映画「オカンの嫁入り」は2010年の宮崎あおい、大竹しのぶの共演映画だ。
公開当時はまったくスル―の映画だった。
この9カ月で自分にとっては日本映画№1である「そこのみにて光り輝く」を製作した呉美保監督による作品ということで、一度見てみたいと思った。最初は母親が妙な若いあんちゃんを連れてきて変な感じと思っていたところに、ここぞとばかり見せ場がいくつも用意されていた。長まわしで情感を高める手法は次作の「そこのみにて光り輝く」と同じで実にうまい。
中盤から終盤にかけて徐々に映画のムードが高まっていく。
大阪の京阪沿線で、月子(宮崎あおい)と陽子(大竹しのぶ)は、母子2人で暮らしていた。月子が生まれる前に、陽子は夫・薫と死に別れていた。
ある深夜、陽子が酔っ払って若い金髪の男・研二(桐谷健太)を連れて帰ってくる。玄関で眠りこける二人。月子は陽子を引きずり寝かせ、玄関で倒れている研二には毛布をかけてやる。
翌日、ケロッとした顔で陽子が言う。「昨日プロポーズされて、受けることにした。」
様子が違うので見に来た隣に住む大家のサク(絵沢萌子)と月子は唖然とする。しかも、研二は30歳。元板前で料理は上手だが、今は働いていないらしい。
月子は陽子の勤め先である村上医院の村上先生(國村隼)を呼びだした。たまたま研二の祖母が患者だったので2人は旧知の仲だった。研二と月子の会話を聞いて、あきれ返った陽子は家を飛び出し、隣の大家・サクのもとへ移り住もうとする。すると、月ちゃんがいない家に同居はできない」と研二は庭の縁側の下で寝泊りする。
そんな中、陽子に対しても、研二に対しても頑なに心を閉ざし続ける月子に、村上先生は陽子との秘密を告白して月子を驚愕させる。それを聞いて月子は渋々陽子の結婚を了承しようとした。陽子と研二が二人で衣裳合わせに出かける間際、陽子が倒れてしまう。緊急搬送された。問題はないようにみえた次の瞬間、医師から驚嘆の事実を知らされるが。。。。
京阪電車の車両カラーが以前の南海電車に似ていて、一瞬南海沿線かと錯覚したが駅の行き先で京阪とわかる。沿線の駅で撮影したようだ。その電車で大阪のオフィス街に通うのが宮崎あおいである。
彼女のOL時代の逸話でグイッと映画に引き込まれる。
1.宮崎あおいへのストーカー行為
宮崎あおい演じる月子の会社に東京から1人の若い男性が異動してくる。その男性は月子に関心をもち、大阪独特の世界が知りたいと誘い出す。2人は新世界界隈へ行き、たこ焼きを一緒に食べる。その時点では恋に発展する話かとみえるが、その後彼女への誘いがエスカレートする。月子を描いた似顔絵が置いてあったり、嫌がるにもかかわらず帰社のときに追いかけられる。
とどのつまりは駅の自転車乗り場に追いかけてくる。
そこでストーカー男が腹を立て、月子の周辺にある自転車をぶっ潰しまくる。むちゃむちゃだ。
このシーンにはハッとした。一気に目が覚める恐怖を感じさせるシーンである。
でも謹慎したストーカー男が出社する前に、上司が電話してきて、都合が悪いからやめてほしいと誘導する上司の電話には呆れる。月子は出社しようとするが、恐怖のあまり電車がのれない。
この恐怖感を描いた駅ホームでのシーンもうまい。ヒッチコックを思わせるサイコサスペンス的表現である。柔道でいえば「一本!」といううまさだ。
2.医師から母親の余命を聞くシーン
医師より近親者ということで、宮崎あおい演じる月子が説明をうけショックを受ける。
このシーン自分の体験で同じことがあったのでじんわり来た。
自分の母ががんにかかった時、大学病院で医師より個別に説明を受けた。父は存命であったが、心臓疾患でまともな状態ではなかった。医師からあと6か月の命と聞いた時、呆然とした。病室にもどり、母にどうだったと聞かれ、がんなので抗がん剤治療をするといわれたとだけ言った。早めに病室をでたとき、目に涙が浮かんだ。妹とラーメンを食べに行ったが、ラーメンをすすりながら涙が止まらなかった。
この手のシーンには本当に弱い。
3.白無垢披露に向けて
もうあとがないとわかっているので、大竹しのぶ演じる母親が白無垢の着物を着る。
そのシーンに向けて宮崎あおいと大竹しのぶを映すシーンがある。その間合いの取り方がうまい。
長回しも妙に長すぎるとダレる。呉美保監督は適切な時間配分で映画を構成していく。抜群のセンスだと思う。これもいい作品だった。
公開当時はまったくスル―の映画だった。
この9カ月で自分にとっては日本映画№1である「そこのみにて光り輝く」を製作した呉美保監督による作品ということで、一度見てみたいと思った。最初は母親が妙な若いあんちゃんを連れてきて変な感じと思っていたところに、ここぞとばかり見せ場がいくつも用意されていた。長まわしで情感を高める手法は次作の「そこのみにて光り輝く」と同じで実にうまい。
中盤から終盤にかけて徐々に映画のムードが高まっていく。
大阪の京阪沿線で、月子(宮崎あおい)と陽子(大竹しのぶ)は、母子2人で暮らしていた。月子が生まれる前に、陽子は夫・薫と死に別れていた。
ある深夜、陽子が酔っ払って若い金髪の男・研二(桐谷健太)を連れて帰ってくる。玄関で眠りこける二人。月子は陽子を引きずり寝かせ、玄関で倒れている研二には毛布をかけてやる。
翌日、ケロッとした顔で陽子が言う。「昨日プロポーズされて、受けることにした。」
様子が違うので見に来た隣に住む大家のサク(絵沢萌子)と月子は唖然とする。しかも、研二は30歳。元板前で料理は上手だが、今は働いていないらしい。
月子は陽子の勤め先である村上医院の村上先生(國村隼)を呼びだした。たまたま研二の祖母が患者だったので2人は旧知の仲だった。研二と月子の会話を聞いて、あきれ返った陽子は家を飛び出し、隣の大家・サクのもとへ移り住もうとする。すると、月ちゃんがいない家に同居はできない」と研二は庭の縁側の下で寝泊りする。
そんな中、陽子に対しても、研二に対しても頑なに心を閉ざし続ける月子に、村上先生は陽子との秘密を告白して月子を驚愕させる。それを聞いて月子は渋々陽子の結婚を了承しようとした。陽子と研二が二人で衣裳合わせに出かける間際、陽子が倒れてしまう。緊急搬送された。問題はないようにみえた次の瞬間、医師から驚嘆の事実を知らされるが。。。。
京阪電車の車両カラーが以前の南海電車に似ていて、一瞬南海沿線かと錯覚したが駅の行き先で京阪とわかる。沿線の駅で撮影したようだ。その電車で大阪のオフィス街に通うのが宮崎あおいである。
彼女のOL時代の逸話でグイッと映画に引き込まれる。
1.宮崎あおいへのストーカー行為
宮崎あおい演じる月子の会社に東京から1人の若い男性が異動してくる。その男性は月子に関心をもち、大阪独特の世界が知りたいと誘い出す。2人は新世界界隈へ行き、たこ焼きを一緒に食べる。その時点では恋に発展する話かとみえるが、その後彼女への誘いがエスカレートする。月子を描いた似顔絵が置いてあったり、嫌がるにもかかわらず帰社のときに追いかけられる。
とどのつまりは駅の自転車乗り場に追いかけてくる。
そこでストーカー男が腹を立て、月子の周辺にある自転車をぶっ潰しまくる。むちゃむちゃだ。
このシーンにはハッとした。一気に目が覚める恐怖を感じさせるシーンである。
でも謹慎したストーカー男が出社する前に、上司が電話してきて、都合が悪いからやめてほしいと誘導する上司の電話には呆れる。月子は出社しようとするが、恐怖のあまり電車がのれない。
この恐怖感を描いた駅ホームでのシーンもうまい。ヒッチコックを思わせるサイコサスペンス的表現である。柔道でいえば「一本!」といううまさだ。
2.医師から母親の余命を聞くシーン
医師より近親者ということで、宮崎あおい演じる月子が説明をうけショックを受ける。
このシーン自分の体験で同じことがあったのでじんわり来た。
自分の母ががんにかかった時、大学病院で医師より個別に説明を受けた。父は存命であったが、心臓疾患でまともな状態ではなかった。医師からあと6か月の命と聞いた時、呆然とした。病室にもどり、母にどうだったと聞かれ、がんなので抗がん剤治療をするといわれたとだけ言った。早めに病室をでたとき、目に涙が浮かんだ。妹とラーメンを食べに行ったが、ラーメンをすすりながら涙が止まらなかった。
この手のシーンには本当に弱い。
3.白無垢披露に向けて
もうあとがないとわかっているので、大竹しのぶ演じる母親が白無垢の着物を着る。
そのシーンに向けて宮崎あおいと大竹しのぶを映すシーンがある。その間合いの取り方がうまい。
長回しも妙に長すぎるとダレる。呉美保監督は適切な時間配分で映画を構成していく。抜群のセンスだと思う。これもいい作品だった。