和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

赤ん坊の、教え。

2019-05-03 | 好き嫌い
昨日、注文しておいた古本が届く。
松田道雄著「京の町かどから」(昭和37年)。

最初だけを、パラパラと読む。
とりあえず、この箇所を引用。


「診察室にやってくる赤ん坊をみていると、
いろんなことを教えてもらえる。

赤ん坊が四カ月になると
混合ワクチンの注射をするのだが、
この注射にたいする反応がみんなちがう。
何しろ産院から帰って以来なめるように
愛撫されてきたのだから、
いたい思いなどしたことがない。
生れてはじめていたい目にあわされたとき、
人間はどんな反応を示すものかというテストを、
予防注射の副産物としてやれるわけだ。
私のカルテには第一回百日ゼキ、ジフテリア混合
ワクチン0.5と書いた次にカッコして、
一分二秒とか十五秒とかいう時間が記されている。
これは注射したあと、赤ん坊がどれだけの時間
泣いていたかという記録なのである。
人間のもって生まれた反応のタイプが
こんなにはっきりでることは、他にあまりない。
しかも、その反応がひとりひとりみんなちがう
ときているから、いやでも人間のタイプの
多様性を信じないわけにはいかない。」(p12)

こうはじまる、7頁ほどの文なのですが、
このあとに、大人の多様性の例を示して印象に残ります。
次の文の題は「地蔵盆」で、こうはじまります。

「大文字がすむと京の町の地蔵当番は、いそがしくなる。」

「地蔵盆は子どもの祭典である。」(p19)


ふう。私はこれだけ読んでもう満腹。
先を読み進めなくなる(笑)。

そういえば、読んだことがないのですが、
松田道雄といえば「育児の百科」が有名。


さてっと本棚に、以前古本で買った
松田道雄の本「私の読書法」(筑摩書房)があった。
なになに、送料とも280円でした(笑)。
それはともかく、
未読なのでひらくと、「読書と私」と
題した4頁ほどの文に、こんな言葉が、

「たまたま、しばらくあわない人にあうと
 『いま何かいてはります』とたずねられる。
人は私が三枚の原稿をかくために十冊の本を
よまねばならぬことを理解してくれない。」(p45)


それなら、「育児の百科」を、
いつかは、読んでみたい(笑)。


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2 コメント

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松田道雄さん (きさら)
2019-05-03 21:39:53
私は その育児の本をバイブルに~
二人の息子を育てました。
当時 一番人気の育児書でしたから。。。

あれから 何年も経ち
育児法は ずいぶん変化してしまいました。
返信する
これはこれは。 (和田浦海岸)
2019-05-04 03:53:52
これはこれは、
きさらさんは、バイブルだったのですね。

わたしは還暦を過ぎて、やっと、
「育児の百科」に、辿りついた。
というような気分でおります(笑)。
返信する

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