映画「Blue/ブルー」は2021年公開
「ブルー」は𠮷田恵輔監督松山ケンイチ主演のボクシング映画である。タイミング合わず見損なった映画がNetflixに登場して見てしまう。でも、これって不思議な映画である。こんなボクシング映画ってちょっと経験ない。何せ主人公がひたすら負け続けるのである。きっと途中で何かあるのでは?と思って見続けるが、意外な後味である。
𠮷田恵輔監督の作品では「さんかく」が良かった。その後ずっと観ているわけではない。どうも吉田監督は長きに渡ってボクシングをやっているらしい。そんな中で生まれた作品だ。派手さはないが、見ておいた方がいい映画だ。
誰よりもボクシングを愛する瓜田(松山ケンイチ)は、どれだけ努力しても負け続き。一方、ライバルで後輩の小川(東出昌大)は抜群の才能とセンスで日本チャンピオン目前、瓜田の幼馴染の千佳(木村文乃)とも結婚を控えていた。
千佳は瓜田にとって初恋の人であり、この世界へ導いてくれた人。強さも、恋も、瓜田が欲しい物は全部小川が手に入れた。それでも瓜田はひたむきに努力し夢へ挑戦し続ける。しかし、ある出来事をきっかけに、瓜田は抱え続けてきた想いを二人の前で吐き出し、彼らの関係が変わり始めるー。(作品情報 引用)
⒈ボクシング映画の定石外し
映画とボクシングの相性はいい。ハングリーでひたすら闘争心に燃えるボクサーがはいあがろうとする。「ずっと負け続けで最後に勝つ。」「最初は負けているが、徐々に勝ちはじめていくが、最後で負ける」などいろんなパターンがある。類似作を脳裏でいくつも彷徨って探したが「ブルー」と似た作品は記憶にない。
ボクシング映画の最高傑作「ミリオンダラーベイビー」はクリントイーストウッド、モーガンフリーマン、ヒラリースワンクの3人の物語である。並行して3人を語るが、ヒラリースワンクの成長を語るのが基本だ。女性ボクサーの物語でこの流れを引き継ぐのが安藤さくら主演「百円の恋」で、いずれも序盤戦の気だるい雰囲気から高揚感を感じさせる流れに持っていく。結末は悲劇的であっても、途中は浮上するのだ。「ロッキー」でも「レイジングブル」でもボクシング映画でわれわれの気分が盛り上がるのはそういう上向きな場面である。でも、ここではそうしない。ある意味監督の意志が感じられる。
⒉ずっと負け続けのボクサー
松山ケンイチが演じる。練習は一生懸命やる。後輩の練習にも付き合ういい奴だ。ジムの仲間が対戦する相手の過去の試合をひも解いて弱点を集めて教えてあげる。こうするといいよと具体的にアドバイスをしてあげるのだ。
でも、後輩から「ずっと負け続けの瓜田さんのアドバイスを聞いても勝てない」と言われる場面が2度出てくる。それを言われても、瓜田はムカッとするわけではない。そのまま黙るのだ。つらい場面だ。でも、このアドバイスは的確なのだ。長くボクシングをやってきたという吉田監督は同じような先輩をかつて見てきたのであろう。名選手名コーチにあらず、ということわざの逆に「名コーチは名選手にあらず」ということもいえるというわけだ。
栄光に向かう選手がいる一方でこんなボクサーもいるんだよと我々に問いかけているような気がした。的確なボディブローのように見終わってしばらくしてから心に響いてくる。
「ブルー」は𠮷田恵輔監督松山ケンイチ主演のボクシング映画である。タイミング合わず見損なった映画がNetflixに登場して見てしまう。でも、これって不思議な映画である。こんなボクシング映画ってちょっと経験ない。何せ主人公がひたすら負け続けるのである。きっと途中で何かあるのでは?と思って見続けるが、意外な後味である。
𠮷田恵輔監督の作品では「さんかく」が良かった。その後ずっと観ているわけではない。どうも吉田監督は長きに渡ってボクシングをやっているらしい。そんな中で生まれた作品だ。派手さはないが、見ておいた方がいい映画だ。
誰よりもボクシングを愛する瓜田(松山ケンイチ)は、どれだけ努力しても負け続き。一方、ライバルで後輩の小川(東出昌大)は抜群の才能とセンスで日本チャンピオン目前、瓜田の幼馴染の千佳(木村文乃)とも結婚を控えていた。
千佳は瓜田にとって初恋の人であり、この世界へ導いてくれた人。強さも、恋も、瓜田が欲しい物は全部小川が手に入れた。それでも瓜田はひたむきに努力し夢へ挑戦し続ける。しかし、ある出来事をきっかけに、瓜田は抱え続けてきた想いを二人の前で吐き出し、彼らの関係が変わり始めるー。(作品情報 引用)
⒈ボクシング映画の定石外し
映画とボクシングの相性はいい。ハングリーでひたすら闘争心に燃えるボクサーがはいあがろうとする。「ずっと負け続けで最後に勝つ。」「最初は負けているが、徐々に勝ちはじめていくが、最後で負ける」などいろんなパターンがある。類似作を脳裏でいくつも彷徨って探したが「ブルー」と似た作品は記憶にない。
ボクシング映画の最高傑作「ミリオンダラーベイビー」はクリントイーストウッド、モーガンフリーマン、ヒラリースワンクの3人の物語である。並行して3人を語るが、ヒラリースワンクの成長を語るのが基本だ。女性ボクサーの物語でこの流れを引き継ぐのが安藤さくら主演「百円の恋」で、いずれも序盤戦の気だるい雰囲気から高揚感を感じさせる流れに持っていく。結末は悲劇的であっても、途中は浮上するのだ。「ロッキー」でも「レイジングブル」でもボクシング映画でわれわれの気分が盛り上がるのはそういう上向きな場面である。でも、ここではそうしない。ある意味監督の意志が感じられる。
⒉ずっと負け続けのボクサー
松山ケンイチが演じる。練習は一生懸命やる。後輩の練習にも付き合ういい奴だ。ジムの仲間が対戦する相手の過去の試合をひも解いて弱点を集めて教えてあげる。こうするといいよと具体的にアドバイスをしてあげるのだ。
でも、後輩から「ずっと負け続けの瓜田さんのアドバイスを聞いても勝てない」と言われる場面が2度出てくる。それを言われても、瓜田はムカッとするわけではない。そのまま黙るのだ。つらい場面だ。でも、このアドバイスは的確なのだ。長くボクシングをやってきたという吉田監督は同じような先輩をかつて見てきたのであろう。名選手名コーチにあらず、ということわざの逆に「名コーチは名選手にあらず」ということもいえるというわけだ。
栄光に向かう選手がいる一方でこんなボクサーもいるんだよと我々に問いかけているような気がした。的確なボディブローのように見終わってしばらくしてから心に響いてくる。