百醜千拙草

何とかやっています

Jovano Jovanke

2018-10-23 | Weblog
世界の民謡ブログ。

内部のポスドク向けのフェローシップの審査員の依頼。数年前に一度やった時は分野外の興味深い研究をいろいろ知る事ができて面白い経験をさせてもらったので(ギャラもちょっと出ますしね)引き受けることにしました。

研究計画そのものは4ページですが、この小さな限られたスペースに応募者は持てるものを詰め込もうとしますから、密度が高く読むのは大変です。しかし、レビューアの立場から言わせてもらうと、あれこれ詰め込むのは逆効果だと思います。できるだけスペースをとってシンプルに話の筋がストレートに伝わるように書いて欲しいと思います。レビューする方は素人に近いわけですから。強い魅力があれば、小さな欠点はアバタもエクボ、小さな欠点の穴埋めにスペースを使うぐらいなら、魅力をアピールしてもらう方が効果的かと思います。

二十本ほどを読んで、ランクづけしないといけません。身分の不安定なポスドクですから、資金が切れたら転職しないといけない人もいるでしょう。しかし、これらのうちの9割の人には「残念ですが」と言わねばなりません。ま、私も不安定な立場という点では彼らと似たり寄ったりですけど。研究計画は、みんな一生書いているのはわかります。研究計画を書くだけではなく、サポートの手紙を集めたり、予備データを揃えたりとかなりの時間と手間がかけられています。サイエンスのレベルも高いのも多く、良い論文になるだろうな、と思わせる計画もあります。

しかし、これは論文の審査ではなく、各応募者がこのサポートを得ることで研究者としてのキャリアを開花させていけることができるか、もっと下世話に言えば、このサポートで使った金が将来に倍になって返ってくるかどうか、を見極めるという作業です。ですから、思うに、最も重要なのはインパクトと将来性。心の中で、頑張れと応援しながら読むのですが、そうそう突出したものはなく、ランクをつけるのは厄介です。前回は数点パッとしたものがあったので比較的簡単だったのですが。しかも、ほとんどは自分の分野と全く関係のない研究なので、そうした研究計画を読むのは骨が折れます。中に、ニューラルネットワークの理論的研究を計画したものがありました。その科学的内容を私は評価することはできませんが、応募者に関しては、微分方程式を見た瞬間にバイオロジーのレビューアはアレルギー反応を起こすということにこの応募者は考えが及ばなかったと評価せざるを得ません。

それで、毎日、ちょっとずつやることにして、そのお供のBGMを漁っているうちに聞き覚えのある曲に当たりました。
音楽と料理を見ると、ヨーロッパと西アジアの文化的境界はバルカン半島を境に比較的明瞭なような感じがします。アドリア海を挟めばすぐイタリアですけど、例えばイタリアの音楽や料理はバルカン以東と随分違うように思います。
今回の曲は、バルカン半島ではギリシャの北にあるマセドニアで主に歌われてきた「Jovano, Jovanke」です。楽譜をみると7拍子の変則リズムです。この変則的なリズムのズレ感がなかなかいいです。和音進行は西洋音楽的ですけど中東風の音階とあたるので、西洋音楽のスケールで解釈するとディミニッシュコードのようなどっちつかず感が醸し出されていていいです。このリズムのせいで演奏するのもちょっとむずかしいと思うのでけど、これが民謡でずっと歌い継がれてきたのはすごいと思います。

セルビアのオーケストラのアレンジのものがよかったです。


日本人トリオの演奏も素晴らしいです。

JOVANO JOVANKE from Moku Teraoka on Vimeo.

コメント
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