映画「食堂かたつむり」を見た。予想以上によくできた映画だった。
恋人との別れにショックを受けて、声がでなくなった主人公が、小さなレストランを経営する話だ。全体的に流れるムードがやさしく、漫画的な画像もとり混ぜながら映し出していく。
毛嫌いしているようなふりしかできない母が、本当は娘にこの上ない愛情を持っていたことを示す場面が最終に向けてでてくる。自分のことに照らし合わせながらジーンとした。
柴咲コウ、余貴美子の母娘役はいずれも好演。「八日目の蝉」で新興宗教の主を演じたのと同様にちょっと変わったスナックのママを演じた余貴美子が特にいい。その昔の岸田今日子のような個性派女優としての地位を固めつつある。
コーエン兄弟の映画を思わせる簡潔でおもしろい主人公の紹介から映画はスタートする。
主人公こと柴咲コウは、10年前に東京の祖母の家に移り住んだ。シングルマザーでスナックを営む母こと余貴美子を嫌ったのだ。祖母は料理が好きだった。主人公はそれをレシピに綴った。自分の店を持とうと修業を積みながら貯金してきた。主人公には同棲中のインド人の恋人がいた。ところが、ある日仕事から帰ると、恋人と家財道具が消えていた。祖母も亡くなり、恋人にも裏切られた主人公は、ショックで声が出なくなる。仕方なく実家に帰る。
実家の母はペットの豚を溺愛しており、娘を助けようともしない。主人公は村の農夫・熊さんことブラザートムの手を借り、実家のスナックに隣接した物置を改造して、「食堂かたつむり」を始める。
お客は1日1組、決まったメニューはない。事前に筆談でイメージを膨らませてその人のために料理を作る。最初のお客である熊さんは感激で号泣する。
片思い中の高校生こと志田未来が、予約に来る。「誰とくるんですか?」という主人公の質問に高校生はうまく答えられない。話の筋で片思いの男の子とくるということがわかる。当日来た2人にスープを出す。おいしさに感激する二人。いつしか2人は手をつなぐようになる。彼女はそのスープを「ジュテームスープ」となずける。同じような可憐な女子学生から口コミで予約が殺到するようになる。料理を食べた客には次々と奇跡が起き、願いが叶う食堂との噂になる。
そんなある日、スーパーのレジに立つ中学時代の同級生こと満島ひかりと主人公はばったり会った。レストランの評判を聞き、同級生は友達を連れてランチに向かった。ところが、食事をしていると中に虫がいることに気がついたのであるが。。。。
このあと母こと余貴美子ががんに侵されていることがわかる。ここから別の展開がはじまる。そしてハートフルな色彩が強くなる。
画面の色合いの基調はグリーン系である。緑色は野性や自然を示すと言われる。ここでは田舎の田園風景が繰り返して出てくる。半端じゃない田舎だ。山を見上げる場所で柴咲コウが無言のままたたずむ。孤独と思しき柴咲コウにはいろんな紆余屈折がある。
映画は小さな話をいくつも積み重ねる。中でも母ががんと分かった後の柴咲コウのふるまいに妙に魅かれた。亡くなった自分の母ががんであるとわかったあと死ぬまでの2年の光景にラップしてしんみりした。逆に母が娘を思う気持ちがあらわになる場面は、母の死後に読んだ自分を産むときの日記を思い出した。なんとも言えない気持ちになった。
食をテーマにした映画は見ていて楽しい。この映画でも食材を華麗に処理する場面が連続で出てくる。
ジュテームスープとはよく言ったものだ。口コミで伝わり、次から次へと女子学生から予約が殺到する場面は痛快な場面であった。パトロンと死に別れたお妾さんにつくるフルコースもいい。
登場人物が多彩だ。江波杏子のお妾さんやペットの豚も傑作だ。三浦友和の医者役は「地下鉄に乗って」でも見たが、堂に入っている。母が経営するスナックの常連たちがいかにも田舎のスナックの客らしい。食材が豊富で食べるのが楽しい料理のようだ。
よくできた映画だと思う。いくつか批評をみたが、ネットで酷評テレビで絶賛と書いてあった。ネットでの酷評をみて笑えた。困ったものだ。
恋人との別れにショックを受けて、声がでなくなった主人公が、小さなレストランを経営する話だ。全体的に流れるムードがやさしく、漫画的な画像もとり混ぜながら映し出していく。
毛嫌いしているようなふりしかできない母が、本当は娘にこの上ない愛情を持っていたことを示す場面が最終に向けてでてくる。自分のことに照らし合わせながらジーンとした。
柴咲コウ、余貴美子の母娘役はいずれも好演。「八日目の蝉」で新興宗教の主を演じたのと同様にちょっと変わったスナックのママを演じた余貴美子が特にいい。その昔の岸田今日子のような個性派女優としての地位を固めつつある。
コーエン兄弟の映画を思わせる簡潔でおもしろい主人公の紹介から映画はスタートする。
主人公こと柴咲コウは、10年前に東京の祖母の家に移り住んだ。シングルマザーでスナックを営む母こと余貴美子を嫌ったのだ。祖母は料理が好きだった。主人公はそれをレシピに綴った。自分の店を持とうと修業を積みながら貯金してきた。主人公には同棲中のインド人の恋人がいた。ところが、ある日仕事から帰ると、恋人と家財道具が消えていた。祖母も亡くなり、恋人にも裏切られた主人公は、ショックで声が出なくなる。仕方なく実家に帰る。
実家の母はペットの豚を溺愛しており、娘を助けようともしない。主人公は村の農夫・熊さんことブラザートムの手を借り、実家のスナックに隣接した物置を改造して、「食堂かたつむり」を始める。
お客は1日1組、決まったメニューはない。事前に筆談でイメージを膨らませてその人のために料理を作る。最初のお客である熊さんは感激で号泣する。
片思い中の高校生こと志田未来が、予約に来る。「誰とくるんですか?」という主人公の質問に高校生はうまく答えられない。話の筋で片思いの男の子とくるということがわかる。当日来た2人にスープを出す。おいしさに感激する二人。いつしか2人は手をつなぐようになる。彼女はそのスープを「ジュテームスープ」となずける。同じような可憐な女子学生から口コミで予約が殺到するようになる。料理を食べた客には次々と奇跡が起き、願いが叶う食堂との噂になる。
そんなある日、スーパーのレジに立つ中学時代の同級生こと満島ひかりと主人公はばったり会った。レストランの評判を聞き、同級生は友達を連れてランチに向かった。ところが、食事をしていると中に虫がいることに気がついたのであるが。。。。
このあと母こと余貴美子ががんに侵されていることがわかる。ここから別の展開がはじまる。そしてハートフルな色彩が強くなる。
画面の色合いの基調はグリーン系である。緑色は野性や自然を示すと言われる。ここでは田舎の田園風景が繰り返して出てくる。半端じゃない田舎だ。山を見上げる場所で柴咲コウが無言のままたたずむ。孤独と思しき柴咲コウにはいろんな紆余屈折がある。
映画は小さな話をいくつも積み重ねる。中でも母ががんと分かった後の柴咲コウのふるまいに妙に魅かれた。亡くなった自分の母ががんであるとわかったあと死ぬまでの2年の光景にラップしてしんみりした。逆に母が娘を思う気持ちがあらわになる場面は、母の死後に読んだ自分を産むときの日記を思い出した。なんとも言えない気持ちになった。
食をテーマにした映画は見ていて楽しい。この映画でも食材を華麗に処理する場面が連続で出てくる。
ジュテームスープとはよく言ったものだ。口コミで伝わり、次から次へと女子学生から予約が殺到する場面は痛快な場面であった。パトロンと死に別れたお妾さんにつくるフルコースもいい。
登場人物が多彩だ。江波杏子のお妾さんやペットの豚も傑作だ。三浦友和の医者役は「地下鉄に乗って」でも見たが、堂に入っている。母が経営するスナックの常連たちがいかにも田舎のスナックの客らしい。食材が豊富で食べるのが楽しい料理のようだ。
よくできた映画だと思う。いくつか批評をみたが、ネットで酷評テレビで絶賛と書いてあった。ネットでの酷評をみて笑えた。困ったものだ。