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映画「ブラックベリー」 

2024-06-16 17:09:14 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ブラックベリー」(日本未公開)をNetflixで見ました。


映画「ブラックベリー」は2023年のカナダ映画、日本未公開である。新しくNetflixのラインナップに入ってきた。知らない映画だなぁと思ったが、スマートフォンの創成期が取り上げられ興味深く感じた。ブラックベリーの携帯電話についての知識はない。監督は自ら出演しているマットジョンソンである。

日本映画でも洋画でも, IT技術者に関わる映画は、自分とは比較的相性が良い。昨年公開の東出昌大主演の「winny」も好きな映画だった。近くのTSUTAYAが閉店以来日本未公開のDVDを見る機会がすっかりなくなった。残念である。未公開作品には意外に掘り出し物ってある。今回も興味半分で観てみると、これがおもしろい!

通話機能だけだった携帯電話にメールとメッセージの機能を加えたコンパクトサイズの携帯端末を開発した男たちの物語である。

1996年、カナダのオンタリオ州ウォータルー「リサーチ・イン・モーション(RIM)」マイク・ラザリディスとダグラス・フレギンは、「SSサザーランド・シュルツ」のジム・バルシリー副社長の元へ「ピンクリンク」という名の携帯電話にメール機能を加えた機器のプレゼンを行う。他のことで気をとらわれていたジムはその場で却下する。ところが、ジムが突如RIMの事務所にやってくる。

まさに掘り出し物の映画だ。実におもしろい!
こういうときこそNetflixに感謝する。

最初の出だしだけ一瞬よくわからないまま進むが、オタクのRIMの2人とハーバード出の上昇志向の強い男が出会う場面からリズムが良くなる。高揚する場面とクレームであたふたする場面を巧みにバランスよく配置する。出演者の名前は誰も知らないし、日本未公開はやむを得ない。主要な役柄のキャラクターはかなり個性的である。オタク集団らしさもよく伝わり、それぞれの個性を浮き彫りにする演出もいい。


⒈ルーズなオタク集団
通信機能にメール機能がついた機器を売り込んだ相手先のジム副社長が、オレに売らせろと自分に50%の株を売って経営者にさせろと乗り込んでくる。会って間もない奴に任せられるかというのは当然だろう。RIMのオタク集団はモデムを有力会社に売り込んでいるが、完成まで代金回収ができないことも判明する。RIMのトップのマイクとダグラスは、会社のヤバい資金繰りを踏まえてジムの受け入れを決意してジムも共同経営者になるのだ。

⒉プレゼンの成功
ジムは経営状態が厳しいのを承知で,個人資産も注ぎ込む。早速営業にかかる。でも試作品がない。これまでのツテで売り込み先はあっても、ツールがない。クライアントはそれではわからない。マイクに試作品を作るように迫る

でも,そんなに簡単には作れない。ジムからの強い要求にマイクとメンバーは慌てて電気部材を買いに行き、ベル・アトランティック(ベライゾン)へのプレゼン当日までに徹夜でメンバーが試作品を作り上げる。それを持ってマイクとジムがニューヨークのクライアントに乗り込むのだ。ところがマイクはうっかりタクシーの中に試作品を置き忘れてしまう。2人は呆然とする。

クライアントが待つプレゼン会場は手ぶらのジムが入るだけだ。相手はジムの口だけの説明では納得しない。そこにようやく,マイクが入ってくる。
プレゼンの相手の専門的質問にも全て納得ずくめに返答し、試作品も起動する。オタク社長の熱いプレゼンの成功である。この後ブラックベリーは一気に売れていく。

いざとなったらオタクの強みが何より必要なのがよくわかる場面だ。


⒊好条件での人材探し
ブラックベリーは軌道に乗る。しかし契約数も劇的に伸び、回線数は限界まで達してきた。そこでメール使用不能の不都合が起きる。回線数オーバーを会社内で対応できる人材がいない。ジムは無理矢理やらせようとする。でも無理だ。

どうしたらいいかと相談して、超有名企業の有能な人材を引き抜くことにジムが着手する。GoogleやMicrosoft、任天堂などへスカウトに行く。そして10,000,000ドルに及ぶ株価オプションを利用する高額の条件を提示する。こんなことって日本じゃないよね。あまりに公平をうたいすぎて沈没する日本社会を思う。

その結果有能な技術者は採用できた。同時にこの採用活動で見つけた営業管理者をCOOでスカウトする。ダグラスの立場が弱くなり職場の緊迫感が強くなり社内の雰囲気は変わっていく。


⒋ iPhoneの登場
ブラックベリーはコンパクトサイズだが、キーボードがあった。そこに登場したのがiPhoneだ。スティーブ・ジョブズがプレゼンする実際の映像が映し出される。全世界をあっと言わせた場面だ。マイクはキーボードの重要性を相変わらず主張するが、世間の流れは変わっていた。しかも、米国証券取引委員会(SEC)から主要メンバーがにらまれるのである。それからは転落の一途だ。

ブラックベリーの栄枯盛衰を描いた映画である。まさにリズミカルで簡潔にRIMと携帯端末の歴史を追っている。見てよかった。

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