これが自然にぶらさがっているのを見るのは、たぶん二度目だ。
子どものころからなじみのアケビかと思ったが、色合いが少し違う。
アケビなら裂けていてもよさそうな感じなのに丸いままで、葉っぱが決定的に違う。
パッションフルーツかとも思ったが、丸さや艶が違う。
カラスウリとは色も大きさも違いすぎる。
ムベで間違いないだろう。
いつも通る近所の目線の高い位置にあったのを発見した。
春になったら、これがムベの花かと、気づくかどうか。
郁子という一度も会ったことのない従姉がいる。
見惚れるほどにきれいな字で書かれた、私の母宛の手紙を読んだことがある。
母の葬式の合間に、俳句をやっている義伯母と郁子の話が出て、郁子は『ムベ』と読むと季語なのだと教えてもらった。
秋の季語なのかと思い、この度この機会に調べた。
郁子の花が春の季語なら、郁子の実が秋の季語だとか、むべなるかな。