鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

『死神』呼ばわりは「お前の母ちゃん出べそ」と同じ

2008年06月26日 19時27分23秒 | 個人的主張など
コラム『素粒子』に書かれた記事に鳩山法相が怒りをあらわにして朝日新聞批判をした。時々おかしなことを口走る法相に対する揶揄だとしても『死神』は幼稚だ。陳腐さをあぶり出そうとして自分が陳腐になってどうする。この記者はゲームやアニメ好きなのだろうか。

『死神』とされたことに対して無視できずに怒りをあらわすなどというのも、これまた挑発にのって悔しがる子供レベルだ。とはいえこれは政治的意図があっての作為的発言なのだろう。鬼の首を取ったかのごとく朝日新聞という組織全体を否定してみせた。秘書官が発言のシナリオをつくるのだろうか。マスコミに対する牽制というより圧力なのだろう。

日曜の番組《サンデーモーニング》で、つい先頃死刑が執行された故宮崎勤死刑囚の事が話題になっていた。「あの事件は結局何だったんでしょうね。何故起きたのかもよく判らず、本人の反省も謝罪もないまま刑が執行されて・・・残念ながら解明されないでしまったんですね」という発言があった。

そうなのだ、現在の制度では、こんな結末にしかならないのだ。あの事件は間違いなく精神を病んでいる人間にしか起こせない。しかし責任能力ありとして死刑判決は下され刑も執行された。

それで何が教訓として残ったのだろう。いかり肩で天然パーマの色白の全く表情を動かさない眼鏡を掛けた青年の映像と、釈然としない感覚しか残らなかったような気がする。関係した多くの人達にしても絶望感や嫌悪感や徒労感などのマイナス感情が残っただけで、同情や理解や達成感などのプラス感情はあまり得られなかったのではないだろうか。

ここまでを日曜の午後に書き何となくブログに出し損ねていたのだが、『全国犯罪被害者の会』が記者会見を開いて抗議したという記事を読んだので、少し文を追加して出したいと思った。

・・・重大事件の被害者や遺族で「全国犯罪被害者の会」(あすの会)は25日、都内で記者会見し、「被害者遺族も『死に神』ということになり、我々に対する侮辱でもある」と抗議した。代表幹事の岡村弁護士は会見で、「私たち犯罪被害者・遺族は、死刑囚の死刑執行が一日も早いことを願っている。発言は、鳩山法相に対する批判であるが、そのまま犯罪被害者遺族ににもあてられたものだ」と述べ・・・(朝日新聞6/26朝刊より抜粋)

死刑囚の死刑執行が一日も早いことを望んでいるのか・・・と今さらながら衝撃だった。あからさまな報復感情の吐露と言えるだろう。このように表明することでしか心の収まりがつかないということだ。それは重大凶悪事件に対しての現在の司法・行政が、被害者や遺族をいかにないがしろにしているかということの証明だ。

被害者・遺族は『なぜ』を直接問いかけることすら出来ずに、ほったらかしにされ、悲しみと悔しさの末に、加害者個人の死を望むしか希望を持てない状態になるのだろう。光市母子殺害事件の被害遺族の発言にそれがはっきりと顕れている。彼(本村氏)の発言に『妻子の死の直前のことは加害者しか知りえないから本当のところが知りたい・・』という内容があった。彼が切に望んだのは死刑判決などではなく加害者から《真実を直接聞く事と謝罪の言葉》だったようだ。

現在の刑事事件の裁判制度は、加害者を被害者から取り上げて、いたずらに報復感情をあおっているようなものだ。矛盾に満ちた制度のなかで悪感情が増幅していく。

テレビなどマスコミの編集のせいなのだろうか・・? 鳩山法相には、人の死をも握っている地位の懊悩や躊躇などが微塵も感じられず、気味悪さは増すばかりだ。

コメント (2)
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