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tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

まほろびすと

2012年02月07日 | 奈良にこだわる
まほろびすと 創刊号(MaforoVist Vol.1)
まほろば会
実業印刷株式会社

面白い雑誌が創刊された。その名も「まほろびすと」(600円)。この書名は「まほろばを彷徨う人」というほどの意味だ。「奈良に焦がれ、歴史に耳澄ます情報誌」と銘打った、クォリティの高い雑誌である。公式サイトの《「まほろびすと」とは》が、読ませる。

創刊にあたって
奈良県民の一人として、自問する。「奈良の魅力とはいったい、何だろうか」。平城遷都1300年祭で見え隠れしたその答えを、雑誌を通して導き出してみたい。そう考えた。

コンクリートに囲まれ、喧噪に包まれた毎日を送る現代人は、奈良を憧憬する。それは、古代が手つかずに残るこの地に、神秘的な異空間を思い描いているからにほかならない。浪漫の匂いを求め、人は奈良にやって来る。

起源や歴史。背景に潜む秘話。一つひとつをつなぎ合わせ、そこに法則やつながりを見いだせたとき、発見と感動が生まれるように思う。

奈良は今年、『古事記』完成1300年。2020年には、『日本書紀』完成1300年を迎える。私も貴方も今、記念すべき瞬間に立ち会っている。

「深く知る喜び」を求め、まほろばに焦がれる大人たちに向けて――。歴史に耳澄ます情報誌を、創刊する。

変な書名ですが…
書名を聞かれて、「まほろびすと」と答えると、たいていは、「覚えにくい名前やな~」という反応が返ってくる。それもそのはず、あえて聞きなれない書名を狙った。

「Maforova(まほろば)」+「ist(…主義)」=「MaforoVist」。全くの造語である。スペルもいじって、オリジナルな固有名詞にした。「まほろばを彷徨う人」くらいに受け止めてもらいたい。

真秀(まほ)ろばとは、ほかに類を見ない素晴らしい国の意。現代で言うなら、「心のふるさと」といったところか。

ぜひ貴方にも、奈良を彷徨い、自分だけのまほろばを見つけていただきたい。この言いにくい書名が、センスを共有する仲間と仲間をつなぐ、秘密のCODEのような存在として親しまれることを願っている。


箸墓古墳(桜井市箸中)。これは私が11.10.1に撮った写真

啓林堂書店HPの「奈良の書籍」コーナーでも、紹介されている。《様々な角度から奈良の魅力に迫る、古都・奈良を知るための情報誌、創刊! 古代より引き継がれてきた奈良の歴史、文化・・・しかし、意外に知らないことも多いのではないだろうか。だが故郷を深く知ることで、初めて得られる発見・喜びがある。本誌はそんな本物を読者に示してくれる。タイトルの”まほろびすと”とは”まほろばを彷徨う人”のこと。また、”まほろば”とは”素晴らしい国”という意味だ。そんな素晴らしい心のふるさとに思いを馳せながら旅ができるとは、なんとも心地のいい贅沢である》。 目次をかいつまんで紹介すると、

記紀万葉ツアリズム ― 歴史の重心・飛鳥へ ―
(甘樫丘、甘樫坐神社、飛鳥坐神社、飛鳥京跡、飛鳥寺、山帰来など)
聖地で滋味に癒される
(十輪院「精進カレー」、龍泉寺「蕎麦懐石」、當麻寺宗胤院「茶粥点心」など)
夫婦で、奈良に住んでみました(柿の葉寿司を食べ比べ)
オオモノヌシ、祟る
飛鳥に隠れている大いなる謎(地図で読み解く、埋もれた古代)


上記「夫婦で、奈良に住んでみました」のページ(全3ページ)には、ブログ「奈良に住んでみました」でおなじみのnaka&にっしゃんご夫妻が登場されていた。ネット(ブログ)と紙媒体(雑誌)のメディアミックスである。1/24付のブログ記事「奈良の新情報誌『まほろびすと』に参加させて頂きました」によると、

《「夫婦で、奈良に住んでみました」の第1回目のテーマは「柿の葉寿司を食べ比べ」です。編集者の方をまじえて、計6店の柿の葉寿司を食べ比べてみました。要は、いつも夫婦二人でやってブログに書いていることの延長線上ですから、特に気負ったり身構えたりもせず、ただただ楽しかったです。柿の葉寿司なんて、どこもそれほど味が変わらないものかと思いきや、びっくりするほど個性があって、全く違うものなんですよね。自宅でやるには準備が大変ですが、食べ比べて好きなランキングをつけてみたりすると、かなり楽しめると思います》。

《このコーナーを始めるにあたって、編集者の方とも色々とお話したのですが、私たちは食に関しても、奈良に関しても専門家ではありませんから、あくまでも「奈良好きな一般人が奈良を最大限に楽しむ」というスタンスで行こうと思っています。専門的な深い話は他の先生たちが担当なさいますので、その中に紛れて、ちょっとしたアクセント役になれればいいですね》。

《また、こんな風に広く雑誌の存在をアピールする役割も期待されていると思いますので、これからもたまに告知にお付き合いください!》。「奈良好きな一般人」と謙遜されるが、健全な市民の目線で書かれていて、「うん、そうそう」「どうせなら、大滝茶屋のも入れといてほしかったなぁ」などとツッコミながら、楽しく読ませていただいた。次回の企画が楽しみだ。

「まほろびすと」編集部はFacebookも開設していて、そこにこんなウラ情報が出ていた。書かれたのは副編集長の白崎友美さんである。《奈良県発行の観光ガイドブック『なら記紀・万葉名所図会~古事記編~』。奈良県ならの魅力創造課の委託を受け、弊社・実業印刷が制作いたしました。ディレクターを務めたのは、何を隠そう『まほろびすと』の編集長です!県のご担当者とともに企画、構成を考え、文章、写真にいたるまで、すべて編集長が手がけました。奈良には『古事記』ゆかりの地がたくさんあります。読み応えたっぷりですので、ぜひお手にとってご覧くださいね!》。何だかタッチが似ていると思っていたら、やはりそうだったのだ。どちらも写真(特に空)にインパクトがあり、文章も、ほどよく引き締まっている。

産経新聞奈良版(1/31付)も、《情報誌「まほろびすと」創刊 奈良の歴史中心に観光振興へ 記紀万葉ゆかりの地特集》の見出しで報じていた。《今年スタートする記紀・万葉プロジェクトに合わせ、奈良の歴史を中心にした観光振興を目指す新しい情報誌「まほろびすと」が創刊された。記紀万葉ゆかりの地を特集し、観光に欠かせない食の情報もたっぷり盛り込まれている》。

《発行は奈良市の「実業印刷」で、同社は平成10年から季刊誌「あかい奈良」を発行してきたが、3月10日発行の55号で休刊することになり、今年の古事記編纂(へんさん)1300年に合わせ、新しい情報誌を発行することになった。同社の沢井啓祐社長は「以前はこだわりすぎて、イベントとの共同企画などPRがしにくいこともあった。行動したくなるような内容を追求したい」としている》。

《創刊号は「記紀万葉ツアリズム」をテーマに、甘樫丘や飛鳥寺、県立万葉文化館など飛鳥地方を特集。「聖地で滋味に癒される」の題で、寺社などで提供される料理など普段あまり味わえない食の特集も掲載した。また、ミステリー作家の七尾与史さんの寄稿もある。沢井社長は「地元の観光業などと協力し、奈良に足を運んでもらう仕掛けをしていきたい」と話している。A4判フルカラー。1、4、7、10月の各25日の発売で、税込み600円。発行部数は1万部を予定している。県内の書店や京阪神の主要書店で販売される》。

これまでの奈良の雑誌と違うのは、切り口の斬新さ、硬軟使い分けの巧みさ、そして写真と文章のシャープさ、ということになるだろうか。ちゃんと県南部に目配りできているところも、好感が持てる。宮家美樹さん(神社ライター)のようなプロ中のプロもいれば、naka&にっしゃんご夫妻のような「奈良好きの一般人」も登場する。これらを「こおろこおろ」とかき混ぜているうちに「まほろびすと」という雑誌が自ずから「成った」、そんな気配さえ漂う。県民はもとより、県外の奈良好きにも読んでいただき、ぜひ奈良を巡っていただきたいと思う。
※ネットからのご注文は、トップに貼ったアマゾンから。FAXでのご注文は、こちら

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