山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

遥か北の大地へ チェーホフ山(後編)  平成29年6月29日

2017年07月03日 | 圏外編
 チェーホフ山はかつて日本が樺太の北緯50度より南側を統治していた第2次世界大戦以前には高山植物の宝庫として天然記念物に指定されていた山である。鹿の食害をほとんど受けていないこの山ではそのままの植生が残っている可能性が高い。

 11時20分ごろに稜線の第一展望台に到着し、ここで小休止した後に山頂を目指して出発する。標高差こそもう300mほどしか無いものの、ここからはアップダウンのある長い稜線で、途中からはハイマツ帯の不明瞭な道となる。空模様もあまり
芳しくない。ここからは三脚を担いで歩くが、あまりゆっくり撮影している時間は無く、そのうえ霧でレンズが結露してしまうというアクシデントも起こってしまう。


    第一展望台のお花畑に咲いていたカラフトハナシノブ。


    カラフトハナシノブ


    このお花畑にはハクサンチドリがたくさん咲いていた。周辺にたくさん出ている葉はコウリンタンポポ。


    チシマザクラ


    綺麗なチシマザクラの花。


    ムラサキツリバナ(別名クロツリバナ)


    ウコンウツギ(スイカズラ科タニウツギ属)


    オオバナエンレイソウ。大型で豪華な花。


    森林限界は標高約900m付近。ハイマツ帯を進む。風が強くて寒い。


    ハイマツの切れ間にはミツバオウレンがいっぱい。


    この奇怪な岩の下で風を避けながら昼食となる。時間は12時半。

 奇岩の下で12時半となり、昼食となる。相変わらず天候がいまひとつのうえに風が強い。この先の第3岩峰まで約1時間、そこから山頂までは往復で3時間くらいかかるらしい。今のピッチだと下山が夕方8時過ぎになってしまうとのことだ。ガイドさんと添乗員で相談のうえ、この先の第3岩峰周辺のお花畑を見て撤収することになる。前の週のツアーも悪天候でここまでだったそうだが、天候が良かったとしても、花を見ながら山頂までは難しかったと思う。


    マルバシモツケ


    見えてきた第3岩峰(展望台)直下の岩。


    第3岩峰の周辺に咲いていたハクサンイチゲ。


    葉の幅が広く先端が尖らないことから、エゾノハクサンイチゲと思われる。


    イワウメの群落


    イワベンケイ


    ??もうすぐ咲きそうな上の花も下の葉っぱも何だかわからず。


    チシマゼキショウ(ユリ科チシマゼキショウ属)


    おそらく特産種のカラフトサイコ


    カラフトサイコ。レブンサイコに近い。


    少し天候が回復。天気が良ければ向こうにはオホーツク海が見えたのだろう。


    山頂は隣のピークを越えてその先に見えるピークのさらに先。遠過ぎる・・・。

 一瞬見えた稜線の先はまだ果てしなく遠く見えた。もっと高山植物を見たいという思いもあったが、天候悪く道程も長い。ここまでで撤退することとなる。

 帰りは少しわがままを言わせてもらい、いちばん先頭のガイドさんに同行していただいて一足先に下りさせてもらい、第一展望台付近のお花畑を存分に撮影させていただいた。ここに咲くボタンキンバイはややオレンジ色がかっていてとても美しい。中には礼文島と同じような黄色い花も混ざっている。コウリンタンポポはたくさんあったが、咲いているのはほんの数本だけで、これが一斉に咲いたらさぞかし綺麗なことだろう。


    第一展望台付近のお花畑に咲いていたハクサンチドリ。


    カラフトハナシノブ


    チシマフウロ


    色鮮やかなコウリンタンポポはまだ数輪しか咲いていなかった。登山道脇には蕾がたくさん出ていた。


    コウリンタンポポ


    ボタンキンバイ。これは黄色いタイプ。


    こちらが見たかったオレンジ色のボタンキンバイ。


    素晴らしい!!


    ウラジロタデ


    ヤマブキショウマ

 大満足、とは言えないが、見たかったカラフトハナシノブとボタンキンバイは見ることが出来た。もうひとつ、カラフトゲンゲという赤紫色の花を見たかったのだが、残念ながらまだ開花していなかった。エゾゴゼンタチバナは山頂付近に群生しているらしいが、途中で少数だけ見られたその花はまだ蕾も出ていなかった。大雪山のような広大なお花畑を想像していたのだが、樺太の高山植物はハイマツの中の岩と土のところに散在的に咲いているという感じだった。おそらく、花の種類はほぼ8割は北海道と同じものなのではないだろうか。しかし、ガイドのワシリーさんの話ではサハリン北部にある蛇紋岩の山にはここにしか無い特産種が何種類も咲いているそうである。ただし、大きな町は無いのでテント泊になるそうである。機会があるならば、そのような場所にも行ってみたい。

 下山して車に乗り込むと、間もなく雨が降り出した。次第に雨脚が強くなり、あの場所で引き返していなければ、足元の悪い急斜面をスリップしながら下山することになっていたのだろう。引き返したことは適切な判断だったと思う。
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遥か北の大地へ チェーホフ山(前編)  平成29年6月29日

2017年07月03日 | 圏外編
 チェーホフ山は標高1040mほどの日本でいえば中・低山であるが、北の大地であるが故に気象条件は南アルプスの標高2,300mくらいに相当する。標高差こそ800mも無いトレッキングコースであるが、途中は急登の斜面あり笹とハイマツ帯の藪あり、さらに稜線に抜けてから山頂までかなり長く、決して侮れない山である。しかし、山上のお花畑には日本では利尻島でしか見られないボタンキンバイのお花畑や、カラフトハナシノブ、コウリンタンポポなどが咲き誇っているらしい。
 
 サハリンには梅雨は無いのだが、海に囲まれているために雲が発生し易く、なかなかすっきりとは晴れないらしい。私たちの前の週に開催されたほぼ同じ行程のツアーは、ずっと雨の悪天候で気温が低く、チェーホフ山は山頂を踏まずに引き返したということだ。我々のツアーは前日の28日に抜けるような青空が広がってくれたが、夜から雲が広がり山は雲に覆われてしまった。朝6時にモーニングコール、7時50分集合の予定だが、未明3時半に目が覚めてしまい、そのままウトウトしているうちにモーニングコールがかかる。手配していただいた特別車両に乗り込み、予定通り8時にホテルから出発となる。



    未明3時40分、ホテルの窓から見る景色。山は雲に覆われて少し雨が降ったようだ。


    朝6時の景色。チェーホフ山は写真の左側にあるのだが、完全に雲の中。おそらく山の上は霧か小雨だろう。


    装甲車のような特別車両に乗り込んで林道いちばん奥にある登山口まで移動する。林道はかなりの悪路だった。


    もうすぐ咲きそうなオニシモツケ。とにかくデカい。


    こちらはオオハンゴンソウか?

 サハリンは鹿の食害がほとんど無いそうで、北海道で問題となっているエゾシカの数はかなり少ないらしい。林道の脇や登山道沿いには背丈を越えるような青々とした草が元気に茂っていた。


    オオアマドコロ


    ミズバショウと思うが、こちらではヒメカイウも見られるらしい。


    オクエゾサイシン。暗い場所だったので手持ちで撮ると少しブレてしまう。


    トクサ(トクサ科トクサ属)。イノシシの食害に遭っていた。


    登山道脇に咲いていたノビネチドリ。


    ノビネチドリ。あまり数は多く無い。


    こちらはハクサンチドリ。稜線のお花畑にはたくさん咲いていた。


    サイハイラン


    コケイランが1株だけ。周辺を探せばあるのだろうが、探す間もなく先に進む。


    結実したエゾノリュウキンカ。


    ツマトリソウは普通に生えている。


    ゴゼンタチバナ


    オオヤマフスマだと思う。


    カラス岩に到着する。


    カラス岩。確かにくちばしと羽のようにみえるが、ずいぶん太ったカラスだ。

 カラス岩までは樹林帯の中の道で、ところどころロープが張られた急斜面がある。カラス岩から先は針葉樹林から笹交じりの広葉樹林帯に変わり、かなりきつい急斜面となる。途中から草原の混じるお花畑が見え始め、その中には見たかったカラフトハナシノブが咲いていた。


    カラス岩のあたりから見え始めたカラフトハナシノブ。


    急斜面の脇に咲いていたチシマフウロ


    チシマヒョウタンボク(スイカズラ科スイカズラ属)


    ミヤマハンショウヅル


    マルバシモツケ


    稜線の直下、姿を現したボタンキンバイ。


    カラフトハナシノブもたくさん咲いている。

 お花畑のある第一展望台に11時20分に到着、ここまで2時間少々かかっているが、想定していた通りゆっくり花を撮ったり探したりする余裕は無かった。しかしこれでも予定していたよりもピッチが遅いらしい。稜線上は予想通り霧が巻いていて展望が悪く、風が強くて寒い。カッパを着て先に進むこととなる。(後編に続く)
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遥か北の大地へ サハリン黒川湿原  平成29年6月28日

2017年07月01日 | 圏外編
 所属する山岳会嶺朋クラブのメンバーが主体となってサハリンのフラワートレッキングに行くツアーが特別に予定され、お誘いを受けた。5月には学会で出張したばかりだし、すぐには返事が出来なかったが、夏休みをもう5年ほどまともにとっていないことだし、おそらく今回行かないともう行く機会は無いだろう。とりあえずは参加枠だけとっておいてもらってあったが、正式な返事を必要とするギリギリのところで行くことに決める。参加者は私を含めて13名、そのうちの8名が嶺朋クラブのメンバーである。アルパインツアーで企画するこのツアー、おそらくゆっくり花の写真を撮っている時間は無いだろうが、それを承知で参加した。

 予定では6月27日の夕方4時半に成田を出発し、28日の朝から黒川湿原を3~4時間かけてゆっくり散策する予定だった。27日に飛行機に搭乗したまでは良かったが、2時間経っても飛行機が飛ばない。時々入る機長からのアナウンスもロシア語で何を言っているのかわからない。そのうち日本語でアナウンスが入り、電気系統の故障であと20分ほど、さらにあと40分ほど修理に時間がかかりそうだという。結局3時間近く機内で待機したが、最終的にその日は修理が完了せず、出発が出来なくなった。航空会社の手配でホテル日航成田に宿をとってくれて、飛行機が飛び立ったのは翌日28日の午前9時半になった。2時間ほどでサハリンのユジノサハリンスク空港に到着するが、2時間の時差があり空港到着は現地時間で午後の2時半になってしまった。

 天候が良かったので空港でバスに乗り、そのままユジノサハリンスクの北にある黒川湿原に移動する。移動に1時間以上かかり、黒川湿原散策は約1時間ほどしか時間がとれず、周回の予定が途中で引き返すことになってしまった。これも止む無しだろう。


    6月27日、サハリン行きの飛行機には登場したものの・・・電気系統の故障で飛行機は飛ばず、出発は翌朝となる。


    6月28日、今度は無事に飛んだ。下に見えるのはサハリンの南の端、海岸沿いに細い道が走っている他は道も家も何も無い。今は誰も住んでいないそうだ。


    ユジノサハリンスク到着。向こうに見えるのはスキー場のある朝日山、中央の銅像が立つのがレーニン広場。


    ユジノサハリンスク空港。建物は地味だが、空港は広い。ユジノサハリンスクは人口19万人のサハリンの首都、サハリン全体で約70万人の人口がある。


    ユジノサハリンスク郊外の田園風景。町の中にも普通にキンポウゲ(サハリンキンポウゲ)が生えているのには驚いた。


    サハリンキンポウゲが広がるお花畑の中には牛が放牧されている。

 4時半、黒川湿原に到着し、ワシリーさんという現地ガイドさんに案内していただき湿原に入る。この湿原は泥炭地という泥沼になっていて、長靴に履き変えて湿原の中を進む。


    当然ながら萼が反り返った西洋タンポポ。


    コウリンタンポポはまだ咲き始めたばかりでほとんどが蕾。


    サハリンキンポウゲはあちらこちらにたくさん咲いている。


    オオハナウド。茎に細かい棘があり、有毒で刺さると1ヶ月くらい腫れるらしい。


    オオイヌノフグリに似ているが、カラフトヒヨクソウという花。


    エゾムラサキ。別名ミヤマワスレナグサ。


    オオヤマフスマだと思う。


    ヤナギランがたくさん生えていたが花はまだ咲かない。


    いよいよ泥炭地へ踏み込む。場所によってはくるぶしあたりまで泥にハマる湿原を行く。


    カラフトイソツツジの大群落がある。


    カラフトイソツツジと湿原の沼。


    ホロムイイチゴ。石狩の幌向で最初に見つかったことからこの名前があるらしい。


    ホロムイイチゴ。キイチゴのような赤い実をつけるが、日本ではあまり食用にはされない。そもそも、個体数が少ないようだ。


    種になったヤチツツジ。


    幸運にも一輪だけ咲き残っていたヤチツツジの花。ヨウラクツツジに似ている。


    ヤチヤナギも花は終わっている。


    ツルコケモモ。サハリンではコケモモジャムだけでなくこのツルコケモモのジャムもあるらしい。


    時間は5時半近くなった。空は青空なのに、ここまでで撤退となる。

 時間の制約があり、湿原の半分も進めないうちにタイムアップとなってしまう。モウセンゴケがちらほらと生えていたが撮り忘れた。ここにはナガバノモウセンゴケも生えているらしいが、おそらくはもっと先のほうなのだろう。見ることが出来なかった。


    ユジノサハリンスクへの帰り際にバスを止めてこの景色を撮影させてくれた。


    驚いたのが道端に普通に咲いているこの花、オニシオガマ。デカい!

 予定通りに27日に飛行機が飛んでいればこの日は午後から市内観光があるはずだったが、そちらは中止となり、そのままユジノサハリンスク市街のレストランで夕食となる。メインはカツレツだったが、そのほかの何を食べても美味しい。特にハッシュドポテトがとても美味しかった。しかし、話には聞いていたが綺麗なお嬢様2人が料理を運んでくれたが、噂通り全く微笑むこともない接客は日本から行くとかなりの違和感を覚える。他の店もほとんど同じような接客なので、ロシアの飲食店は標準的にこのような愛想の無い接客なのだろう。


    少し時間があったので、レストランの向かいにあるレーニン公園に立ち寄った。既に時刻は9時近い。


    未明3時40分、ホテルの窓から見る景色。昨日とは打って変わって曇り空、前日は見えていたチェーホフ山も雲に覆われている。朝8時に出発の予定だ。
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遥か北の大地へ  平成29年6月

2017年06月30日 | 圏外編
 遥か北の大地を遠征してきました。飛行機の故障で出発が1日遅れ、悪天候で山頂までは行けず・・・それでもあまり見られない花と北の島の自然環境を楽しんできました。


    ハクサンチドリ


    コウリンタンポポ


    チシマフウロ


    カラフトハナシノブ


    ボタンキンバイ


    ムラサキツリバナ(クロツリバナ)


    カラフトサイコ


    レーニン像。時差の関係もありますが、日没は午後8時半過ぎ。

 詳細はそのうち。





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サル顔の花が咲く森へ 京都府北部の山  平成29年5月20日

2017年05月22日 | 圏外編
 関西出張の帰り道、京都府の北部にある山に立ち寄らせていただいた。おそらくこの界隈に未だ見たことが無い貴重な花があるらしい。運が良ければ出会えるかも知れない。

 登山口に最も近い道の駅の到着したのが午後9時半、速攻で寝ようとするが寝付けず、11時ごろに寝て朝4時半に起床、登山口に移動して朝6時から歩き始める。長い稜線を歩いてずっと奥深い森まで行く予定である。


    足元にはイワウチワの葉があちらこちらに生えている。


    木の上を見上げればヤドリギがたくさん。


    この森には見事なスギの巨木が散在している。足元が空洞化しているスギの巨木。


    別の木と融合しているスギの大木。


    これはエビネの葉だろうか?この界隈ではこの1株しか見つからなかった。


    この山も相当な鹿の食害に遭っているようだ。一面バイケイソウの森。


    花の色がピンク色に近く、ヒナスミレかと思ったが・・・


    どうやらこれはシハイスミレらしい。

 4~5時間ほど歩いた森の奥深い林床に見たかったサル顔の花がひっそりと咲いていた。


    なんとか出会うことが出来た。


    スギと雑木林が入り混じる林床にひっそりと咲いていたサル顔のエビネ。


    しかしこのエビネ、葉を良く見ると何枚か食われた痕跡がある。きわめて危険な状態に置かれている。


    こちらの株は元気いっぱい。


    奇妙な形をしているが美しい花。サル顔と言うには花に失礼な気もする。

 株数は少なかったがなんとか見たかった花に出会うことが出来た。盗掘も然ることながら、動物にも狙われているこの花、もしもここが山梨県だったならば、即刻保護ネットで囲いに行くところだろう。近年減少が著しいと聞くこの花、これからも咲き続けてくれることを願う。

 山梨県でもかつてはこのサル顔のエビネが咲いていたらしいが、野生絶滅している可能性が高い。しかし、人が近寄らない奥深い山の中や谷の源頭あたりには、ひょっとしたらまだ生き続けているかも知れない。可能性があるならば、いつか探索に出かけてみたいと思う。

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谷間にひっそりと咲く黄色いサバの尾  平成29年5月17日

2017年05月21日 | 圏外編
 出張で関西方面に行く機会があり、仕事を後輩に任せて1日早く出かけさせてもらった。このような機会でもないと、県外の山に行く機会はなかなか無い。仕事を終えて甲府を出発したのが午後7時になってしまい、行けるところまで行ってサービスエリアで車中泊することにする。目指すは滋賀県の山(谷?)である。朝5時半に起床し、登山口に到着したのが7時半、8時から歩き始めるが、予定していた谷は現在通行止めになっており谷に入れない。では上からならばどうなのだろうか?とりあえずは山頂まで行ってみることにする。


    歩き出すとすぐにキンランがお出迎え。何本も咲いていた。


    見ごろは若干過ぎていたが、開いている花もあった。


    タニウツギが沢沿いを彩っていた。


    タニギキョウはちょうど咲き始めたばかり。


    ヤマルリソウにしてはほとんど毛が生えていない。葉も波打っていない。これはルリソウか?


    沢沿いの道に小さな滝があり、近付いてみる。


    もう花が終わってしまっているが、コチャルメルソウだろう。


    別の滝の脇にはもっと大型のものがあった。葉の形も、毛が生えているところも違う。初見のチャルメルソウ。


    わずかに咲き残っていたシハイスミレ。


    この山には葉の黒いタイプもある。


    山頂付近にはヒカゲノカズラがたくさん。

 展望の良い山頂で小休止して問題の谷への分岐に行ってみる。そこには「イクナ!」と書かれてあり、木でバリケードが作られていた。さすがにこれだけ厳重に通行止めにしてあるのにこのルートを行くのはまずいのでは?その場所でしばし休憩しながら作戦を考える。おそらく崩落しているのは谷の下流のほうだろう。谷まで下りてそのまま通過せずに登り返して来るならおそらくは大丈夫だろう。どのくらい下りれば谷に出るのかわからないが、バリケードを越えて下りてみることにする。しかし、かなり下りたはずなのだが谷に出ない。標高差にして約250mほど下ってようやく水の流れる谷に降り立つことが出来た。しかし、その清涼な流れ、そして緑の美しさ、下りた甲斐があったと思った。


    「イクナ!」と書かれた看板とバリケード。さすがに気が引けたが、谷まで下りてみることにした。


    標高差にして約250m、20分ほど下ってようやく谷に出た。清涼感あふれる美しい谷。


    滝の脇には大きなチャルメルソウ。


    花は終わってしまっているが、見たかったのはこの植物とこれが生育する環境。


    時期的に遅いので花は見られないだろうと思っていたが、奇跡的に1輪だけ咲き残っていてくれた。


    黄色いサバノオ。

 時期的に1ヶ月ほど遅いので、花はまず見られないだろうと思っていたのだが、奇跡的に1輪だけ咲き残っていてくれた。ごく限られた沢の中に咲くこの花、出会えただけでも幸運である。小一時間の登り返しは結構辛いものがあったが、行ってみて良かったと思った。

 山梨県ではまだお目にかかっていないトウゴクサバノオという花がある。こちらの黄色いサバノオに比べるともっと簡単に見つかるはずなのだが、何故か見たことが無い。おそらくはこの黄色い花が咲いているような清涼な谷にひっそりと咲いているのではないだろうか。



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コバイモを求めて鈴鹿の山へ  平成29年4月9日

2017年04月10日 | 圏外編
 山梨県で見られるコバイモは甲斐の姫君と越野の君の2種類があるが、今年初めて静岡県の越野の君を見たほかは他の種類のコバイモは見たことが無い。以前から見たいと思っていたのが鈴鹿山系に咲くコバイモである。おおよその場所はわかっているので行けば見られるであろうが、さらに情報収集のためこの山域を何度も訪れているうーさんに電話してみた。すると、驚いたことに現在奈良に帰省中で明日同じ山、しかも同じルートを山仲間と訪れることになっているそうだ。これは全くの偶然であるが願ってもいない幸運、頼もしい案内人が同行してくれることとなった。

 前日に御在所のサービスエリアまで移動して車中泊するが、名古屋に入ったあたりから土砂降りの雨となった。ワイパーで掃っても前が見えないほどの雨だ。これで大丈夫なのか?と思ったが、午後10時に御在所サービスエリアに到着した頃には雨は小降りになっていた。速く寝付きたいので睡眠薬を3錠飲んで寝ようとしたがなかなか寝付けず、結局12時近くになってようやく眠ることが出来た。翌朝は5時に目覚ましをかけ、予定通り起きたまでは良かったが睡眠薬の作用がまだ残っていて、フラフラして体のバランスが悪い。登山口に移動し、足の遅い私が先に登り始めているはずだったのだが、結局はうーさんたちと同じ時間に登り始めることとなって朝7時に出発となる。


    低いところではトウゴクミツバツツジが満開。


    ヒロハアマナは前夜の雨で花がしぼんでしまっていた。


    開花した花を発見。かなりの数があるが、前日の雨に続いてこの日も空模様が悪く、ご機嫌斜めだった。


    露に濡れたヒメウズ


    スミレはタチツボスミレだが、もうすぐ咲きそうなピンクの花はカテンソウ(イラクサ科カテンソウ属)。


    エゾアオイスミレが数株


    ヒナスミレも数株


    ミスミソウ。スハマソウとの区別は葉っぱの形だけで決めて良いものかどうかわからないが、混在しているように見える。


    ピンク色のミスミソウ。


    この山は大部分が石灰岩から成っている。


 コブをいくつか越えて山頂への最後の急登になるとそのあたりは石灰岩が露出しており、石灰岩地を好んで咲くセツブンソウがたくさん姿を現す。さらにこの山で群生していることが有名なフクジュソウが斜面のあちらこちらに咲いていた。しかし残念なことに、いずれも昨日の雨で花が痛んでおり、なかなか新鮮な花が見つからない。


    山頂間近の石灰岩露岩地帯。


    中腹にもたくさんあったが、ほとんど花が散った後だったセツブンソウ。前夜の雨で痛んでしまっている。


    残っていた新鮮なセツブンソウ。


    フクジュソウがたくさん咲いているが、こちらも花が傷んでいた。


    雨に濡れたフクジュソウ。山頂付近ではみぞれが舞って寒かった。花に隠れるようにコバイモの葉が出ている。

 目的のコバイモであるが、予想を遥かに上回る個体数が咲いていた。まだ花を咲かせない幼弱な葉も多数あり、この場所は今のところは絶滅するような状況では無いように見受けられ、他県の花ながらちょっと安心した。


    居ました、初めて対面する美濃のコバイモ。


    並んで咲いていた株。


    一見コシノコバイモに似ている。


    しかし花の中は・・・


    コシノと違って真っ赤。

 同行していただいた2人には申し訳ないほどにゆっくりの山歩きで、思う存分花を楽しませていただいた。山頂はみぞれが舞って寒かったが、おかげで人が少なく大休憩して昼食となる。下山は別ルートを使ったが、そちらもいろいろな花を楽しむことが出来た。ただ、残雪が溶け出して登山道が泥沼状態になっていて歩きにくかったのが難点だった。


    下山に使ったルートにもフクジュソウがたくさん咲く。こちらは上部はまだ蕾だった。


    コセリバオウレンは風に揺られてなかなか撮らせてくれない。


    コセリバオウレン


    シハイスミレにも遭遇。


    風に揺れるシハイスミレ


    こちらのルートでも美濃のコバイモに出会えたが、数は少なかった。

 案内していただいたおかげで、見たかった花はほぼ見ることが出来た。そして想定していた数を遥かに上回るコバイモにも出会うことが出来た。たいへん満足な山行となった。鈴鹿の山の素晴らしさを存分に知ることが出来、いつになるかはわからないが鈴鹿山系の他の山にも登ってみたくなった。



    記念撮影

 私としては予定通りの10時間弱の山行であったが、同行していただいたお二人にとってはスローピッチすぎて退屈だったかも知れない。ご案内とお付き合いいただきまして本当にありがとうございました。



    まだ蕾だったこの花の開花しているところを見てみたい。

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花は何処に? 救世主現る高草山  平成29年3月20日

2017年03月21日 | 圏外編
 数年前から訪れてみたいと思っていた高草山。しかし、花の時期が早く、気が付けばもう花期を過ぎている。今年こそは、と狙ってはいたが、前日の七面山がかなり堪えて朝起きれば全身筋肉痛でトイレに歩くのも苦痛だ。しかし、この日を逃すとこの山はまた来年に持ち越しになってしまう。しかし・・・起きられない。10時まで布団の中でゴロゴロしていたが、意を決して静岡まで遠征することにする。

 当初の予定では昼頃に山頂に到着して他力本願で花情報を聞いて探すはずだったが、登り口の林叟院(りんそういん)到着時間が午後2時近くになってしまい、おそらくはほとんどの人はもう下山したか、途中のところだろう。登ったとしてももう上に人が居る可能性は低い。しかも自力で花を探すには情報が少なすぎる。それでも、とりあえずは一度訪れてみて様子を見ておくのも必要だろう。足に湿布して、屈伸を繰り返して午後2時にスタートする。


    下から見上げる高草山。どこにでも普通にある里山のように見える。


    林叟院の脇を通って登山道へ。


    随所に看板が立てられていてコースが整備されている。地図に載っていないルートも多数あり。


    土手に生えているシャガ。


    1時間ほど登って茶畑に出た。鉄塔の立つ高草山の頂上にだいぶ近付いた。この先で林道を何度か横切る。


    菜の花畑


    水仙の植えられた畑

 登り始めは足を引きずるように歩いていたが、やがて痛みが和らぎピッチは上がらないものの普通に歩けるようになってきた。いろいろと花が咲いてはいるものの、里山で普通に見られる花が多い。この山で咲くあの有名なキスミレとあの珍しいコバイモはどこにあるのだろうか?


    白いタチツボスミレ


    ニオイタチツボスミレ


    フモトスミレ


    ヒメウズ(キンポウゲ科オダマキ属)

 頂上まであと20~30分というところで下山してきたご夫婦の女性のほうから声をかけられた。「ヨッシーさんですか?」「どちら様でしょうか?」帰って来た返事にビックリ!!「ハナネコです。」 え~~、まさか、まさかのこんなところでお会いできるとは、しかも声をかけていただけるとは嬉しい限りである。ほとんど情報を持たずに登って来た私にとってはまさに救世主、短時間ながら情報交換し、この山の情報をいただいて頂上を目指す。前日の七面山ダイヤといい、この日のバッタリといい、今月も俺はキテるな~と思った。


    鳥居の立つ頂上に到着。山頂の三角点はその先のピークだが、高さはほとんど変わらない。


    夕陽がだいぶ西に傾いている。もう誰も居ない。


    情報をいただいたおかげでキスミレの保護地は容易にたどり着くことが出来た。


    キスミレはまだ咲き始めたばかり。それでもかなりの数がある。


    ネットで見たここのキスミレは富士山外輪山で見るものよりも大きく見えたが、こうして実物を見るとやはり普通のキスミレだ。


    この山を愛する多くの人たちに守られて、元気に育っているのだろう。

 さて、もうひとつの探し物、コバイモのほうはあれほど詳細に聞いてきたにもかかわらず発見できない。だいぶ先のほうまで探しに行きまた戻って藪の斜面をうろついたりしてみたが、どうしても見つからない。1時間近く探しても見つからず、こうなったら最終ホットラインを使うしか無いだろう。花の博士と仰ぐ方に電話をかけるが・・・残念ながらつながらない。もう陽が沈んで町灯りがぽつぽつと灯り出す時間になってしまった。あきらめて夜景が見えるところに向かって歩いて行くと・・・何やら怪しい踏み跡を発見した。そこに踏み込んでみると・・・ひっそりと、しかし存在感たっぷりにその花が咲いていた。


    あんたも珍しいけど、今日は探して無いよ~。


    藪の中にひっそりと、しかし存在感たっぷりに咲いていたその花。


    山梨県でもごく限られた場所に咲いている越野の君。最後の最後で出会えました。


    こちらはまだ蕾。


    こっちは上を向いて咲いている。

 山梨で見る越野の君よりも花がやや小ぶりに見える。他にも咲くところがあるのかも知れないが、きわめて個体数が少なく踏み跡も目立ち、危機的な状況にあるように思える。

 さて、山頂に戻って軽食をとって、町灯りが灯るまで暗くなるのを待つ。日中は霞んではいたものの富士山が見えていたので、日没とともに空気が冷えて富士山が姿を現すのではないかと期待していたのだが残念ながら富士山は見えなかった。もうひとつ、この山は焼津市の町灯りが一望できる眺望の山でもある。下山は暗くなってからこの夜景を楽しみながら下りて来ようと決めていた。町灯りが灯った6時過ぎから下山を開始する。


    6時10分、焼津の町に明かりが灯る。


    焼津の町灯りを一望できる抜群の眺望の山。


    町灯りに向かって下りて行くこの感じが良い。

 スリップし易い斜面が何ヶ所かあり、気をつけながら、かつGPSに頼りっ切りで地図に載っていないルートを下山した。しかし、下りてきたわかったが、どうやらそのルートが周回する時のメインルートだったようだ。7時半、無事に下山。

 初めて訪れた高草山でお目当ての花に出会えたのは全て救世主ハナネコさんのおかげである。初めてお会いしたのにブログを拝見しているおかげで親しくお付き合いしている方のように感じた。このようなブログでも、やっていればそれなりのご利益があるものだと思った。ハナネコさん、ありがとうございました。   

    
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紅色に染まるパール富士 矢倉岳  平成29年2月12日

2017年02月13日 | 圏外編
 この日の矢倉岳パール富士は計算上は日の出から5~10分後に月が富士山に沈んで行く絶好の時間帯で、天候が良ければ紅富士が期待できる。仲間を誘って出かけることとなった。

 前日の夕方はパール富士の撮影に失敗して少しばかり気分がへこんだが、夜8時ごろにはすっかり雲が晴れて月光に照らされた富士山が浮かび上がっていた。足柄サービスエリアで車中泊するつもりで立ち寄り、夕食を済ませコンビニに立ち寄って明日の食料を買い込む。ふと見ればその横に銭湯があった。中に入ってみるとさらに驚いたことに宿泊施設(ホテル)が併設されていた。フロントで料金を聞くと、5時間までだと3,000円、1泊だと6,000円だと言う。どうせ未明2時半に出発だから、5時間でちょうど良い。部屋も空いていたのでこのホテルに泊まらせていただくことにした。

 未明2時半に起床して4時前に矢倉岳登山口の万葉公園駐車場に到着した。のぞむ先生のものと思わしき車が止まっており、一旦はその脇に車を止めたが、まだ寝ていると邪魔になるかと思い隣の駐車場に移動して支度を整える。コースタイムは1時間10分ほどらしいが、荷物が重いうえに歩いたことが無い道、かつ雪もあり、途中の撮影時間も考慮すると2時間は見ておいたほうが良い。準備が整い出発しようとすると、先ほどの車からのぞむ先生が起きてきた。ちょうど私に電話をしようと思っていたところらしい。鈍足の私は4時過ぎに一足先に出発させてもらう。


    途中から見る月光の矢倉岳。思ったよりも遠くに見える。しかも、ここからかなり下って登り返しになっている。


    矢倉岳中腹から見る月と富士山。雲ひとつない好天、この時点で本日のパール富士はいただき、と確信。


    矢倉岳直下の展望地から見る富士山。下の尾根が若干邪魔になるものの、まずまずの高度感。


    山頂到着は6時10分ごろ。ほぼ予定の2時間だった。もう明るくなってきており、この頃にはヘッドライトは不要になる。


    夜明けの相模湾。山頂では既に4~5人のカメラマンがスタンバイしていた。

 ポジションは山頂の矢倉の上がベストかと思っていたが、矢倉は撤去されていて立っていなかった。山頂でも良いのだが、ここからでは折角の御殿場の町灯りが見えない。登山道を少し戻って町灯りが見える位置まで移動して、そこで2台のカメラをセットする。折角担ぎ上げたボーグ300㎜レンズだったが、パールになる山頂だけ切り抜くよりもこの高度感を生かしてやや広角気味の撮影のほうが良いと考え、この日のボーグレンズの出番は無かった。


    御殿場の町灯りが見下ろせる位置でカメラをセットする。しかし、もう明るくなっていて、町灯りはほとんど消えている。


    綺麗なアースシャドウが出た。富士山頂にはもう朝日が当たり始めている。


    その少し前の時間。アースシャドウの富士山と月。


    朝日に染まる富士山頂と月。感動的な景色が広がった。


    同上。月は山頂から外れているが、これだけの景色が見られれば十分。


    紅富士と月


    パール紅富士  真ん中からは外れたが、これだけ綺麗に染まった富士山と月を見るのは初めてだ。


    同上。


    富士山頂に月が沈んで行く。

 実に感動的な景色だった。腹いっぱい、という気分だった。朝霧高原から見るパール富士も悪くは無いのだがこのような満足感を得ることは出来ない。低山とはいえ、やはり山の上からの景色は最高である。このような景色に出会えるからこそ、何度失敗してもまた山に登るのである。


    本日は大成功!山頂でポーズ。

 腹いっぱいで下山したが、例のごとくガスト山に立ち寄り、今度は本当に腹を満たしながら次回の作戦会議を行った。次回3月のパールはさらに距離を離してさらに難しい撮影に挑むが・・・晴れてくれることを祈る。
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丹沢おまけのハイキング(?) 岳の台へ  平成29年1月22日

2017年01月24日 | 圏外編
 丹沢のヤビツ峠までやって来た本来の理由はこの岳ノ台から見る未明の富士山だった。この山の上から見ると、富士山のほぼ中央の位置にあのオリオン座大星雲が沈んで行き、距離的にもヤビツ峠からさほど遠くない(はず)なので追尾装置や天体望遠レンズ等、機材を担ぎ上げるにも都合が良い(と考えていた)。未明2時ごろに富士山頂にオリオン座大星雲が沈んで行くので、ヤビツ峠を深夜12時に出発する予定だったのだが、日没を過ぎた頃から空に雲が出て星が見えなくなり、中止となってしまった。

 しかし岳ノ台までそう簡単に行けるものなのだろうか?それと、座標がきちんと合っているのだろうか?望遠レンズで星や彗星を狙う際は位置のずれは致命的になることがある。さほど疲れてもいないことだし、時間もまだ早いし、大山から下山してそのまま岳ノ台まで行って確認してみることにした。ネット上の記事では菩提峠まで縦走して周回するコースで2時間くらいと書かれていたので、山頂までは1時間はかからないだろうと見ていたのだが、さてどんなものか?


    岳ノ台入り口。ハイキングコースと書かれているが、いつも騙されるこの「ハイキング」という言葉。なんとなく不安がよぎる。


    階段になったコースを登って一旦平らになってまた登り。上に建物が見えたので、思ったより近いなとこの時は思った。


    東屋に到着。しかし、周辺を見回しても富士山の眺望が無い。何で???

 20分で東屋の立つピークに到着した。ここが目指す岳ノ台だと信じていた私は、思ったより近いなと思ったのだが、おかしなことにこのピークは樹林帯の中で眺望が悪く、富士山が全く見えない。GPSを取り出して位置を確認すると、ここは岳ノ台にに向かう途中のピークで、まだ半分くらいしか来ていないことがわかる。その先の道はグッと下ってその向こうに見える山の先に岳ノ台山頂がある。だいぶ心が折れて帰ろうかと思ったのだが、時刻はまだ10時半で、時間はたっぷりある。スローピッチでとにかく行ってみることにする。


    コルにぐっと下って向こうに見えるピークの裏側が岳ノ台山頂。


    直登では無くて草地の中を右に巻いてその向こうの緩い尾根を山頂まで登る。


    トレースはあるが、日陰の斜面は雪が積もっていて簡単には登らせてくれない。


    山頂到着。ゆっくり歩いてきたが、それでも入り口から50分ほどで到着できた。


    下が休憩所、上が展望台になっている、良く出来た建物。


    展望台から見る富士山。周辺の木が邪魔になって決して眺望が良いとは言えない。


    ズームをかければ富士山とオリオン座大星雲の撮影には問題無いが、そのほかに撮るものがあまり無い。


    早朝登った大山はすぐそこに見える。

 場所的に丹沢の山並から相模湾の夜景までぐるりと見渡せる場所かと思っていたのだが、期待したほどの眺望は得られなかった。広角レンズで星空と山並を撮影するならばやはり大山まで登らないとダメなようだ。眺望を確かめてGPSログを記録して小休憩して下山した。


    帰り道の登り返しは辛いので、林道をちょっと短絡させていただきました。
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探し物は空振り、しかしいろいろな花に出会えた愛鷹山  平成27年5月5日

2015年05月07日 | 圏外編
 先日の長野県の山に続いて県外遠征(といっても近いが)に出かけた5月連休。名前がこっちのほうだからきっとこの山に行けば出会えるのではないかという安易な考えで出かけたのだが、どうやらこの山では無かったようで、これだ!と思って帰って来てから写真を良く見れば別のものだった。それでも、いろいろな花に出会えた充実した山歩きが楽しめた。

 自宅を6時半に出発し、9時前には登山口に到着出来るだろうと思っていたのだが富士サファリパークに行く車で道が渋滞し、9時半になってしまった。山神社から歩き始めたのは10時になってしまった。いつものスローピッチで歩き、後続者にはことごとく追い抜かれる。


    山神社の駐車場のすぐ先にある登山口から入山。帰りは真直ぐ続く向こうの道から戻る予定。


    樹林帯の中の道を行く。天候いまひとつ、森の中は暗い。


    愛鷹山荘。このすぐ上が富士見峠。


    中を拝見。毛布が準備されていて中はきれい。


    ちょうど1時間で富士見峠に到着。

 愛鷹山荘の中を見物させてもらいながら休憩し、11時に富士見峠に到着した。黒岳に立ち寄る時間はなさそうなのでそのまま越前岳に向かって進むと、泥で汚れているが白いスミレを発見。やった、目的のスミレをゲット! とこの時は思ったのだが、話に聞いていたよりもスミレのサイズが大きい。葉っぱも厚くて硬そうに見える。これは本当に本物なのか??と疑問を抱きつつ山頂に向かって進む。


    白いスミレを発見。


    意外と簡単に見つかった、と思ったのだが、ネットで見たものよりサイズが大きい。帰って来てから良く見れば、これはフモトスミレ。


    ツツジが登山道を彩っていた。


    おしべが10本、葉っぱが3枚。これはアシタカツツジではなくてトウゴクミツバツツジ。


    鋸岳展望台は雲で何も見えない。


    ヒナスミレ? と思ったが、良く見ればナガバノスミレサイシン。


    富士見台。曇っていてもちろん富士山見えません。


    越前岳山頂到着、午後1時15分。ほぼ予定通りの時間。

 空はずっと曇り空で山上には霧が巻いていて、富士山の眺望は全く期待していなかったのだが、山頂に到着して間もなく青空が広がり、雲が晴れて富士山が姿を現した。この季節にしてはかなりすっきりとした富士山の姿に感激する。昼食をとってゆっくり休んだ後、呼子岳を目指して下る。


    雲が晴れて富士山が姿を現した。


    駿河湾を見下ろす。


    2枚葉、もうすぐ咲きそうな芽。これはOh!No!Ye~蘭の葉だろう。


    またまた白いスミレに出会う。


    しかしこれはフモトスミレとすぐにわかる。


    途中からはイワカガミロード。花芽が出ていてあと1週間ほどで咲きそうだ。


    少しだけ咲いていたコイワカガミ。


    プチ岩登り。


    岩の上は分岐点になっていた。左端の尖ったところが呼子岳。


    呼子岳山頂。


    越前岳を振り返る。左手に富士山の姿。


    位牌岳方面。行けそうに見えるが、現在通行止めになっている難ルート。


    まだ蕾だが、このツツジは葉っぱが5枚。これがアシタカツツジ。あまり数は無かった。

 呼子岳から割石峠に下って行くと、途中の岩のところにピンク色の花が咲いていた。近付いてみればコイワザクラだった。谷の中を覗いてみると、急斜面のところに点々と集落を作って咲いているのが見える。しかし、急な崖でとてもではないが近付けない。


    谷の急斜面に咲くコイワザクラ。


    75mmズームでやっとこれだけ。


    コイワザクラ


    足元に咲いていたコイワザクラを接写。

 割石峠からはガレた谷を下りるが、この谷は歩きにくくてしかも想定外に長かった。壊れた林道らしきところに下り立つが、その先も結構な距離があった。


    ガレた谷を下りる。長い。


    谷に咲いていたミツバコンロンソウ。林に咲くものよりも谷に咲くもののほうがずっと雰囲気が良い。


    白いスミレ発見。これはシコクスミレ。


    今度こそは! と思ったが。


    側弁に毛が生えている。これもフモトスミレ。


    壊れた林道に出たが・・・まだ2km以上ある。

 翌日に疲れを残さないようにゆっくりと歩き、駐車場に到着したのは午後6時になってしまった。残っていたのは私の車だけ、毎度のことだが・・・。

 探し物とは未だ見たことが無いトウカイスミレ。かなり小さなスミレらしい。この山ならばあると思ったのだが、見落としたか、あるいは時期を外したか、それともこの山には無いのかもしれない。今年はもうスミレの季節は終わってしまうので、来年の課題になりそうだ。しかし、探し物は見つからずとも植生豊かで眺望も良い、日本二百名山の名にふさわしい山だった。環境的には御坂山塊の十二ヶ岳に良く似ていると感じた。

  
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御在所岳頂上界隈を散策  平成26年9月28日

2014年10月02日 | 圏外編
 大阪出張のついでに立ち寄らせていただいた。27日昼過ぎに車で甲府を出発し、その日のうちに大阪近傍まで行って車内泊を考えていたのだが、伊勢湾岸道路の美しい夕暮れの景色を見て気が変わった。明日は好天、どこも行かないのはもったいない、聞きたい講演は午後3時過ぎから・・・と、いろいろ考えながら、四日市で高速を下りて宿を探し、四日市市内に泊まることにした。ホテルのフロントで名物はトンテキと教えていただき、トンテキ「ちゃん」というお奨めの店に行って9時ごろに夕食となる。ご飯は半量にしてもらったが、トンテキのボリュームが凄く、満腹度120%。初めて泊まる四日市の繁華街を1時間ほど散策してホテルに帰って寝る。

 翌朝7時に目が覚めたが、歩いて御在所岳に登るには時間が足りない。ロープウェイは9時から動き出すので、これを使って山頂駅まで行くことにする。駐車場に10時到着し、御在所岳裏道登山道の分かれる場所の確認など、周辺を少し散策してからロープウェイに乗り込む。歩くと3時間かかる行程がわずか12分で山頂駅に到着する。下に見える谷を登っている人の姿が見える。最後は崖のような急登だ。登ったらかなり面白そうだが、今回は無理。もったいないような、申し訳ないような、後ろめたいような気分で山頂駅に到着した。


    途中の道路脇から見上げる御在所岳。甲斐駒ケ岳に似た三角錐、ゴロゴロの岩が露出した姿は昇仙峡の山々に似ている。


    ロープウェイ駅。今日はこれで山頂まで。


    出発、ぐんぐん高度を上げる。ゴンドラ乗客は私だけ。


    伊勢湾が見え出す。


    四日市の街並みと伊勢湾


    切り立った岩肌と山頂駅。


    あんなところに人がいる。その向こうは鎌ヶ岳。


 駅を下りるとその向こうに御在所岳山頂が見えた。そしてまさかの・・・山の上でアスファルトの道。


    御在所岳山頂が向こうに見える。


    まさか山上でアスファルトの道を歩くとは・・・。


    草地を歩いて御在所岳山頂へ。左手にはリフトがあって、これに乗れば労せずに山頂に行ける。


    御在所岳山頂。一等三角点がある。


    三角点の先にある望湖台。琵琶湖がみえるらしいが、この日は見えなかった。


    色付き始めた御在所岳


    向こうに見える建物は何? 行ってみることにする。


    広場と休憩所になっていた。


    鈴鹿国定公園の碑。


    少し下がって長者池と八大龍王神社。


    八大龍王神社


    登り返して御嶽大権現。


    見つけた花はこれくらい。タツナミソウ。

 ほとんど公園のようになっている御在所岳山頂付近を周回してロープウェイ駅に戻ったが、駅の上には朝陽台という展望地があるようなので、そちらにも立ち寄ってみることにした。


    朝陽台と御在所岳


    御嶽神社の祠が立つ。


    見晴台。鎌ヶ岳の眺望が良い。


    富士見台。四日市の町と伊勢湾を望む。空気の澄んだ日には遠く富士山を望むことができるらしい。


 ちょっと立ち寄るつもりが結局2時間近くも山頂界隈を散策してしまった。急峻の山肌を登るのはきつそうだが歩くには面白そうな山だと感じた。しかし、ここよりももっと面白そうなのが隣の鎌ヶ岳。槍ヶ岳にも似たその尖った山は、登るには相当面白そうに見える。
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梅雨に咲く白い小桜、ヒナザクラ 栗駒山  平成26年6月28日

2014年07月07日 | 圏外編
 盛岡2泊目の朝もまたまた早起きできず、起床したのは7時。天気予報の通り、曇り空が広がり、いつ降り出してもおかしくないような空だ。高速道路を南下して一ノ関で下りた頃にはザッと雨が降り出した。間もなく止んだが、果たしてこの天気で登れるものかどうか? 午後にはもっと天気が悪くなる予報だ。行くか、このまま甲府まで帰るかどうか、迷ったがひとまずは登山口の栗駒山荘まで行ってみることにした。時折雨が混じる中を、須川温泉に到着したのは10時半を過ぎていた。

 相変わらずのどんよりとした空、山の上は雲が巻いていて、どこが山頂なのかわからない。登って行く人たちの姿も見えるし、さほど難しい山でも無いので登ってみることにした。今回の目的は山頂では無くて途中に咲いているであろうヒナザクラという白いサクラソウ属の花だ。前日早池峰山で会えなかったヒメコザクラはこの花の蛇紋岩土の変性種と思われる。東北の山ではヒナザクラはさほど珍しいものでは無いようだが、ヤマケイの高山植物図鑑に載っている朝日岳の群落が素晴らしく、是非見てみたいと思っていた花である。

 11時、出発。素直に他の人たちが登って行く登山道を行けば良いものを、人の少なそうなコースを選んだところ、ルートを間違えたようで途中で道が無くなってしまっていた。取水管ホースが通っているところをみると、これはどうやら取水口に行く道らしい。途中で向こう側の禿げ山の上に人がいるのが見えたのでおそらくそちらが正規の登山道だろう。途中から道無き斜面を適当に登ってそちらに行ってみると、登山道を示す棒が立っていた。


    須川温泉。ここは岩手県と秋田県の県境。


    小川を渡ってその先までは道があったが、途中から道は消失。中央に見える禿げた山の上に人の姿が見えた。


    咲き残ったミズバショウの咲く湿原が脇にあった。向こう側にある土の露出した場所にも行ってみたが道は見つからず。


    イワイチョウとハクサンチドリが咲く草地で道が消失。左下に見えた沢を登らないとこの先には進めない。


    戻ってウラジロヨウラクの咲く斜面を登って禿げた山の上に出る。


    禿げた山の上。(おそらくは硫黄山)


    その先には登山道を示す棒が立ち、案内標もある。

 樹林帯の中を抜けると硫黄の臭いがする広場に出た。そのあたりにはイワカガミがたくさん咲いていた。さらに進むと広大な湿原に至り、木道が整備されていた。


    道脇に咲くイワカガミ


    ミネズオウ


    賽ノ河原。硫黄の臭いがする。


    イワカガミと賽ノ河原


    木道が整備された湿原。


    イワカガミがたくさん


    ワタスゲ


    イワイチョウとウラジロヨウラクツツジ


    広大な湿原 名残ヶ原

 この道間違えで1時間ほど時間を消費してしまう。下山してくる人たちと続々とすれ違うが、この時間から登って行く人の姿はあまり見かけない。空模様もますます悪くなってきた。


    地獄谷付近。さらに硫黄の臭いが強い。


    地獄谷を見下ろす。


    人の休憩している向こう側が昭和湖。


    青白い神秘的な水を貯える昭和湖。

 昭和湖のほとりで休憩し、昼食をとる。時間は午後1時20分、山頂までは十分に行ける時間だが、天候が心配だ。やがて小雨が降り出し、この先でカッパを着用する。木の階段道を登って行くと、いよいよ本降りの雨となってきて、風も強まって来た。お目当てのヒナザクラは昭文社の地図では向こう側の秣岳(まぐさだけ)側に記されているが、とても行けそうに無い。雨の中、山頂まで行くかどうするか?迷いながら歩いていると右側の土の斜面の白い花が目についた。近付いてみると・・・これは会いたかったヒナザクラではないか。三脚を出して撮影を試みるが、雨でレンズが濡れるうえに結露がおこり、さらに風で揺れてなかなか撮影できない。なんとか撮って先に進むと、その先の登山道脇にもたくさん咲いていてくれた。小降りになったところで存分に撮影させてもらって山頂に向かう。


    登山道脇の斜面に咲いていたヒナザクラ。今回の一番の目的の花。


    ヒナザクラ群生。しかし、雨でいまいち撮影できず。


    その先にもたくさん咲いていた。


    ヒナザクラ群生


    可愛らしい花、ヒナザクラ。

 再び雨足が強くなった中を登って行くと、稜線に抜けた天狗平というところで強烈な風と横殴りの雨に見舞われる。山頂まであと20分だが、さすがにこうなると登る気も失せる。お目当てのヒナザクラには出会えたことだし、ここは山頂はあきらめて引き返すことにした。


    強烈な風と横殴りの雨に見舞われた天狗平。ここで引き返す。

 名残ヶ原まで下りると雨は小降りになり風も止んでいた。振り返って見る栗駒山山頂方面は真っ黒な雲におおわれていた。おそらく上はまだ強烈な雨と風が吹いているのだろう。湿原の景色を楽しみながらゆっくりと下山した。

 もっと凄いお花畑が広がる山を想像していた栗駒山は、想定とは違って火山の山だった。硫黄の臭いがする砂礫の近くに湿原が広がる光景は少し奇異に感じる。標高差は500mほどのコース整備が行き届いた歩き易い山なので、今回は山頂を踏めなかったがまた立ち寄る機会があるだろう。

 (栗駒山荘のお風呂に入って雨で冷えた体を温め、汗を流して長い帰路についた。順調に行けば深夜2時頃に自宅到着のはずだったが、あまりに眠く、中央道藤野サービスエリアまで来てひと眠りして、結局はそこで夜を明かすことになってしまった。雨に打たれた Canon Eos7D は故障して電源が入らなくなってしまった。)

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樽前山のタルマエソウ 北海道遠征6  平成25年7月19日

2013年07月30日 | 圏外編
 北海道遠征も最終日となったこの日は夕方7時半苫小牧東発のフェリーで新潟に渡る予定である。しかし、北海道に来てこの方に会わずして帰るわけには行かない。トムラウシ山に登る前日と下山後に連絡をとる。その方とは・・・平成22年10月に北海道を訪れた時に樽前山と札幌岳をご案内していただいたブログ仲間のtarumae-yamaさんだ。今回は恵庭岳あたりに行きたかったのだが、トムラウシ山下山後の私の体調が悪過ぎた。前日は札幌市街のホテルに泊まったが、登山疲れと運転疲れがどっと出て、ホテルに到着するともう出かける元気も無くグッタリ。ススキノにくり出す元気など全く出ず、風呂に入ってすぐにベッドに倒れ込むように寝てしまった。翌朝も疲れが抜けず、手足と顔がむくんでいるような感覚がある。おそらくはこうなるだろうと予想して、前日の打ち合わせできつい登りのある恵庭岳は避けてタルマエソウが見頃を迎えている樽前山を指名した。7合目まで車で行ける登り易い山だが、それでも登れるかどうか、一抹の不安があった。

 朝9時、札幌場外市場に行ってお土産を買い、11時半に樽前山7合目の駐車場でtarumae-yamaさんと待ち合わせする。平日だというのに駐車場はほぼ満車に近い。12時少し前に出発するが、案の定tarumae-yamaさんのピッチに全く付いて行けない。風不死岳(ふっぷしだけ)分岐あたりでは軽い吐き気を催し、ペースダウンしてもらってなんとか稜線の大岩のところまで登り、そこで昼食をいただく。tarumae-yamaさんの奥様が準備してくれたハスカップの漬物が入ったおにぎりをいただき、水を思い切り飲んでようやく若干体調が改善し、ピッチは上がらないものの歩けるようになった。

    樽前山7合目駐車場。平日なのに満車近い。


    支笏湖を望みながら反時計回りに樽前山周回する。


    モウセンゴケ。湿地帯に生えるものかと思っていたが、この山には普通に生育している。


    寄生植物オニノヤガラ。数本発見。


    タルマエソウ(イワブクロ)と樽前山。こちら側からは樽前ドームは見えない。


    タルマエソウ

 5時までに下山すればフェリーには十分間に合うので、時間はたっぷりある。この先は樽前ドームと見頃を迎えたタルマエソウを見ながら花三昧で歩く。標高1,000mほどしか無い山なのに、ここは森林限界を越えた八ヶ岳硫黄岳界隈を歩いているような雰囲気がある。

    満開のタルマエソウと樽前山ドーム


    イワギキョウ


    タルマエソウとドーム


    まずは西山に登る。


    西山山頂近くに咲いていたイワギキョウ


    コケモモの群落


    西山山頂。草むらの中を覗きながら歩く2人はまるで花見隊。

 西山山頂から東山(樽前山山頂)にかけての稜線は海を望むことができる。樽前山は苫小牧市に属しており、海からは近い位置にある。そのため海風が吹き海雲が発生しやすく、しばしば山は霧におおわれる。あっという間に霧に囲まれたかと思えばまたすぐに晴れる。

    海雲が湧く樽前山


    タルマエソウと樽前山とtarumae-yamaさん。


    噴煙を上げる樽前ドーム。しかし、平成22年に来た時よりはおとなしい。


    途中で寄り道。この山にコマクサがたくさん咲いているが、これは誰かが持ち込んだものらしい。増殖の勢いが凄くもはや駆除は困難と思われる。


    樽前山山頂

 午後3時45分、ゆったり歩きでなんとか山頂に到着した。この山を知り尽くしているtarumae-yamaさんのご案内だったので、花を余すことなく楽しむことができた。しかしコマクサがこれほどたくさん咲いているとは驚いた。かつては登山道から見えなかったらしいが、今では登山道から覗き見られる位置まで広がっている。今後の植生の変化が心配である。

 お世話になったtarumae-yamaさんに別れを告げ、苫小牧東港に向かう。6時前に到着し、余裕でフェリー乗車に間に合った。2週間という長期休暇はもう退職するまではとれないかもしれない休暇だった。幌尻岳を除けばほぼ予定通りの山に登ることができ、充実した2週間だったと思う。
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特産種とユウバリソウを求めて 夕張岳(後編)  平成25年7月13日‐14日

2013年07月23日 | 圏外編
 朝4時過ぎに夕張岳ヒュッテを出発し、樹林帯の中をみちほさんとともに探しまわって見つけたのはノビネチドリ、ミヤマチドリ、コイチヤクソウなどだが、これらは夕張岳の特産種では無い。前岳湿原入り口に到着したのは午前8時半、ここまで4時間以上もかかっている。そして、この湿原から山頂に至るまでのルートが夕張岳の特産種が咲くハイライトコースだ。


    前原湿原入り口

 いきなり特産種が見つかるわけではないが、この湿原のどこかにユウパリコザクラが咲いているらしい。白いウサギギクがあるという話も聞いた。探しながら木道の道を進む。

    ウサギギクとガマ岩。白花は見つからず。


    ムカゴトラノオ


    何これ??帰って来てから調べてみると、これはハクセンナズナ。


    イワイチョウの大群落。しかし花は咲いておらず、鹿に食べられたような跡があった。


    笹原の向こうに夕張岳。


    シロウマアサツキ。蕾のものが多く、やっと咲いているのを見つけたと思ったら、その先にはどっさり。


    トウゲブキ

 短い草の生える湿地帯の中で、ピンク色の花がポツポツと咲いているのを発見した。これこそが夕張岳の特産種、ユウパリコザクラだ。しかし、咲いている場所が遠く、持って行ったレンズでは焦点距離が短く追い切れない。かつ、手持ちで撮るのでブレが生じて鮮明な画像を得るのは難しい。三脚を忘れたのがやはり痛かった。

    ユウパリコザクラが咲く湿原。この視野で4株咲いているが見えますか?


    撮影して来た画像をトリーミングしたもの。さすがに葉っぱまでは見えない。

 その先の湿原にはウサギギクがたくさん、そしてさらに圧巻だったのは見渡す限り湿原をおおうシロウマアサツキの大群落。今まで撮って来たのは何だったのかと笑ってしまうほどの大群落が広がっていた。

    ウサギギクの群落


    シロウマアサツキがたくさん。


    見渡す限りシロウマアサツキ。笑っちゃうほどたくさんあります。

 さらに進むと、やや急傾斜を登ってこの山の核心部、蛇紋岩の砂礫帯に出る。ここにはこの山の代名詞ともいうべき花、ユウバリソウが咲いている。しかし、残念ながら時期が既に遅く、穂は残っているものの白い花は散って茶色くなってしまっていた。

    ユウバリソウ。もう時期が遅く終わってしまっている。


    ユウバリソウとユキバヒゴタイ。このユキバヒゴタイも簡単に見られる代物では無い。

 ユウバリソウとともにこの場所で是非見たいと思っていたもの、いや、今回この山でいちばん見たかった花がシソバキスミレという夕張岳の特産種だった。葉っぱだけでも残っていないかと探したのだがとうとう見つけることは出来なかった。撮影して来た画像を拡大して調べたがやはりシソバキスミレは見つからなかったが、クモマユキノシタに紛れて、もう1種類、まだ見たことの無いスミレの葉を発見した。

    クモマユキノシタ


    上記画像の左端をトリーミング。タカネスミレのような円い葉っぱ、これは北海道に特産するエゾタカネスミレの葉。

 蛇紋岩の砂礫帯を過ぎて最後の急登をさらに登ると、その先には神社があり周辺はミヤマアズマギクやミヤマリンドウが咲く小さなお花畑になっていた。そこから山頂まではわずかだ。

    夕張岳神社と夕張岳山頂


    ミヤマアズマギクのお花畑


    ミヤマオグルマ。これも北海道の限られた山でしか見られない。茎や葉に白いクモ毛が多く、全体が白っぽく見えるのが特徴。


    夕張岳山頂。後ろに見えるのは芦別岳。


    山頂で記念撮影。三脚忘れたので、ザックの上にカメラを置いて撮影。

 10時40分、夕張岳山頂に到着。花を見ながら登り7時間と見ていたので、予定よりも若干早く到着した。山頂で昼食をとる。夕張岳ヒュッテで出会った人たちとは別の調査隊の人たちがやって来て、情報を得ることができた。この山もやはり鹿の食害でだいぶ痛めつけられているようだ。
 
 昼食後下山開始する。湿原の中はやはり名残惜しく、帰りもいろいろと撮影しながら戻ったが、樹林帯に入るとあとは下るだけ。ただ黙々と下ったという感じだった。樹林帯の中にまだ見たことの無い稀少なランがあるという情報をいただいたが、とうとう見つけることはできなかった。午後3時、夕張岳ヒュッテに到着する。

    山頂からの下りで歩いてきた方向を望む。ずいぶん遠くまで来たもんだ。右手の白い砂礫地がユウバリソウやシソバキスミレが咲く場所。


    トウゲブキとシロウマアサツキのお花畑


    ムシトリスミレは湿地帯にたくさん咲いていた。


    やっぱり気になるこの黄色いスミレ。

 
 さて、テント撤収し、また長い林道を歩いてゲートまで戻る。調査隊の車が乗せて行ってくれないかという甘い期待もあったが、満席で林道を歩いていた私たちをあっさり追い抜いて行った。しかし、最後の最後で、林道を歩いたご褒美が待っていた。キソチドリらしき花が咲いていたその向こう側を覗いていたみちほさんが突然「あーっ」という大声を上げた。何事かと思ったらその先には・・・クモキリソウが固まって10株ほど咲いているではないか。感激!!林道歩きの疲れも吹き飛んだ。そしてここで初めて、三脚を使うことになる。

    クモキリソウの群生


    クモキリソウ


    この不思議な花の形。感激だ。

 午後6時、ゲートに到着する。車はもう数台しか止まっていない。やはり疲れた。林道を車で走っていると、道の真ん中で犬が座り込んでいる。クラクションを鳴らしても逃げる気配が無い。良く見れば、犬では無くてキツネではないか。ずいぶん人慣れしている。足に怪我を負っているようで、通る車の人に餌をねだっているようだ。可哀そうだが餌付けするわけには行かず、追っ払って道を進む。

    道の真ん中に座り込んでいたキツネ


    人なつこくて可愛いが、餌はやれないよ。

 夕張で日帰り温泉につかり、そこで夕食をとる。時間は夜の8時半になってしまった。みちほさんはこれから層雲峡まで移動して車内泊、明日黒岳とお鉢めぐりをした後にフェリーに乗って帰宅するそうだ。我々はどうするか、連休中日だけに宿がとれるのかどうか?夕張市内のホテルに電話してみると、1件目であっさりと宿をとれた。夕張温泉シューパロ、夕張駅の近くのホテルだった。なかなか良いホテルだったが、洗濯と乾燥器にかけるだけで精一杯。速攻で眠りに着いてしまった。


 夕張岳ヒュッテへの道はいずれ修理して再開するという話だった。それなりの花は見ることができたのだが、シソバキスミレが見られなかったのはかなり心残りだ。そして三脚を忘れて、きっちり撮影出来ていないこと。機会があったらもう一度この山を訪れてみたい。

(翌日はトムラウシ温泉に移動してテント泊、そして翌々日からヒサゴ沼2泊でトムラウシ山界隈に登る)
コメント (2)
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