映画とライフデザイン

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映画「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」ロザムンドパイク

2022-10-16 07:09:22 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「キュリー夫人」を映画館で観てきました。


映画「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」ノーベル賞を2度受賞した科学者マリキュリーの物語だ。小学生時代に子ども向けの伝記でキュリー夫人の物語を読んだことがある。最近はどうかわからないが、自分と同世代だった子どもたちは皆同じであろう。そんなキュリー夫人をロザムンド・パイクが演じているという情報を得た。「ゴーンガール」「パーフェクトケア」と自分には相性のいい女優である。

観に行こうとしたら、都内の上映館は立川だけ。まいったなあ!それでも気合いで映画館に向かう。会場内には自分より年上の老人が目だった。みんな子どもの頃にキュリー夫人の伝記を読んだクチだろう。ただ、子どもの偉人伝とは少し違う

ポーランドで育ったマリ・スクウォドフスカ(ロザムンドパイク)は才能を認められてパリのソルボンヌ大学で学ぶが、女性は彼女1人だけだった。ピエール・キュリー(サム・ライリー)の研究室を使うことになったマリはピエールと共に、ラジウムとポロニウムの2つの元素を発見して、放射能研究を進める。その功績で夫婦連名でノーベル物理学賞を受賞し、夫ピエールキュリーはソルボンヌ大学教授に昇進する。その後、夫は馬車の事故で不慮の死を遂げ失意のどん底に落ちる。それでも研究に打ち込んだマリは単独で2度目のノーベル化学賞を受賞する。

偉人キュリー夫人の意外な一面を観て驚く
そのむかし誰もがキュリー夫人の伝記を読んだ。そこで書かれているのは、自分が上記で書いた要旨であろう。ノーベル賞を2回受賞したこと、夫が馬車の事故で亡くなったことだけは記憶にある。ところが、そこに抜けていることがあった。

キュリー夫人が少数派だった女性科学者として、男性主体の権威への対抗心が強いこと。非常に性格的に激しい人で、傲慢でへそ曲がりであったこと。夫が亡くなったあと、研究者の同僚ポール・ランジュバン不倫に陥り、パリ中からパッシングを受けたことなどを知っている人は少ないであろう。この映画はロザムンドパイクの一人舞台に近い。キュリーは性格的にはイヤな女である。彼女が演じているというだけで一定以上の映画の水準は確保されている。適役だと思う。


⒈放射能研究の発展について
キュリー夫人の人生を振り返ると同時に、研究の成果として、がんの放射線治療、広島で投下された原子爆弾の話、米国内での原子爆弾投下の実験で破壊される場面やソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故などの映像が挿入される。

映画のセリフによると、ピエールは放射能の研究を他の人が応用することに寛容だったようだ。応用範囲は広い。ピエールは馬車の事故で亡くなった訳だが、死ぬ前から 血を吐いたり咳をしたり結核にかかっているように見受けられる。放射能の影響もあるのであろう。マリも咳をする場面が目立つ。

第一次世界大戦の時、マリは戦争で負傷した兵士が最も簡単に腕や足を失うのを知った。放射線の活用で切断するまでは悪化していないことを判断できると、レントゲンのような機械を導入せよと当局にくってかかる場面がある。そのために金の足しにとノーベル賞の純金のメダルまで差し出す。勇気ある立派な行動だ。


⒉不倫と家族
ピエールのソルボンヌ大学での助手ポール・ランジュバンについて、予備知識はなかった。調べると、物理学でかなり功績があるという。ランジュパン方程式というブラウン運動に関する確率微分方程式は見たことがある。キュリー夫妻の研究に協力してきた訳だが、ピエールの死去に落胆するマリと一気に接近してしまう。

キュリーの家に居ずっぱりで家には帰らないので、ポールの妻が心配する様子やゴシップが報道されてパリの街で後ろ指を指される姿が映画で描かれる。キュリー夫人は全く悪気がない。もっとも性的にもっとも熟している時期だったのは間違いない。周囲にゴシップが流れた直後に2回目のノーベル賞を、今度は2つの元素を発見したことによる化学賞で受賞する。それでもパリのマスコミ受けが悪かったようだ。

娘のイレーヌをアニャ・テイラー=ジョイが演じる。Netflixの「クイーンズギャンピット」や昨年の「ラストナイトインソーホー」にも出演している。両作品とも大好きだ。ただ、キュリー夫人の映画が2019年製作で先の作品だ。優秀な遺伝子は受け継がれるもので、娘イレーヌも夫婦でノーベル賞を受賞している。娘の婚約者が母親マリに結婚の許しを得ようと訪ねて尋問されるシーンもある。


マリキュリーはポーランド生まれとはいえ、フランスでの生活を描いているので英語のセリフに違和感を持ったが、どうも彼女の人生はフランスの国と相性がイマイチだった感じである。英国の俳優によりキュリー夫人が描かれるのもそういう根深い何かがありそうだ。
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