは核兵器の時代を終わらせることができる、終わらせるのだという、かくも大きな希望を皆さま一人一人が私に与えてくれます。
 被爆者は、奇跡のような偶然によって広島と長崎の原爆を生き延びました。私は被爆者の一人としてお話しします。七十年以上にわたって私たちは核兵器の廃絶に取り組んできました。、、、、

 きょう、この会場で皆さまには、広島と長崎で死を遂げた全ての人々の存在を感じてほしいと思います。雲霞(うんか)のような二十数万の魂を身の回りに感じていただきたいのです。一人一人に名前があったのです。誰かから愛されていたのです。彼らの死は、無駄ではなかったと確認しましょう。
 、、、、、
 今この瞬間も、世界中で罪のない子どもたちが核兵器の脅威にさらされています。おいは私にとって、こうした世界の子どもたちを代表する存在となりました。核兵器はいつどんなときも、私たちが愛する全ての人々、いとおしく思う全てを危険にさらしています。私たちはこの愚行をこれ以上許してはなりません。
 苦しみと生き延びるためのいちずな闘いを通じて、そして廃虚から復興するための苦闘を通じて私たち被爆者は確信に至りました。破局をもたらすこうした兵器について、私たちは世界に警告しなければならないのです。繰り返し私たちは証言してきました。
 しかし、広島と長崎(への原爆投下)を残虐行為、戦争犯罪と見なすことをなお拒絶する人たちもいたのです。「正義の戦争」を終わらせた「良い爆弾」だったとするプロパガンダを受け入れたわけです。こうした作り話が破滅的な核軍拡競争をもたらしました。今日に至るまで核軍拡競争は続いています。
 今も九つの国が都市を灰にし、地球上の生命を破壊し、私たちの美しい世界を未来の世代が住めないようにすると脅しています。核兵器の開発は、国家が偉大さの高みに上ることを意味しません。むしろ、この上なく暗い邪悪の深みに転落することを意味するのです。こうした兵器は必要悪ではありません。絶対悪なのです。
、、、、、
 今年七月七日、世界の大多数の国々が核兵器禁止条約の採択に賛成した時、私は喜びでいっぱいになりました。私はかつて人類の最悪な側面を目撃しましたが、その日は最良の側面を目撃したのです。私たち被爆者は七十二年の間(核兵器が)禁止されることを待ち続けてきました。これを核兵器の終わりの始まりにしようではありませんか。
、、、、、
 核武装した国々の当局者と、いわゆる「核の傘」の下にいる共犯者たちに言います。私たちの証言を聞きなさい。私たちの警告を心に刻みなさい。そして、自らの行為の重みを知りなさい。あなたたちはそれぞれ、人類を危険にさらす暴力の体系を構成する不可欠な要素となっているのです。私たちは悪の陳腐さを警戒しましょう。
、、、
 私は十三歳の時、くすぶるがれきの中に閉じ込められても、頑張り続けました。光に向かって進み続けました。そして生き残りました。いま私たちにとって、核禁止条約が光です。この会場にいる皆さんに、世界中で聞いている皆さんに、広島の倒壊した建物の中で耳にした呼び掛けの言葉を繰り返します。「諦めるな。頑張れ。光が見えるか。それに向かってはっていくんだ」
 今夜、燃え立つたいまつを持ってオスロの通りを行進し、核の恐怖という暗い夜から抜け出しましょう。どんな障害に直面しようとも、私たちは進み続け、頑張り、他の人たちとこの光を分かち合い続けます。この光は、かけがえのない世界を存続させるために私たちが傾ける情熱であり、誓いなのです。 
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