産経新聞の古森義久氏が連載しているコラム「緯度経度」が問題になっています。
始まりは2006年8月12日のコラムでした。
そこで、外務省管轄下の日本国際問題研究所(JIIA)が今春から始めた英文での「JIIAコメンタリー」は、日本からの対外的な発信という意味で時宜を得た発信だと思った。そのように古森氏はコラムをはじめておりました。
そして、英語の論文の形で定期に発信される、その論文をワシントンで読んでびっくり仰天したのだそうです。
ここで内容の指摘をしているのですが、とりあえず私は端折ります。
終わりのほうにこうある。
「この論文の筆者の名を・・国際問題研究所の英文編集長の玉本偉氏だというのだ。玉本氏は在住の長い米国のその筋では知る人ぞ知る、日本政府の対外政策をたたいてきた過激な左派学者である。2003年のワシントンでのセミナーで『北朝鮮の拉致問題というのはすでに解決ずみであり、日本側は対外強硬策の口実にしているだけだ』とか・・断言するのを私もまのあたりに聞いた。」
最後はこうでした。
「現在の日本の外交や安保の根本を否定するような極端な意見の持ち主に日本の対外発信を任せる理由はなんなのか。この一稿の結びを佐藤理事長(元国連大使の外務官僚)への公開質問状としたい。」
すると、米紙ワシントン・ポスト8月27日付に米国民主党系活動家が書いた投稿文が掲載されたのだそうです。
そこでコラム「緯度経度」のその文を非難して
「自由な言論を抑圧し、市民社会に後退を迫る右翼による公的人物に対する威嚇キャンペーンの最新の襲撃」だと中傷する文が載ったのだそうです。
9月16日産経新聞は、その後の経過を示しております。
そのワシントン・ポスト投稿文。800語以上の長さの文に対して、
450語の反論と抗議の投書を8月30日に送ったが、スペースの制約のために250語ほどまで短縮してほしいという要請があったそうです。その翌日、短縮した書簡を送ると、その翌9月1日にたぶん掲載との通知があるものの、掲載されずに、問い合わせに対しては回答がない。という以上の様子を産経新聞が国際欄で記事にしておりました。
さて、この米紙投稿文を利用したのが、朝日新聞でした。
9月8日の朝日新聞には社説脇には、
この問題の掲載論文を閲覧停止にした佐藤理事の判断を非難する記事を作っておりました。そこにはこうあります。
「佐藤氏は朝日新聞の取材に【『靖国カルト』など不適切な言葉遣いがあった。内容ではなく表現の問題だ。もう一度よく精査している】と語った」とあります。
そこでの朝日新聞の記事には玉本偉氏の名前は載っていないのですが、
玉本氏の論文をこんな風に引用しております
「小泉首相や過去の首相の靖国神社参拝を『靖国カルト』(崇拝)と表現し、『日本の政治的見解は海外で理解されない』などとしている」
もとにもどって古森義久氏の8月12日「緯度経度」には、そのカルトのニュアンスを朝日新聞の(崇拝)という言葉とは違って伝えておりました。
その箇所。
「その英語の文章は靖国神社の参拝支持を『靖国カルト』と評するような偏向言語に満ちている。カルトとはオウム真理教のような狂信的宗教集団を意味する断罪言葉である。」
どうですか、日本語で、(崇拝)というのと「狂信的宗教集団を意味する断罪言葉」というのでは、だいぶ開きがあります。
どちらの記事をたよりにしたらよいと思いますか?
もうすこし古森氏の玉本偉氏の論文紹介を引用してみましょう。
「同論文には日本の現実派の思考を『反歴史的想像』と呼び、戦後の日本国民の戦争観を『記憶喪失症』と断ずるなど、全体として米欧の左派系や中国の日本たたきに頻繁に使われる扇情的、情緒的なののしり言葉があまりに多い。この点では『反日』と呼べる論文なのである。」
そこで、これが9月18日産経新聞一面コラム「産経抄」で取り上げられておりました。
「スティーブ・クレモンスなる御仁によれば、小紙と古森義久記者が『言論を弾圧している』そうだ。」とコラムを書き始め、
「古森記者はすぐ反論をポスト紙あてに送ったが、2週間たっても掲載されなかった。『言論の自由』について考えさせられる対応である。」とコラムを終えています。
どうやら、私たちは、ワシントン・ポスト紙の程度を知っておいた方がよさそうです。
例によって朝日新聞の記事には、ボヤかしたアイマイ表現で閲覧停止を非難して
「研究所や外務省内にも『過剰反応』と異論があり、米紙は『言論封殺』とする寄稿を掲載。」とさも米国の新聞という書きぶりになっております。
どの新聞か知りたい朝日新聞の読者にワシントン・ポスト紙への直接の言及を、濁しておりました。いつもながら朝日の5W1Hの新聞のイロハは死語になっているようで、私たちは、ワシントン・ポストとともに、玉本偉の名前も忘れないようにしたいですね。もちろん朝日新聞の記事取り上げ方の巧妙さも忘れないことにします。
とにかくも、こういうことが現在進行形としてあるのですから、
知っておきたいものです。それでなくても、アジアの人からは
日本のヒトは社会歴史を知らないと非難されている。
じつは、現在も知らないんですと、正直に白状しちゃいましょう。
始まりは2006年8月12日のコラムでした。
そこで、外務省管轄下の日本国際問題研究所(JIIA)が今春から始めた英文での「JIIAコメンタリー」は、日本からの対外的な発信という意味で時宜を得た発信だと思った。そのように古森氏はコラムをはじめておりました。
そして、英語の論文の形で定期に発信される、その論文をワシントンで読んでびっくり仰天したのだそうです。
ここで内容の指摘をしているのですが、とりあえず私は端折ります。
終わりのほうにこうある。
「この論文の筆者の名を・・国際問題研究所の英文編集長の玉本偉氏だというのだ。玉本氏は在住の長い米国のその筋では知る人ぞ知る、日本政府の対外政策をたたいてきた過激な左派学者である。2003年のワシントンでのセミナーで『北朝鮮の拉致問題というのはすでに解決ずみであり、日本側は対外強硬策の口実にしているだけだ』とか・・断言するのを私もまのあたりに聞いた。」
最後はこうでした。
「現在の日本の外交や安保の根本を否定するような極端な意見の持ち主に日本の対外発信を任せる理由はなんなのか。この一稿の結びを佐藤理事長(元国連大使の外務官僚)への公開質問状としたい。」
すると、米紙ワシントン・ポスト8月27日付に米国民主党系活動家が書いた投稿文が掲載されたのだそうです。
そこでコラム「緯度経度」のその文を非難して
「自由な言論を抑圧し、市民社会に後退を迫る右翼による公的人物に対する威嚇キャンペーンの最新の襲撃」だと中傷する文が載ったのだそうです。
9月16日産経新聞は、その後の経過を示しております。
そのワシントン・ポスト投稿文。800語以上の長さの文に対して、
450語の反論と抗議の投書を8月30日に送ったが、スペースの制約のために250語ほどまで短縮してほしいという要請があったそうです。その翌日、短縮した書簡を送ると、その翌9月1日にたぶん掲載との通知があるものの、掲載されずに、問い合わせに対しては回答がない。という以上の様子を産経新聞が国際欄で記事にしておりました。
さて、この米紙投稿文を利用したのが、朝日新聞でした。
9月8日の朝日新聞には社説脇には、
この問題の掲載論文を閲覧停止にした佐藤理事の判断を非難する記事を作っておりました。そこにはこうあります。
「佐藤氏は朝日新聞の取材に【『靖国カルト』など不適切な言葉遣いがあった。内容ではなく表現の問題だ。もう一度よく精査している】と語った」とあります。
そこでの朝日新聞の記事には玉本偉氏の名前は載っていないのですが、
玉本氏の論文をこんな風に引用しております
「小泉首相や過去の首相の靖国神社参拝を『靖国カルト』(崇拝)と表現し、『日本の政治的見解は海外で理解されない』などとしている」
もとにもどって古森義久氏の8月12日「緯度経度」には、そのカルトのニュアンスを朝日新聞の(崇拝)という言葉とは違って伝えておりました。
その箇所。
「その英語の文章は靖国神社の参拝支持を『靖国カルト』と評するような偏向言語に満ちている。カルトとはオウム真理教のような狂信的宗教集団を意味する断罪言葉である。」
どうですか、日本語で、(崇拝)というのと「狂信的宗教集団を意味する断罪言葉」というのでは、だいぶ開きがあります。
どちらの記事をたよりにしたらよいと思いますか?
もうすこし古森氏の玉本偉氏の論文紹介を引用してみましょう。
「同論文には日本の現実派の思考を『反歴史的想像』と呼び、戦後の日本国民の戦争観を『記憶喪失症』と断ずるなど、全体として米欧の左派系や中国の日本たたきに頻繁に使われる扇情的、情緒的なののしり言葉があまりに多い。この点では『反日』と呼べる論文なのである。」
そこで、これが9月18日産経新聞一面コラム「産経抄」で取り上げられておりました。
「スティーブ・クレモンスなる御仁によれば、小紙と古森義久記者が『言論を弾圧している』そうだ。」とコラムを書き始め、
「古森記者はすぐ反論をポスト紙あてに送ったが、2週間たっても掲載されなかった。『言論の自由』について考えさせられる対応である。」とコラムを終えています。
どうやら、私たちは、ワシントン・ポスト紙の程度を知っておいた方がよさそうです。
例によって朝日新聞の記事には、ボヤかしたアイマイ表現で閲覧停止を非難して
「研究所や外務省内にも『過剰反応』と異論があり、米紙は『言論封殺』とする寄稿を掲載。」とさも米国の新聞という書きぶりになっております。
どの新聞か知りたい朝日新聞の読者にワシントン・ポスト紙への直接の言及を、濁しておりました。いつもながら朝日の5W1Hの新聞のイロハは死語になっているようで、私たちは、ワシントン・ポストとともに、玉本偉の名前も忘れないようにしたいですね。もちろん朝日新聞の記事取り上げ方の巧妙さも忘れないことにします。
とにかくも、こういうことが現在進行形としてあるのですから、
知っておきたいものです。それでなくても、アジアの人からは
日本のヒトは社会歴史を知らないと非難されている。
じつは、現在も知らないんですと、正直に白状しちゃいましょう。