映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ファーストカウ」

2023-12-26 06:08:47 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)

映画「ファーストカウ」を映画館で観てきました。

映画「ファーストカウ」は19世紀前半西部開拓途中のアメリカオレゴンでの出来事を描いた女性監督ケリー・ライカートの作品である。ケリー・ライカート監督作品は初めて、アメリカでは2019年に公開されている。普通だとスルーのパターンだが、評論家筋の評判が良い。他にイマイチな作品ばかりなので選択する。

 

オレゴンの田舎町に、料理人のクッキー(ジョン・マガロ) と中国人のルー(オリオン・リー)が流れ者のように来て毛皮業に足を突っ込む。気のあった2人は何か商売をやろうと企んでいた。

仲買人のファクター(トビー・ジョーンズ)が購入した一棟の乳牛に注目して、こっそり乳牛から乳をとり、材料を混ぜ合わせてお菓子にする。市場で売り出すと、おいしいと評判になり連日行列だ。うわさを聞きつけ乳牛の持主の仲買人も買いに来るのであるが。。。

 

評判ほど大きな感動は特になかった。

確かに独特のムードは悪くはない。でも、題材がある種の「泥棒」なので、潔癖症が多い日本人でも自分にその自覚のある人は見ない方がいいだろう。泥棒行為が見つかるかどうかの話に過ぎない。同じような題材を中世や近世以前の日本を舞台にしても作れる話だ。映画の結末を「寛容」という一言で片付ける評論家の神経を疑う

 

開拓途中のオレゴンといっても、よくある西部劇に出てくる町の域に達していない。もっと原始的だ。一時代前の西部劇だと、原住民と開拓民の対決がテーマだった。ここでは共存共栄で生きている。一世紀時代はズレるが、マーチンスコセッシ監督「キラーズオブザフラワームーン」に出ていたリリーグラッドストーンが似たような役柄で出演している。

 

コンビを組んだ2人は身寄りもなく金もない。前半はかなり沈滞しているムードだ。

気がつくとウトウトしてしまう。

色んなアイデアを2人が思いつくけど、実現不可能となった時にクッキー(ドーナツと言ってもいい)を作ることを思いつく。ここからは話が引き締まってくる。目がシャキッとして飽きのこない展開にかわる。

 

深夜に牛のいる邸宅に忍び込んでも誰も気づかない。乳を絞られるは大きな鳴き声を出さない。静かだ。こっそりととった乳をベースにドーナツをつくって市場で売ると大ウケだ。誰もがおいしいと言って行列もできる。材料は?と聞かれて、中国の秘伝として乳牛の乳とは当然言わない。2人はもっと儲けてやろうと、連日深夜の乳とりを欠かさない。

そうしているうちに、牛の所有者の仲買人が噂を聞きつけ、食べに来る。故郷英国の味と似ていると大喜びで、屋敷に招待してブルーベリーを混ぜたお菓子をつくる。そろそろ潮時かと思っても、やめない。そこでミスが起きる。バレてしまうのだ。

実はそれだけのストーリーだ。

ただ、中国でも北部出身のルーが広州からの貿易船に乗って、ピラミッドを見ながら欧州経由でアメリカに向かうセリフの事実がありえるとは思えない。映画作品情報記載の1820年代にスエズ運河は当然ない。1840年のアヘン戦争前の中国は世界中から開国と自由貿易を迫られてもびくともしない時代だ。こんな中国人がいるのかな?と思ってしまう。最近のアメリカ映画は人種を均等に入れることにこだわりが強い。アジア人を強引に入れ込む結果として不自然な設定になったのでは?


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