tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

「年越しにゅうめん」で行こう!

2023年12月21日 | 奈良にこだわる
年の瀬も押し詰まってきました。大晦日が来ると年越しそば、ということで、デパートやスーパーでは、バラエティ豊かな麺・ツユ・具材のセット商品などが並べられています。
※トップ写真は、桜井市商工会から貸していただきました

年越しそばの習慣は、江戸時代に江戸で始まったようです。由来には諸説ありますが私は、細く長い麺から「寿命や家運を延ばす縁起担ぎ」という説をとりたいです。

しかし江戸時代に江戸で始まったこの食習慣、全都道府県で「右へならえ」しないといけないのでしょうか。奈良県内では、三輪そうめんなど「県産手延べそうめん」の製造が盛んです。桜井市商工会では毎年「三輪にゅうめんマップ」を作り、にゅうめん(煮麺)の普及に努めています。

皆さん、奈良県内では年越しそばではなく「年越しにゅうめん」を食べませんか? 夏場のイメージの強いそうめんの冬場の食べ方として、にゅうめんに親しむことができ、同時に県産手延べそうめんの販売促進にもつながります。

おせちに入れる身欠きニシンを載せても、焼いたお餅を入れても良いでしょう。皆さん、今年の大晦日からは「年越しにゅうめん」で行きましょう!
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田中利典師の「一千座護摩供」(朝日新聞「人生あおによし」第9回)

2023年12月20日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、「一千座護摩供(いっせんざごまく)」。2014年の朝日新聞「人生あおによし」第9回である。師は京都府綾部市の自坊で、1日9回護摩を焚き、それを112日続けた。食事は1日2回で、睡眠時間はわずか4時間。これは金峯山寺ではなく、比叡山で行われている修法だそうだ。これは奥さんも、さぞ心配されたことだろう。
※トップ写真は、吉野水分(みくまり)神社の桜(2022.4.7撮影)

この荒行のことは、別のところ(一千座護摩供)でも書かれていて、そこでも「修行をしても何にもならんかった」とお書きだった。しかし決してそんなことはなくて、その後の八面六臂のご活躍は、このときに得たパワーが基になっていた、と振り返っておられる。では、全文を以下に紹介する。

一千座護摩供
平成5年6月、金峯山寺を休職し、私は自坊で4ヵ月にわたって毎日護摩を焚き続ける「一千護摩供」を発願しました。午前1時半に起床して水垢離を取り、3時、4時半、6時と護摩行を行じます。

法楽勤行して、一汁一菜の朝食を取り、更に午前8時、9時半、11時と護摩行を続け、昼食後も午後2時、3時半、5時と修法します。最後の法楽を終えると午後7時を回ります。夜食は取りません。一日2食。就寝は9時半で平均4時間の睡眠です。

加えて最後の百座行では五穀と塩を断ちました。三間四方のお堂で護摩を修すると、夏の堂内は60度以上の灼熱地獄になり、大量に汗をかきます。さらに体力が落ちました。ですが、それとは逆に気力は充実し、体は軽くなりました。役行者は空を飛んだという伝説がありますが、塩を断ち続ければ人は誰でも飛べるかもと思ったものです。

体重は15㌔減りました。満行日は多くの方に祝っていただき、へなちょこな行者を守って下さったご本尊のお陰であると感涙にむせびました。実は千回も護摩を焚き続けたのに一度もご本尊との一体感は得られず、雑念ばかりを燃やし続けたようなことでした。

しかし金峯山寺に戻ってからは修験三本山合同や役行者霊場会の設立、吉野大峯の世界文化遺産登録、修験道大結集、紀伊山地三霊場会発足など次々と大きな事業を成就させることが出来ました。「修行しても何にもならん」と悟った護摩供でしたが、今から振り返るととてつもなく大きな力を与えていただいたのかもしれません。
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「三輪にゅうめんマップ vol.2」が 発行されました!

2023年12月19日 | お知らせ
このたび桜井市商工会は、「三輪にゅうめんマップ vol.2」(2023年度版)を発行されました。好評だったvol.1(2022年度版)の続編で、お店の数も22ヵ店から34ヵ店に増え、にゅうめん(煮麺)メニューも充実しています。桜井市商工会のサイトには、

桜井のまちでオリジナルの三輪にゅうめんがたべられるお店を掲載した「三輪にゅうめんマップ」の2023年度版を発行しました。今回は、掲載店舗が34店舗に増え、オリジナルにゅうめんの種類もさらに増えました!お馴染みのお店。はじめてのお店。いろんなお店をまわって、お気に入りの1杯を見つけてください。

冊子の現物は同商工会で入手できますが、ネット(PDF)でも、ダウンロードできます。また、こんな楽しいアニメーションもあります。


夏場のイメージのあるそうめんですが、冬場も「温」で楽しめるそうめん。いろんなものと組み合わせて、いただきたいものです。

ぜひ、このマップを参考にして、三輪界隈をお訪ねください!
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田中利典師の「奥駈(おくがけ)で見えるもの」(朝日新聞「人生あおによし」第8回)

2023年12月18日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、朝日新聞奈良版「人生あおによし」の第8回「奥駈で見えるもの」。この連載は2014年11月9日から、20回のシリーズとしてスタートした。掲載当時の原稿に少し手を入れたものを師から送っていただいたので、掲載順に紹介させていただいている。この頃、還暦をお迎えになった利典師の「前半生の振り返り」である。
※写真は、吉野山の桜(2022.4.7撮影)

前回「奥駈の1日(下)」を掲載すると、師からFBに〈連載はまだ続きます。そして人生の奥駈はまだ続いています〉というコメントをいただいた。修験道では「山の行(山修行)より里の行」というそうだ。現実の奥駈修行からリタイヤされた師は今、自坊のご住職として日常生活を営まれながら、「里の奥駈修行」を実践しておられるところで、その様子はFBでいつでも拝読できる。では、全文を紹介する。

奥駈で見えるもの
国土の大半を山が占めるわが国では、山は古代から神仏や祖霊がいます世界と考えられ、畏れをもって仰ぎ見てきました。修験者にとって山は神仏の顕現であり、その聖なる世界に入って行ずるのが奥駈修行なのです。

わが身の罪を懺悔して、神仏にひれ伏します。汗や脂が体から流れ出て、眼耳鼻舌身意の六根が聖なる山に浄化される実感を得るのです。現代風に言い換えれば、神仏によって「癒やされる」一時と言えます。

修験道はどこまでも実践の宗教です。先達曰く「足に豆が出来てもかばうと膝を痛めます。かばわず歩き続ければやがて痛みが快感に変わりますよ」。むちゃに聞こえる先達のそんな助言が本当のことだとわかるには、実践してみるしかないのです。

修験道の教義書の多くは、「本覚」という簡単に言えば人は本来的に悟っているという立場で書かれています。ところが煩悩悪業の塵によって心身が覆われているため、迷う凡夫に身をやつしているのだというのです。命がけの入峰修行によってその塵を振り払うのが修行の肝心です。

そう考えると、現在の簡便な山上参りが本義から形を変えていることが気になります。山上参りを何回したとか、奥駈を何度行じたとか、そんなことは問題ではないのです。いかに懺悔の心を持って行に臨めたか、それのみを問わなければならないと私は思います。
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春日荷(にない)茶屋の「奈良のっぺい」/全国の「のっぺい汁」のルーツか

2023年12月17日 | グルメガイド
年に2日しか味わえない「奈良の郷土料理」がある。それが春日荷茶屋(春日大社境内)の「奈良のっぺい」だ。春日若宮おん祭(まつり)の時期、12月16日と17日の2日間限定で提供される。@660円(税込み、以下同じ)だ。私は、昨日(2023.12.16)の正午少し前にお邪魔した。店頭には、こんな貼り紙があった。


参道には、こんな看板が出ていた

奈良のっぺい
昭和40年頃まで、奈良の町家でおん祭の17日に、お祭りのご馳走として食べられてきた野菜の煮物です。材料は、大根、人参、ごぼう、里芋、油あげ。もとは寺院で食べる精進料理だったそうですが、現在日本の各地にのこるのっぺい・のっぺい汁は、奈良のものが原形であろうといわれています。奈良の食文化の伝承のため、再現しました当店特製ののっぺいをお召し上がりください。 春日荷茶屋



外国人観光客の姿も

日本大百科全書「のっぺい汁」にも〈のっぺい汁は各地にあるが、奈良のものが古いといわれている。春日若宮の祭りの日につくっている。温かい料理であるから、一般に寒い季節に多くつくる〉とあるので、奈良発祥説は、ほぼ揺るぎないものと思う。奈良のっぺいは、農林水産省のサイト「うちの郷土料理」でも、「奈良県/奈良のっぺ」として紹介されている。抜粋すると、


私は、万葉粥と奈良のっぺいのセットをいただいた。@1,540円だった

奈良の郷土料理の一つであるのっぺは、里芋や大根、人参などを使った具だくさんの煮ものである。全国に「のっぺ」「のっぺ汁」はあるが、「奈良のっぺ」は、昆布や干ししいたけのもどし汁をだし汁として使った精進料理で、里芋が煮くずれて、自然にとろみがつくのが特徴である。


万葉粥は、単品だとこちら(@1,100円)。今月は長芋が乗った「長寿粥」。粥は昆布と鰹で
ダシを引き、そこに白味噌を加えてある。炊いて味をつけた黒キクラゲも、散りばめられていた

毎年12月17日に奈良春日大社で開催される「おん祭」のお渡り式に先立ち、15日に、おん祭を執りおこなう大和士(やまとざむらい)らが身を清める「大宿所祭」で大和士や参拝者らに「奈良のっぺ」がふるまわれる。

おん祭は平安時代1135年、全国でが飢饉や疫病が蔓延していたため、民の平安を願い藤原忠道により祈りを奉げたのがはじまりある。奈良の1年を締めくくる祭りである。



この日は、「大宿所」(おおしゅくしょ/奈良市餅飯殿町)で、おん祭の無事を祈る「御湯立(みゆたて)」の神事が営まれた。そのとき、新型コロナの流行で中止されていた「もちいどのセンター街」の人たちによる「奈良のっぺい」(看板には「のっぺ汁」)のふるまいも、4年ぶりに復活した。

知人のTさんによると、この日は菊水楼でもふるまいがあったので(濃餅=のっぺ)2杯、食べられたそうだ。なお大宿所のは汁気が多いので、「のっぺい汁」という表記が似つかわしい。

皆さん、今日(12/17)が、今年最後のチャンスだ。ぜひ春日荷茶屋へ、足をお運びください。なお営業時間は10:30〜16:30(ラストオーダー16:00)ですが、早めのご訪問がお薦めです!
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