こんなものがこんな形で売っているとは思いもしなかった。
私が買ったのではなく、買ったけれど面倒だと持て余した人間から押し付けられた。
このくるみの種類は、いろんなところに自生している鬼グルミ。
ウチの田舎でもそこここに生えていて、実を落としているが拾う人はあまりいない。
私たちが菓子グルミと呼んでいるクルミは、実が大きくてしかも殻が硬くないので、手で割ることすらできる。
姫グルミは実が小さいけれど、その割に中身が大きくて殻を割るとかなり綺麗に身がはずせる。
それに対して、このクルミは殻が硬くて身は小さく、しかもはずしにくい。
このように半分になっていてさえ、ほじくると粉々になるばかり。
ところが他の種類と比べると、味が濃くて、これでないと嫌だという人さえいるくらいに美味しい。
昨年のNHK大河ドラマ『真田丸』で昌幸を演じた草刈正雄が策略を練りながら、一人で食っていたのが、このクルミだと思われる。
細かい演出がなかなかに上手いと思った。
爪楊枝でほじくり食べ始めると、癖になってなかなかやめられない。
ここまで食ってから爪楊枝は折れることが多くて効率が悪いと思い知り、ケーキ用ステンレスフォークに替えた。
だんだんとほじくり方もわかってきて、かなり大きめに外れたりするのが嬉しい。
400円は手頃な値段だと思われるが自分で買おうとまでは思えない。
この味を知ってしまったらからには、来年せっせと鬼グルミ拾いをするだろう。
半分に割れる道具でもあるならば同様にして使い物にだってできるではないか。
生産者欄に私の名前が記され、道の駅に並べられる日もありや・・。