これは、よその家で使われていたドアの取っ手。
一切合切廃棄処分されるところを、貧乏性の男の目に止まり、中途半端に捨て置かれている。
アンティークを大切にするイギリスならば、そのての市で相応の値がつく良い品ではないだろうか。
毎日毎日人の手に握られ、手垢や汗や脂で、味がでた代物。
これを生かすには、他との調和も考えながら、重厚な扉が必要かもしれない。
こういう取っ手は、ふつう握り玉を回してドア枠に入っているチョボを引っ込め、ドアを開ける。
これは、チョボがなくて握りだけ。
何か良い取っ手でもないかな、という機会が訪れ、こいつを思いだした。
錠前は室内から閂で、外からの錠はなし。
付けてから載せたら良いのに、これでいこう変更は無しと、退路を断つためにいま。