和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

土佐言葉で書く。

2017-03-02 | 短文紹介
ちょっと、取りだしたのは
内村鑑三著「後世への最大遺物 デンマルク国の話」(岩波文庫)
ワイド版がありました(笑)。

講話を本にしたので、読みやすく寝ながらひらきました。
あれ、こんな箇所があったというのを引用。

「私は高知から来た一人の下女を持っています。
非常に面白い下女で、私のところに参りましてから、
いろいろの世話をいたします。ある時はほとんど私の母のように
私の世話をしてくれます。その女が手紙を書くのを側(そば)で
見ていますと、非常な手紙です。筆を横に取って、仮名で、
土佐言葉で書く。・・・ずいぶん面白い言葉であります。
仮名で書くのですから、土佐言葉がソックリそのままで出てくる。
それで彼女は長い手紙を書きます。実に読むのに骨が折れる。
しかしながら私はいつでもそれを見て喜びます。
その女は信者でも何でもない。
毎月三日月様になりますと私のところへ参って、
『ドウゾ旦那さまお銭(あし)を六厘』という。
『何に使うか』というと、黙っている。
『何でもよいから』という。
やると豆腐を買ってきまして、三日月様に豆腐を供える。
後で聞いてみると
『旦那さまのために三日月様に祈っておかぬと運が悪い』と申します。
私は感謝していつでも六厘差し出します。
それから七夕様がきますといつでも私のために七夕様に
団子だの梨だの柿などを供えます。
私はいつもそれを喜んで供えさせます。
その女が書いてくれる手紙を私は実に多くの立派な学者先生の文学を
『六合雑誌』などに拝見するよりも喜んで見まする。・・・」(p47~48)


これは明治27年の講話でした。
講話で読みやすく、はじめは
「デンマルクの国の話」を読みたかったのですが、
つい、こちらも読めました(笑)。
コメント
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