腰の据わったものすごい傑作だった。140分がまったく長くない。高級ウィスキーを飲むようなコクのある味わいで、デイヴィッド・リーン監督作品を思わせるスケールの大きさに、先を読ませないストーリー展開のうまさが加わる。
ポール・ヴァーホーヴェン監督と言ってわからなくてもマイケルダグラス、シャロン・ストーンの大ヒット作「氷の微笑」や「ロボコップ」「インビジブル」と言えば、映画ファンなら誰でも知っているだろう。その彼が故郷オランダに戻り、第2次大戦末期ナチスに占領されているころの一人のユダヤ系オランダ人女性にスポットを当てる。
まず画面に1950年代のイスラエルが出てくる。そこのユダヤ人教師カリス・ファン・ハウテンが昔の友人に会い、戦争終結前のオランダでの自分を回想する。歌手だった彼女が自宅の隠れ家をドイツ軍に爆撃される。そこにいると一人の男性が来て、このままいるとドイツ軍に逮捕されるから家族ともども脱出するように助言される。彼女の家族や同じユダヤ人の仲間と一緒にその男の指示通りに船に乗って立ち去ろうとする。ところがライトを浴びそこにはドイツ軍兵士たちがいた。ハチャメチャに射撃されるが、主人公はとっさに船の外にもぐり逃げる。危うく助けられ、彼女はオランダ人の反体制組織と行動を共にすることになる。しかし、そのメンバーも数人捕らえられる。彼らを救出するため、彼女は組織のリーダーからドイツ人と偽りスパイ活動することを指示される。そしてドイツの駐留諜報部の大尉にあるきっかけで女として親しく近づいていくが。。。。
最初に主人公が生きている姿が出て来るので彼女自体は助かることはわかる。しかし、そのほかの人間は騙し騙され、どっちが味方でどっちが敵かはまったくわからない。ドイツ軍が戦争に負けるという真実以外が全部否定されてしまう。すごい脚本である。しかも、同じユダヤとナチスとの関係を描いた「シンドラーのリスト」や「戦場のピアニスト」のような単純な話にまとめていない。とはいうものの複雑で何がなんだかわからないというつくり方もしていない。主人公に体当たり演技をさせて、エロティックな場面もかなり見せて娯楽性も盛りだくさんだ。
結論としてオスカー受賞したこれら2作よりも明らかにレベルが上ということだ。
ポール・ヴァーホーヴェン監督がいなければシャロン・ストーンのその後のキャリアはもっと陳腐なものだったであろう。劇場で見た「氷の微笑」は刺激的だった。事実日本でも大ヒットだった。その後「ショーガール」という作品を撮った。娼婦上がりのフーテン女がラスベガスのショービジネスの女王に這い上がっていく話である。この主人公にかなり激しいエロティックな振る舞いをやらせた。プールでのファックシーンは今でも脳裏に残る激しさであった。でもこの作品が評判悪かった。年間最低映画賞であるラジー賞となった。でも監督のすごいところは授賞式に出席したというところだ。私は何でそこまで批評家が悪く言うのかという気は今でもしている。単純に楽しめるはずなのにと。。。「氷の微笑」が大ヒットして同じエロティック路線に二番煎じをとるなんて!と言うことなのかな?
でもそのエロティック路線はここでも継続している。
監督の期待にこたえたのが主人公カリス・ファン・ハウテンである。体当たり演技としか言いようがない。エロティックなだけではない。感情を表わすため、ビジュアル的に観客にその思いを伝えるようなすごいことを次から次へとしている。汚い場面も数多くある。さきほどデイヴィッドリーン監督並みのスケールという話をしたが、この作品と対比するなら「ライアンの娘」と「ドクトルジバゴ」が同じスタイルであろう。この主人公であるサラ・マイルズやジュリークリスティの演技もすごかったが、この主人公の演技の方が明らかに上回る。
想像以上の傑作でポール・ヴァーホーヴェンにまだまだ頑張って欲しいと思った。
それとアンリー監督「ラストコーション」はこの作品に良く似ているなと
ポール・ヴァーホーヴェン監督と言ってわからなくてもマイケルダグラス、シャロン・ストーンの大ヒット作「氷の微笑」や「ロボコップ」「インビジブル」と言えば、映画ファンなら誰でも知っているだろう。その彼が故郷オランダに戻り、第2次大戦末期ナチスに占領されているころの一人のユダヤ系オランダ人女性にスポットを当てる。
まず画面に1950年代のイスラエルが出てくる。そこのユダヤ人教師カリス・ファン・ハウテンが昔の友人に会い、戦争終結前のオランダでの自分を回想する。歌手だった彼女が自宅の隠れ家をドイツ軍に爆撃される。そこにいると一人の男性が来て、このままいるとドイツ軍に逮捕されるから家族ともども脱出するように助言される。彼女の家族や同じユダヤ人の仲間と一緒にその男の指示通りに船に乗って立ち去ろうとする。ところがライトを浴びそこにはドイツ軍兵士たちがいた。ハチャメチャに射撃されるが、主人公はとっさに船の外にもぐり逃げる。危うく助けられ、彼女はオランダ人の反体制組織と行動を共にすることになる。しかし、そのメンバーも数人捕らえられる。彼らを救出するため、彼女は組織のリーダーからドイツ人と偽りスパイ活動することを指示される。そしてドイツの駐留諜報部の大尉にあるきっかけで女として親しく近づいていくが。。。。
最初に主人公が生きている姿が出て来るので彼女自体は助かることはわかる。しかし、そのほかの人間は騙し騙され、どっちが味方でどっちが敵かはまったくわからない。ドイツ軍が戦争に負けるという真実以外が全部否定されてしまう。すごい脚本である。しかも、同じユダヤとナチスとの関係を描いた「シンドラーのリスト」や「戦場のピアニスト」のような単純な話にまとめていない。とはいうものの複雑で何がなんだかわからないというつくり方もしていない。主人公に体当たり演技をさせて、エロティックな場面もかなり見せて娯楽性も盛りだくさんだ。
結論としてオスカー受賞したこれら2作よりも明らかにレベルが上ということだ。
ポール・ヴァーホーヴェン監督がいなければシャロン・ストーンのその後のキャリアはもっと陳腐なものだったであろう。劇場で見た「氷の微笑」は刺激的だった。事実日本でも大ヒットだった。その後「ショーガール」という作品を撮った。娼婦上がりのフーテン女がラスベガスのショービジネスの女王に這い上がっていく話である。この主人公にかなり激しいエロティックな振る舞いをやらせた。プールでのファックシーンは今でも脳裏に残る激しさであった。でもこの作品が評判悪かった。年間最低映画賞であるラジー賞となった。でも監督のすごいところは授賞式に出席したというところだ。私は何でそこまで批評家が悪く言うのかという気は今でもしている。単純に楽しめるはずなのにと。。。「氷の微笑」が大ヒットして同じエロティック路線に二番煎じをとるなんて!と言うことなのかな?
でもそのエロティック路線はここでも継続している。
監督の期待にこたえたのが主人公カリス・ファン・ハウテンである。体当たり演技としか言いようがない。エロティックなだけではない。感情を表わすため、ビジュアル的に観客にその思いを伝えるようなすごいことを次から次へとしている。汚い場面も数多くある。さきほどデイヴィッドリーン監督並みのスケールという話をしたが、この作品と対比するなら「ライアンの娘」と「ドクトルジバゴ」が同じスタイルであろう。この主人公であるサラ・マイルズやジュリークリスティの演技もすごかったが、この主人公の演技の方が明らかに上回る。
想像以上の傑作でポール・ヴァーホーヴェンにまだまだ頑張って欲しいと思った。
それとアンリー監督「ラストコーション」はこの作品に良く似ているなと