
血液検査のために採取する段になって、少しだけ余分に血を採らせてくれないか、研究に役立てさせてくれないかという申し出があった。
貧血になったこともないし、血がもったいないと思ったこともないので、即座にOKした。
今まで凡人として生きてきたこの私が、医学の進歩に貢献してしまうかもしれないのだから、ためらうどころか三人前採ってくださいなどと言い出しそうになった。
血を少し分けるくらいで、医師から長々と説明をしてもらったけれど、書面をもらいサインもした。
それより、前立腺癌診断のマーカーがまだPSA検査しかないと聞かされて何となくがっかりだ。
その後の前立腺針生検で診断は確実にできると聞いて安心はしたが、他のマーカーの開発のためにと言われ、即決頷いた。
マーカーという用語は、前立腺癌で死んだ兄が発病当初、自分の病気を説明するためにしばしば使い、初めて知った言葉だった。
遺伝子多型という言葉は、自分が怪しくなって初めて触れた言葉。