映画とライフデザイン

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あしたのジョー  

2011-11-27 21:10:16 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
映画「あしたのジョー」は日本漫画界史上の頂点に君臨する名作の映画化である。
主演2人の役づくりが素晴らしい。その精悍な肉体と訓練されたボクシングスタイルに感動した。
ノーガード戦法、クロスカウンターパンチなど少年の時に胸焦がれたジョーの話はなつかしい。実写で見ると、漫画とは違うときめきを感じる。有名すぎるくらい有名なストーリーを脚本家、監督がうまく料理できていると思う。


ストーリーは言うまでもない。
下町のドヤ街の飲み屋で、ボクシングジムの主である丹下段平こと香川照之はやくざ数名にからまれていた。そこを通りかかったジョーこと山下智久がチンピラを素早いさばきで打ちのめす。驚いたのは丹下だ。自分のボクシングジムで鍛えれば、モノになると口説くが相手にされない。でもコテンパンに打ちのめしてジョーは警察に引っ張られる。その後つながりを持つことになる財閥の令嬢白木葉子こと香理奈がその様子を見ていた。
単なるけんかだったが、ジョーには数多くの前科があった。一年の服役を命じられる。
刑務所に入ったジョーにはつわものたちがちょっかいを出していく。そしてコテンパンに打ちのめした。独房に入ったり出たりを繰り返した。そんなジョーの元にボクシングジムの丹下からはがきが届く。そこにはボクシングの心得が書いてあった。いつものように暴れまわっていたときにある男に強いパンチを受ける。他の相手とは違うつわものだ。力石徹こと伊勢谷友介である。訳あって刑務所に入ることになった彼はプロボクサーだ。かなわない。その時、丹下からもらったはがきの言うとおりの動きをする。そうすると力石に数発ヒットする。驚く力石、でもレベルが違う。ジョーはノックアウトされたが、力石も一目置くようになる。
暴れん坊となっていたジョーにボクシングをやらせてみたらどうかと財閥の令嬢白木葉子がやってくる。叩きのめされた力石への復讐を誓うジョーは闘志を燃やしボクシングの練習に励むようになるが。。。


クリントイーストウッドは言う。配役にはその人間にもっともよく似た人間を選ぶべきだと。今回はベストの配役だと思う。そして2人はそれにこたえていると思う。特に力石徹を演じた伊勢谷友介はまさに力石そのものである。究極なまでに身体を鍛えている役作りには敬服するしかない。「ザ・ファイター」を見て役作りに驚いたが、この映画も役作りの面だけをとれば上を行く気がする。

「あしたのジョー」が少年マガジンでスタートした時のことは、つい昨日のように覚えている。ちばてつやは「ハリスの旋風」を連載していたと思う。実はこの漫画が大好きだった。テレビのアニメも好きだった。「ジョー」がはじまったとき本当に暗かった。明るい「ハリス」からの転換にがっかりした。そしてアウトローな世界が続いた。他のスポーツ根性ものに比べ、底辺を這いつくばるような世界が子供の自分には合わなかった。同じマガジン連載の「巨人の星」と比べ慣れるのに随分と時間がかかった。


設定は30年代から40年代といったところであろう。セット作りに時間をかけた印象もある。でもこの時代をカラーで表現しようとすると非常に難しい気がする。他の作品に比べ、時代考証に気を配っている印象があるが、原作が時代並行ですすんだ「巨人の星」と異なり、はっきりとした設定の時期はない。原作が43年にスタートしているだけに、40年代前半と考えるべきであろう。でもその割にはセットに30年代的設定も多いのかな?という気がする。でもそんなことは鍛え抜かれた2人の肉体の前にはどうでもいいことだと感じさせてしまう。この映画の凄さに圧倒されるのだ。

最近「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」という凄い本が出た。素晴らしい本だと思う。この本についてはあとでゆっくり書きたい。でも力道山木村2人の対決を忘れたころに再度クローズアップさせたのは「あしたのジョー」の原作者梶原一騎(高森朝雄)である。梶原一騎は「巨人の星」「タイガーマスク」がそうであったように実在人物と仮想の人物をクロスさせている。それはそれでおもしろいのであるが、「あしたのジョー」はまったく独立している。そしてストーリー作りがもっとも面白いものとなっている。あえて言いたい。日本漫画史上最高のストーリーであると。。。。。

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