和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

活火山富士。

2008-04-04 | Weblog
4月1日は快晴。雲ひとつない青空。自動車で館山の農道を通ると、前に富士山がきれいに見えたのでした。前日の夜が寒かったと思ったら、富士の裾までたっぷりと白くなっておりました。今日は消防団の辞令交付式ということ。震災と富士ということで、思い浮かんだことを書いておきます。

万葉集によく知られた富士の歌がありますね。

   田子の浦ゆ打ち出て見れば真白にそ 富士の高嶺に雪は降りける

という、山部赤人の歌。この前にも言葉がありまして、そこにはこうあります。

「天地の 分かれし時ゆ 神さびて 高く貴き 駿河なる 富士の高嶺を 天の原 振り放(さ)け見れば 渡る日の 影も隠らひ 照る月の 光も見えず 白雲も い行きはばかり 時じくそ 雪は降りける 語りつぎ 言ひつぎ行かむ 富士の高嶺は」

さて講談社文庫「万葉集一」中西進を見てみると、この山部赤人の歌の次に高橋虫麿(たかはしのむしまろ)の歌が並んでおります。

そこで歌われているのが噴火の火柱の状況が語られているようなのです。ということで引用。

「不尽の高嶺は 天雲も い行きはばかり 飛ぶ鳥も 飛びも上(のぼ)らず 燃ゆる火を 雪もち消ち 降る雪を 火もち消ちつつ 言ひもえず 名づけも知らず 霊(くす)しくも います神かも ・・・・」



ちょうど、桜島が煙をはいて、鹿児島市街に灰が降るように、その昔「渡る日の 影も隠たひ 照る月の 光も見えず 白雲も い行きはばかり」というのと「燃える火を 雪もち消ち 降る雪を 火もち消ちつつ 言ひもえず 名づけも知らず」という富士の燃えさかる火柱と雪とのコントラスト。いつの日にか、私たちはそれを見ることになるのかもしれません。活火山活動の富士に降る雪を。 

参考書 山折哲雄著「悲しみの精神史」(php研究所)

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