ウクライナ情勢、毎日入ってくるニュースは西側メディア経由という点を差し引いても、ロシア軍の攻撃は度を越えているようにしか思えません。後ろ手にされた民間人が殺された遺体が転がっている映像や、病院への攻撃映像をみると、これはロシアが言うようなウクライナ政府の自作自演やウクライナ過激派による犯行とは思えません。シリア内戦の時も同様の情報が錯綜していましたが、今や簡単に直接証拠が得られて伝播する時代です。
これらをみると、現場の暴走だけでは説明できないように思います。これでは、戦略的に着地点を考えて攻撃を行なっているとはとても思えません。プーチンは、ひょっとしたらとんでもなく無能で愚かなのではないかという最も安易な仮説に飛びつきたくなりますね。
さて、どうでもいい話。
最近は仕事も減速モードに入り、家族も現在長期出張中、残りの人生の時間も限られているということで、ほぼ唯一の楽しみが週末の一杯のビールです。一週間、仕事に出るのも週末のこの一杯を美味しくするためであります。それで、美味しくて手頃な価格のものを手に入れて楽しんでいます。手頃というのは結構重要なファクターです。幸いビールでワインではないので、そう心配はしていませんが、もし美味しいが高いものにハマって、引退後、毎日のように飲むようになったら、生活を圧迫しかねません。
ビールに関しては、大量生産品の低品質のものをのぞけば、アメリカのビールは美味しいと思います。随分前、はじめてサミュエル アダムスを飲んだときに、アメリカのビールの美味しさに感動して、以後、ちょくちょく飲むようになりました。昔のようには飲めないので、週末に一杯を味わいながら飲むだけです。そうなってからは、飲みやすさよりもより味わいの深いものが好みになって、ラガーではなくエール、特にIPAが好きになりました。
IPAはホップを大量に使うので、その香り高い苦味がいいのですけど、ホップの種類によって大きく風味がかわります。人気のものはCitra ホップと呼ばれるタイプを使ったもののようで、このホップに含まれる柑橘系成分の爽やかな風味が最近は特に好まれているようで、多くのクラフトビール メーカーのIPAはこの手の味のものが多いです。
最近飲んだ大量生産のIPAで、なかなか良かったと思ったのは、Lagunitasというカリフォルニアの会社の作った"Little Sumpin' Sumpin' Ale"というIPAです。
"Sumpin'"は"Something"が訛ったもので、"little sumpin' sumpin'" は、快楽をもたらすようなちょっとしたもの、という意味で、酒とか性行為とかクスリとかを暗示する言葉のようです。ちなみにこの会社は現在ハイネケンに買収された模様です。
このIPAの特徴は、大麦と小麦を半々で作っていることで、綺麗な透明感のある黄金色にきめ細かな泡立ち、IPAでありながらラガービールのようにスムーズ、しかししっとりとしたシルキーな口当たり、ユニークなホップのおかげで、果汁の添加は一切ないのに、パイナップルとグレープフルーツ系の風味が効いた爽やかな一品です。そのフルーツ風味も適度なバランスがあり、ときにあるグレープフルーツジュースにアルコールと苦味を加えただけみたいな味ではなく、非常に上品な飲み口。そして爽やかな香りの後にはIPAらしい苦味が余韻を残します。アルコール度数は7.5%、値段も大量生産品でお手頃。南国の夏の涼しくなりかけたころに海風に吹かれながら夕日を見ているというセッティングを脳内で想像しつつ、一杯を楽しみます。
この会社は季節限定ものも合わせると50種類以上のビールを生産しているようですが、二、三、他のものも飲んでみた印象だと、基本的にグレープフルーツ系の風味が強いホップを使った流行の味のものが多く、その中で最もバランスがいいのが、この"Little Sumpin' Sumpin' Ale"だと思いました。ビール評価サイトでは、スコアは100点中93、アメリカンIPA分野部門で119位、総合2911位。大量生産ものに限れば、5指に入るのではと思います。
同評価サイトのアメリカンIPA部門で最も人気が高く、より評価が高かったのが、同じくカリフォルニアのBallast Point Brewing Companyの"Sculpin。
まだ飲んだことがないですけど、サイトによるとホップを5段階で加えるやりかたで、アプリコット、桃、マンゴー、レモンの風味をもち、カサゴ(Sculpin)のトゲの毒で刺すようなピリッとした苦味が特徴だそうです。欠点はLagunitasよりは高いのと流通が悪いので手に入りにくいことですか。
何千とあるビールの中で、もっとも不味いと評価されたのは、バドワイザー セレクト。スコア51。でしょうね。それからこのサイトでは、日本の大量生産ビールは総じてあまり評価は高くなく、最も評判がよかったのがアサヒの黒生で80ポイント。数ある日本のクラフトビールでは、評価されたものは限られていますが、その中では沼津にあるベアード ビール(Baird Brewery)のいくつかは高評価を受けており、駿河湾インペリアルIPAが87ポイント。それから伊勢角屋麦酒のIPAが84ポイント。
しかし酒税の関係で日本はビールが高いのが悲しいですね。アメリカで買えば、安くてまずいバドワイザーなら一本100円、Lagunitasでも一本150円程度、日本ではこの類のビールはその3倍はしますし。