玄関の外を掃いていて、コンクリート蹴上げの立ち上がりに土の塊がくっ付いているように見えたので、箒で何気なくそぎ落したらコイツだった。
繭を作り上げて、蛹になる準備ができたところだったのだろう。
気の毒なことをした。
ちょっかいを出すと、体をよじったりする元気はあったので、草むらに掃き入れた。
繭を体内に取り入れて再生することはできないだろうけれど、もう一度新築する体力はあるだろうか。
地味ではあるが、この洗練されたデザインは見たことがあるような気がする。
この柄のセーターを持っているような気がする。
あるテキスタル・デザイナーが、そっくりこの模様を写生したに違いない。
盗用とは言わないだろう・・・当用か。
半日後に草むらを見たら、繭はそのままだったが、虫は消えていた。