山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

キンモウワラビ(キンモウワラビ科)

2020年09月15日 | シダ類
 日当たりの良い田や道路の石垣に生育する夏緑生のシダである。葉柄はわら色で50㎝に達することもある。葉身は3~4 回羽状複葉、 五角形から三角状長楕円形で長さ70㎝を超えることもある。胞子嚢群は裂片のやや中肋寄りに着く。根元付近には茶色くて長い鱗片を密生させ、キンモウワラビの名前の由縁となっている。山梨県では北杜市界隈に限局して生育しており、個体数は少ない。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN)  2017年環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)


    キンモウワラビ 令和2年7月 北杜市で撮影


    同上 石垣の隙間から生えている。


    同上 根元には茶色くて長い鱗片が密生し、まさに金毛(キンモウ)である。


    同上 葉質は固くてゴワゴワしている。


    包膜のあるソーラスは裂片の中軸寄りに付着する。


    令和2年8月下旬に撮影。もう枯れ始めて色付いている。


    同上 成熟したソーラス


    令和2年3月撮影 夏緑性なので冬は枯れている。


    同上 根元の鱗片はそのまま残っている。

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タカネシダ(オシダ科)

2020年09月14日 | シダ類
 高山の砂礫地や岩の隙間に生育する夏緑性のシダである。山梨県では北岳周辺と八ケ岳に生育しているが、個体数は少なく環境省カテゴリーでは絶滅危惧ⅠA類に属している貴重なシダである。


    タカネシダ 令和1年8月 北岳で撮影。一眼レフカメラが電池切れのためスマホで撮影した画像。


    同上。ソーラスは裂片の中肋近くに付く。


    平成30年9月 北岳で撮影。


    同上


    ソーラスは茶色く熟している。葉の上半分に偏って付着する。


    令和1年10月 北岳で撮影。夏緑性のシダなので秋になると枯れてくる。


    同上。枯れ始めた葉とソーラス

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ヒメイワトラノオ(チャセンシダ科)

2020年09月13日 | シダ類
 山地や渓谷の良く湿った岩場に生育する常緑性のシダである。イワトラノオに似ているが葉柄が細くて長いこと、裂片の先端部が尖ること、無性芽を付けることなどで異なる。山梨県では八ケ岳、奥秩父、南アルプスに生育しているが個体数は少ない。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2017年環境省なし


    湿った岩壁に生育していたヒメイワトラノオ 令和1年9月 奥秩父の渓谷沿いで撮影。


    同上


    同上 


    裂片の先端部は小さく尖る。


    裏側に付着する楕円形のソーラス。包膜がある。


    別株

 中軸に付着すると言われている無性芽をまだ確認できておらず、再訪するか別の場所で見てみたいと思っている。

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ヘラシダ

2020年09月12日 | シダ類
 日当たりの悪い林下の湿った場所や川沿いの斜面などに生育する常緑性のシダである。ヘラ状の細長い葉で、裏側の葉脈に沿って線状のソーラスを付ける。ソーラスは長短様々な長さのものが付く。山梨県では県南部に生育しており、分布限界種である。生育地での個体数はそこそこにある。


    ヘラシダ 令和2年2月 南部町で撮影


    同上 林道脇の斜面に生育していた個体


    裏側に付く線状のソーラス


    同上 渓谷沿いの斜面に生育していた個体


    葉脈に沿って付着するソーラスは長さが長短様々である。


    令和2年6月 南部町で撮影。林道脇のやや高い位置に生育していた個体。

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ハシゴシダ(ヒメシダ科)

2020年09月12日 | シダ類
 広葉樹林の林下や林縁の日当たりの良いやや乾燥した土手に生育している常緑性のシダである。葉質は柔らかく、羽片近位部の上向き小羽片が突出して大きい。馬蹄形の小さなソーラスを裂片の辺縁寄りに付ける。山梨県では山梨県県南部、甲府市などに生育しており生育地での個体数はあまり多く無い。


    群生するハシゴシダ 令和2年5月 甲府市で撮影


    同上 上向きの近位部小羽片が大きい。


    同上 裏側から観察


    同上 ソーラスは裂片の辺縁寄りに付着し、馬蹄形で小さい。


    令和2年1月 甲府市で撮影。常緑性であるが冬期は一部枯れる。


    同上


    同上 冬季の成熟したソーラス

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ミドリカナワラビ(オシダ科)

2020年09月11日 | シダ類
 山地の林内に生育する常緑性のシダである。緑色~黄緑色で葉の表面はツヤツヤして光沢がある美しいシダである。山梨県では県南部に生育しており、分布限界種である。生育地での個体数は少ない。


    ミドリカナワラビ 令和2年3月 南部町で撮影


    同上。葉の表面はツヤツヤしていて光沢がある。ハカタシダに似るが頂羽片は不明瞭である。


    令和2年2月 南部町で撮影。


    同上 


    同上 ソーラスは裂片の中肋と辺縁の中間あたりに付着する。


    黒っぽい細い鱗片をつける。


    令和2年6月 南部町で撮影。まだ新鮮で青々とした個体。下に生えているのはオシダ。

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ヒメハナワラビ(ハナヤスリ科)

2020年09月10日 | シダ類
 亜高山帯から高山帯の日当たりの良い草地に生育する夏緑生のシダである。舌状の栄養葉と多数の球状胞子嚢を付ける胞子葉を同じ茎から分岐させる。山梨県では八ヶ岳、北岳周辺、富士山などに生育しているが生育地での個体数は少ない。


    ヒメハナワラビ 平成30年7月 八ヶ岳で撮影


    令和1年7月 八ヶ岳で撮影


    同上 まだ幼弱な個体である。


    令和2年8月 富士山で撮影


    同上 この場所のものは個体が小さく数が少ない。変種のコケハナワラビではないかとの説もある。

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ヒメウラジロ(イノモトソウ科)

2020年09月09日 | シダ類
 日当たりの良い石垣の間や岩壁を好んで生育する常緑性のシダである。小さい根茎から小形の葉が多数集まって出る。葉面は卵状五角形で角が張っており、厚い角質で褐緑色である。裏側は白い粉が一面に付着し白くなっており、ソーラスは葉の辺縁に包み込まれるように付着する。常緑性のシダではあるが冬期は乾燥から身を守るために葉を丸め、枯れているように見える。山梨県では甲斐市や北杜市の限られた場所に生育し、個体数はあまり多く無い。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)  2017年環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)


    葉を展開し始めたばかりのヒメウラジロ 令和2年3月 甲斐市で撮影


    同上 葉の裏側は白粉が付着して白い。ソーラスは葉の辺縁に包み込まれるように付着する。


    同上 石垣の間に生育したヒメウラジロ。石灰岩地を好み、この石垣は石灰を含んでいるのかも知れない。


    令和2年6月 同じ場所で撮影。6月になると新しい葉を展開し始めていた。


    同上


    同上 白い葉裏と辺縁のソーラス


    同上 富士山と一緒に撮影したかったがなかなか良い状態の時にめぐり逢えない。


    令和2年1月 同じ場所で撮影


    同上。冬季は乾燥から身を守るために葉を丸めていて枯れているように見える。


    白い葉裏とソーラス


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フジシダ(コバノイシカグマ科)

2020年09月09日 | シダ類
 樹林下や渓谷沿いの苔の生した岩の上を好んで生育する常緑性のシダである。葉身は 1 回羽状に分裂し、線状被針形で長さ20 ~ 40㎝になり、草質で光沢がある。葉の先端 は尾状に伸び、地面について無性芽を生じる。胞子嚢群は羽片の辺縁の近くに 1 列に並んで付く。環境の良い生育地では群生が見られる。山梨県では奥秩父方面、県南部に限局的に生育しているが生育場所での個体数は多い。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)  2017年環境省なし


    苔の生えた岩の上を好むフジシダ 令和2年3月 奥秩父方面で撮影


    同上


    葉の先端の無性芽と水の雫


    全体的な長さは70㎝に達することもある。


    令和2年5月 奥秩父方面の別の場所で撮影


    同上 群生する姿がしばしば見られる。


    ヒメイチゲとフジシダ


    羽片の辺縁寄りに小さなソーラスを付ける。


    時として大群落に出会うことがある。

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ホソバショリマ(ヒメシダ科)

2020年09月08日 | シダ類
 山地上部の丘陵部に茂る夏緑生のシダである。葉は2 回羽状深裂し、長楕円状披針形で下部数対は耳状で淡緑色である。胞子嚢群は裂片の辺縁寄りに着く。流線型をした中型のシダで、葉質は柔らかく鹿の食害を受けている。全国的にも局地的に生育する珍しいシダで、山梨県では県南部の1ヶ所でのみ生育が確認されている。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)  2017年環境省なし


    山上に生育するホソバショリマの群生  令和2年6月 南部町で撮影


    同上


    根元に近い部分の葉が次第に小さくなり、全体的に流線型をしている。


    茶褐色のやや幅広い鱗片を付ける。


    葉質は柔らかく、鹿の食害を受けている。


    訪問時は残念ながらソーラスはまだ付いていなかった。


    ホソバショリマの群生

 ソーラスがまだ確認出来ておらず、再訪したいと思っている。

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サンショウモ(サンショウモ科)

2020年09月07日 | シダ類
 里山~山地帯の水田に生育する1年生の水草である。浮葉は単葉で対生してつく。葉は草質、楕円形~長楕円形、長さ0.8~2㎝、幅 1㎝、ほぼ全縁。水中の葉は細かく枝分かれし、根のような形態と機能をもつ。シダのようには見えないが、水中にある根のように見える水中葉の真ん中に胞子嚢を付けて胞子で増殖する。水田では雑草として取り扱われ、農薬を使うと減少してしまう。

 2018年山梨県準絶滅危惧(NT) 2017年環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)


    サンショウモ 令和2年8月 甲府市の水田で撮影


    同上


    同上 根のような機能をしている水中葉は地面に着かず浮いている。


    まだら模様の入るサンショウモの葉。葉は対生する。


    水中にある根のように見えるのは水中葉と呼ぶ葉である。


    水中葉の根元に丸くて毛の生えた胞子嚢果を付ける。

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トガクシデンダ(イワデンダ科)

2020年09月03日 | シダ類
 亜高山帯から高山帯の岩の隙間を好んで生育している夏緑生のシダである。山梨県では北岳周辺に生育しているが鳳凰山でも確認されているらしい。軸の根元から3分の1付近に関節(節目)があるのが特徴であるが、なかなか確認は難しい。


    トガクシデンダ 平成30年9月 北岳で撮影


    ソーラスは小羽片のやや辺縁寄りに付着する。

 北岳では他にもそれらしきシダを撮影してはいるが、ナヨシダとの区別が難しく、確実なものはこの画像だけである。もう少し詳細に観察して来る必要がある。

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ホテイシダ(ウラボシ科)

2020年09月02日 | シダ類
 山地や渓谷沿いの紅葉落葉樹の幹や岩に着生する常緑性のシダである。奥秩父山系や富士山麓などに生育している。群落をつくって生育していることが多い。


    ホテイシダ 平成30年7月 奥秩父山系で撮影。 200㎜望遠レンズではこの程度しか撮れない遠い位置に着生していた。


    令和2年7月 超望遠レンズを持って行き再写する。


    令和2年8月 西沢渓谷の石垣に着生していたホテイシダ


    令和2年8月 西沢渓谷で撮影。渓谷沿いの大木を見るとたくさん着生していた。


    同上


    同上


    同上 葉の辺縁は波打っている。裏側に付着した円形ソーラスは頂部寄りに付着する。

 場所によってそれなりの個体数はあるが、広葉樹林の森林伐採によって個体数は減少しつつある。

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ヒメカナワラビ(オシダ科)

2020年09月01日 | シダ類
 渓谷沿いの岩壁や土の斜面を好んで生育する常緑性のシダである。葉身は2 回羽状複葉、披針形、葉質は硬紙質からやや革質。小羽片の先端が刺状、辺縁は全縁か浅裂する。胞子嚢群は、葉身の下部中軸よりから外に向けてつきはじめ、 小羽片の中肋にやや近く着く。スラリとした女性的な曲線美と緑色のやや渋い光沢を放つ美しいシダで、共生することが多い男性的なオニイノデとは対照的である。山梨県では県南部に生育しているが生育地での個体数は多くは無い。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2017年環境省なし


    ヒメカナワラビ 令和2年2月 身延町で撮影


    同上 林道脇に生えていた個体


    黒褐色の鱗片はあまり厚く無い。


    ソーラスは中央部下側から外側に向かって付着する。


    渓谷の岩壁に生えたヒメカナワラビ 令和2年2月 身延町で撮影


    渓谷の岩壁に生えたヒメカナワラビ 令和2年2月 南部町で撮影


    渓谷の岩壁に生えたヒメカナワラビ 令和2年5月 南部町で撮影


    渓谷の土手に生えたヒメカナワラビ 令和2年5月 南部町で撮影

 身延町や南部町の渓谷沿いでは散在的に生育している。個体数はあまり多くは無いがオニイノデよりは良く見かける。

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ナヨシダ(ナヨシダ科)

2020年08月31日 | シダ類
 亜高山帯から高山帯の湿った岩場を好んで生育している常緑性のシダである。山梨県では八ヶ岳、富士山、北岳に生育している。小さなものはトガクシデンダとの区別が難しいものがある。決定的な違いは軸の根元近くに関節(節目)があるかどうかであるが、岩の隙間に生えているものが多く根元近くを観察するには難がある。常緑性ではあるが、私の見たものは秋になると枯れ始めていた。


    ナヨシダ 令和1年9月 八ヶ岳で撮影


    同上。裏側から撮影。


    同上。ソーラスは裂片のやや辺縁寄りに付着する。トガクシデンダに比べて小羽片の幅が広い。


    令和1年8月 北岳で撮影。青々とした良い個体だったが、不覚にも電池切れとなり撮影不能となる。


    令和1年10月 北岳で撮影。秋になると枯れていた。


    同上。山盛りになったソーラス。


    同上。根元の近くに関節(節目)が無い。岩の隙間に生えていることが多くなかなか確認は難しい。

 新鮮な個体を再写したいと思っているが高所に生育しているためなかなか機会が無い。

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