映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

香川京子の「私の履歴書」

2009-03-11 07:26:56 | 映画(日本 昭和49~63年)
日本経済新聞連載の「私の履歴書」今月は香川京子さんである。
この連載、経済人や政治家が中心だが、芸能人やスポーツ選手の時には異様に面白いときがある。以前田中絹代や東山千栄子、杉村春子、森光子などの女優が連載されていたことがある。今回もおもしろい。

子供のころから香川京子さんは素敵な人だと思っていた。東宝作品で見ることが多かった気がして東宝専属かと思っていたが、有名な「五社協定」の前にフリーになっていたので、自由にいろんな映画会社の作品を選べた数少ない女優であることを知った。

今日は小津安二郎監督「東京物語」に出たときの話であった。
写真は小津監督が香川京子にメイクするシーンである。
原節子が当時大スターでみんなに追いかけられるのを避けるために、前の駅で降りてロケ地に向かった話。監督の頭の中にできている映像コンテに基づいて、指示が細かくされているという話などが書かれている。

先日の成瀬巳喜男監督の話もよかった。
成瀬監督はだらだら撮影することを嫌い、朝9時から夕方5時までの定時で仕事をしたそうだ。「やりすぎの演技を嫌う」というのは映画を見ているとなんとなくわかる気がする。私もキャサリンヘップバーンのような大げさ演技は嫌いである。よくできた脚本も「これはいらない。」といくつか削って、セリフの思いを絵として重視するという話は映画人としてのすばらしさを感じた。

映画は小説と違い、筋やセリフよりも、風景、音や声を見せるものだと私は思う。
香川さんの文章を見て巨匠が考えることがよくわかった。

まだ出ていない黒澤明監督や溝口健二監督に関するコメントが楽しみである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする