注文した古本が月曜日届く。
講談社学術文庫「英文収録おくのほそ道」
ドナルド・キーン訳。
この文庫にキーン氏の講演も掲載されていて、
そこから引用。
「『おくのほそ道』にも即興的にできた挨拶の句がかなりある。
例えば、尾花沢で清風(せいふう)という人を訪ね、
『かれは富めるものなれども志いやしからず。
都にも折々かよひて、さすがに旅の情けをも知りたれば、
日比(ひごろ)とどめて、長途(ちやうど)のいたはり、
さまざまにもてなし侍る』。
そして、一つの俳句を作った。
涼しさを我が宿にしてねまる也
これは清風に対する挨拶であろう。
暑い夏の旅だが、あなたの家は涼しい。
我が家にいるような気楽さで、くつろぎ座っている。
内容はあまり深くないが、挨拶として完璧である。
また、俳句の中にある『ねまる』は、
この地方の方言で膝をくずして楽に座ることである。
土地の人は関西の人であった芭蕉が自分たちの
方言を使うことを喜んだだろう。
軽くて爽やかな調子のこの句の特徴を挙げうると、
改作(つまり、芭蕉がなにかの理由で俳句を変えた)
の跡が見られないことである。
挨拶という目的で作った俳句だったので、
一旦完成すれば、それ以上表現を磨いたり、
またはより簡潔にする必要を感じなかったのであろう。
・・・・・」
うん。印象に残る。
芭蕉も、旅の苦労を癒されて
うれしかったのでしょうね。
そんな気分がそのままにすくいとられている感じがします。
講談社学術文庫「英文収録おくのほそ道」
ドナルド・キーン訳。
この文庫にキーン氏の講演も掲載されていて、
そこから引用。
「『おくのほそ道』にも即興的にできた挨拶の句がかなりある。
例えば、尾花沢で清風(せいふう)という人を訪ね、
『かれは富めるものなれども志いやしからず。
都にも折々かよひて、さすがに旅の情けをも知りたれば、
日比(ひごろ)とどめて、長途(ちやうど)のいたはり、
さまざまにもてなし侍る』。
そして、一つの俳句を作った。
涼しさを我が宿にしてねまる也
これは清風に対する挨拶であろう。
暑い夏の旅だが、あなたの家は涼しい。
我が家にいるような気楽さで、くつろぎ座っている。
内容はあまり深くないが、挨拶として完璧である。
また、俳句の中にある『ねまる』は、
この地方の方言で膝をくずして楽に座ることである。
土地の人は関西の人であった芭蕉が自分たちの
方言を使うことを喜んだだろう。
軽くて爽やかな調子のこの句の特徴を挙げうると、
改作(つまり、芭蕉がなにかの理由で俳句を変えた)
の跡が見られないことである。
挨拶という目的で作った俳句だったので、
一旦完成すれば、それ以上表現を磨いたり、
またはより簡潔にする必要を感じなかったのであろう。
・・・・・」
うん。印象に残る。
芭蕉も、旅の苦労を癒されて
うれしかったのでしょうね。
そんな気分がそのままにすくいとられている感じがします。