山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

晴天の茅ヶ岳、夏の花と標柱整備  平成23年9月7日

2011年09月21日 | 八ヶ岳・秩父山系
平成23年9月7日 
 
 夏休みではないが、平日のこの日は昼間に時間が空き、夜が当直となった。朝からすっきりとした青空が広がったこの日、秋のハイシーズンを前に茅ヶ岳の標柱の点検とニススプレーを持って整備に出かけた。
 朝8時、いつもの出勤するのと同じくらいの時間に自宅を出発、大明神林道を9時半に歩きはじめる。女岩に向かう道はミズヒキが咲き、ツリフネソウはそろそろ終焉、トリカブトは蕾を膨らませ始めたところだった。

    ツリフネソウはもう終わり。


    トリカブトが蕾を膨らませていた。このあたりは白っぽい花が咲く。


    メタカラコウ。女岩の上の道沿いに毎年咲く。


    茅ヶ岳の森の倒木


    ウバユリの実


    名前不明。良く見かける花(?)です。


    ミヤマママコナ  山頂付近に咲くが、以前に比べるとだいぶ数が減った。


    ハクサンフウロ  山頂付近に群生。

 女岩を過ぎて稜線までは順調に歩いたが、稜線に着いたところで左に行くところをちょっと右に逸れて金峰山方面の展望地に立ち寄る。そこは眺望が良いこともあるのだが、もうひとつ、ミヤマモジズリというピンク色の可愛らしい花が咲いている場所があるからだ。3株ほど咲いているのは確認したが、場所が悪く、また雨で花がつぶれていたため、撮影しなかったが、その後この花を見つけることはできなかった。

    茅ヶ岳山頂。知らないうちに大きな方位盤が設置されていた。が、既に富士山が壊れている。標柱の横にあるのは三角点の計測器。


    ツインタワーは健在。うれしい限りです。

 稜線の道に戻ると、20人ほどの団体客が登って来た。平日なので静かな山が楽しめると思ったのだが、人気のある茅ヶ岳だけに、そうはさせてくれないようだ。先に行ってもらったが、途中で追い抜いて先に山頂に到着した。4~5人の先客がおり、さらに三角点で測量している技術者の方もいた。知らないうちに大きな方位版が設置されていたのには驚いた。後ろから団体客が来るので、すぐに標柱整備にとりかかる。はがれた標柱表面を削り、ニススプレーを吹きかける。サンドペーパーを持ってこなかったので表面はあまりきれいにはできなかったが、腐食を防ぐには十分と思う。昼食はとらずにそのまま下山し、午後1時、車を止めた林道に到着した。

    久しぶりにすっきり見える富士山。空にはトンボがたくさん飛ぶ。


    金ヶ岳と八ヶ岳  紅葉はまだ始まっていない。


    下山途中の尾根道で見つけたマツムシソウ。倒れた木の枝に押しやられて曲がって咲いていた。


    ビランジの咲き残り。


    尾根道のガレ地から見る富士山
    
 これから紅葉シーズンを迎え、ハイシーズンを迎える茅ヶ岳。標柱が登山客の皆様に可愛がっていただければ幸いだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雷雨のため途中下山、杣添尾根  平成23年7月10日

2011年07月20日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年7月10日

 先週の赤岳・キレット・権現岳に続いて今週も八ヶ岳を訪れた。赤岳周辺の花の咲き具合からしてこの日あたりがウルップソウを見るに良い時期になりそうだからだ。しかし・・・目を覚ませばもう時間は6時半、横岳最短ルートの杣添尾根直登意外にルートの選択は無くなってしまった。急いで準備し、高速を使って登山口の海ノ口に向う。

    杣添川にモヤが湧く。

 8時、海ノ口に到着したが、予想通り駐車場はいっぱいで道路脇に車を止めさせてもらう。先週の県界尾根でイチヨウランを見つけ、生育環境がだいたいわかったので同じような林の中を首を振り振り歩いていると・・・発見!2株イチヨウランを見つけた。しかも標高1,800mくらいの低い位置で発見した。気分を良くして引き続き登山道脇、時に林の中に踏み込みつつ稀少植物を探しながら歩くが、その後は何も見つからない。そんなことをしながら、写真を撮りながら歩いているのでピッチは上がらない。

    発見!イチヨウラン  少し痛んでいる。


    コバノイチヤクソウ群落  こちらはまだ蕾。

 12時、もうすぐ森林限界を超える標高2,500m付近でポツポツと雨が降り出した。かと思ったらあっという間に本降りの雨になってきた。午後2時までは持つだろうと思っていたのだが、山の上ではそうは行かず、急いでカッパを着てザックカバーを装着する。横岳稜線まではもう1時間とかからないだろうが、下手をすると雷雲に巻き込まれてとんでもないことにもなりかねない。即座にあきらめて下山を開始した。

    11時20分、雲行きが怪しいぞ!12時、雨が降り出す。その10分後・・・

 その10分後・・・目の高さと同じか、それよりもやや低い位置でゴロゴロと雷の音がし始めた。樹林帯には入ったが、霧に巻かれていてまだ危ない。早足で1時間下り、ようやく雷雲から逃れた。その頃には・・・振り返って横岳を見ると真黒な雲がかかり、山の端から端までゴゴゴゴーというもの凄い雷鳴が轟き渡っていた。迷わず下山して正解だった。

    イチヨウラン  3株目


    同上


    同上  4株目。雨と霧でレンズが結露していた。

 登りながらカモメランを見つけたあたりをさらに良く探してみると、もう少し低いところにもう2株発見することができた。写真を撮影していると、次々と下山してくる人たちと出会った。この時間に下りてきた人たちは雷雲の直撃はなんとか避けられたようだ。
 午後3時、駐車場到着。まだ車が10台ほど止まっていたが、この人たちは大丈夫なのだろうか?心配しながら帰路につく。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八ヶ岳稀少植物調査(2日目) 赤岳からキレット、権現岳を経て天女山へ

2011年07月12日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年7月2-3日

 赤岳の南に位置する権現岳、さらにその向こうの南アルプス。この山々の上に流れる天の川を期待していたのだが、赤岳山頂小屋の夜は一晩中雲が巻き真白な夜だった。夜10時に外に出てみたが何も見えない。

    赤岳山頂で記念撮影。これからキレットを超えて権現岳へ。

 朝は4時に目が覚めた。あたりがもう明るくなり始めている。外に出た人たちが「何も見えないよ」と会話している声が聞こえる。日の出時刻の4時半に起き出して外に出てみるが、霧で視界が20mほどしかない。日の出も全く見えない朝だった。朝食は5時半からだったが、私は注文せずに自炊で朝食をとる。6時、小屋を出発。赤岳山頂にある標柱のところで3人で記念撮影をした後、キレットを目指して下り始める。霧で視界が悪い中をただひたすら鎖とハシゴの連続する急斜面を下りる。途中にはチョウノスケソウやイワウメの群落、咲き始めたミヤマシオガマ、ミヤマキンバイ、ハクサンイチゲなど、岩の隙間にたくましく咲いていた。

    朝露に濡れるチシマアマナ


    霧に霞む八ヶ岳のお花畑


    真行寺尾根分岐部。霧に霞む。


    チョウノスケソウ群落  この花は傷みやすく、新鮮な状態を撮るのが難しい。


    シコタンソウ


    霧のキレットを下る。花は咲き始めたばかりのミヤマシオガマ


    鎖とハシゴの連続。左腕の疲れがしだいに増してくる・・・


    イワウメ大群落


    キレットのお花畑。ミヤマキンバイ、キバナノコマノツメ、ミヤマシオガマ、ハクサンイチゲなど。ミヤマダイコンソウはまだ葉っぱだけ。


    ミヤマクロユリ

 キレット小屋のあたりまで下りたところで一瞬青空が見え、赤岳が全容を現した。鋭く尖った岩峰がいくつも立ち並ぶその様相はいつも見慣れている赤岳とはずいぶん違って見えた。下りてくる最中は霧に巻かれて何も見えなかったが、振り返って見るとどこをどうやって下りてきたのだろうか。

    一瞬空が晴れ、全容を見せた赤岳。いちばん左が山頂。


    霧に霞む旭岳。このあたりで左腕が攣る。


    旭岳への崖のような登り。

 しばし休憩してツルネのピークに向うが、キレットの鎖とハシゴで左腕が相当疲れていた。痛みこそ軽いが、筋性疲労で力が入りにくくなってきていた。ツルネを越えて進むが、このあたりは至って穏やかな普通の登山道だ。しかし、旭岳に近付くにつれてまた道は険しくなり、急斜面の岩場を登ったり鎖があったりとアルペンルートに変わる。そして旭岳目前で休憩した際に、遂に左腕が攣ってしまう。頚椎症のために筋力だけでなく持久力が相当落ちてしまったようだ。腕をマッサージして再び登る。旭岳への崖登り、さらに岩場と鎖場が続き、最後に60段のハシゴが待っていた。途中で何度も左腕をブラブラさせて休みながら苦手なハシゴを登り、ようやく権現岳に到着した。どうやら今の左腕の状態では鎖・ハシゴ・岩場は3時間くらいが限界のようだ。
 先に到着していた2人には申し訳ないのだが、権現岳でゆっくり休ませてもらい、腕を十分にマッサージして出発する。あとは下りの鎖場が少しあるだけで、三ツ頭から天女山へのルートは普通の登山道だ。

    権現岳の長いハシゴ直下、ミヤマシオガマ満開。


    ようやく着いた権現岳。あとは下るだけだが、ここから先がまだ長い。


    権現岳山頂付近に咲いていたミヤマキンバイ


    ミヤマクロユリ群落


    霞む権現岳山頂と神社

 左腕を使わないでいると次第に腕の疲れがとれてきて、ようやく花を探す余裕が出てきた。登山道脇を首を振り振り歩いているとピンクの可愛らしい花、カモメランを発見した。さらに先頭を歩いていたAさんがとんでもないものを発見。ランはランだが、葉緑素を持たない腐生植物のラン、ヒメムヨウラン(姫無葉蘭)だ。初めて見たし、こんな植物がこのルートにあるとは思ってもいなかった。絶滅危惧種にこそ入ってはいないが、出会うことはきわめて困難といって良いだろう。三脚を出して存分に撮影させてもらった。

    カモメラン発見。山の中にも咲くのを知った。


    腐生植物ヒメムヨウラン。もう2度とお目にかかれないかもしれない。

 ひたすら天女山に向って下り、3時ごろに天女山到着。ここから先がまた大変で、八ヶ岳遊歩道は車を止めたところまで7kmほどあり、しかも緩い昇りだ。2人について行けず、またしても先に行ってもらうことにした。ほぼ中間点にある水場のところで2人は待っていてくれ、ここで最も健脚のKさんが先に行って車を回収し、美が森の駐車場まで迎えに来てくれることになった。私はしばし休憩させてもらい、ここで荷物を軽くすべく、カップソバを食べる。

    やっと到着、天女山駐車場。でもここから車まではまだ2時間以上かかる・・・

 遊歩道を歩いて行くと地獄谷へ行く林道に出くわし、この林道を歩いて美が森駐車場に着いた。10分と経たないうちにKさんが車でやって来た。歩けばまだ40~50分はかかるだろう。本当に助かった。
 初めて越えた八ヶ岳キレット、想定以上に大変な行程だった。首を故障して以来、いちばん過酷なコースとなり、現在の状態での限界も見えてきた。イチヨウラン、カモメラン、ヒメムヨウランという稀少種の収穫があったが、自分自身の体の限界がわかってきたことも大きな収穫だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八ヶ岳稀少植物調査(1日目)、県界尾根から赤岳へ 平成23年7月2-3日

2011年07月12日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年7月2-3日

 山梨県山岳連盟では毎年山岳レインジャーと称して山梨県の稀少高山植物の調査を行なっている。私の所属する嶺朋クラブもその活動に参加しており、年3回のレインジャー活動に協力している。今回はその初回活動、もともとは6月11-12日の予定だったのだが悪天候のためにこの日に変更となった。決まったルートの指定は無いのだが、山梨県側のルートという規定がある。そこで今回は県界尾根を登って赤岳山頂小屋に1泊、翌日キレットを越えて権現岳に登り、三つ頭を経て天女山に下山。そこから八ヶ岳遊歩道を歩いて県界尾根の登山道入り口まで戻るというロングコースだ。果たしてこの左腕でこのコースを行けるのか?一抹の不安がよぎるが、それ以上に心配なのは同行する2人の足が速いことだ。おそらくは着いて行けないだろう。
 10時、サンメドウズスキー場の奥にある県界尾根入り口に集合する。既に駐車場はいっぱいで路肩に車を止めて出発する。しばらくは林道のような広い道を歩き、県界尾根の看板のところで右に曲がって尾根の側面を登る。急傾斜を1時間ほど登ると野辺山側の道と合流し、小天狗に到着する。時間は12時、ここまではひとまず順調だった。

    県界尾根登山道入り口


    急斜面を登る


    木の名前は知らないが、秋になるとおいしいグミの実が成るそうだ。


    尾根の分岐。野辺山側の登山道と合流する。

 小天狗で昼食をとり、さらに進む。ところどころ展望の開ける場所があるが、この日の山は雲におおわれて向いに見える真行寺尾根の下部が少し見えるだけだった。尾根の登山道脇にはコイワカガミやミツバオウレン、ゴゼンタチバナ、キバナノコマノツメなどが咲いていた。予想通り、私は2人のペースについて行けず、電話連絡をとりながら2人には先に行ってもらうことにした。小屋の食事は5時か6時ごろ、それまでに到着すれば良いので、私のペースでも十分に間に合うはずだ。

    ところどころ展望が開けるが、この日は雲がかかって山は見えず。


    登山道脇に咲いていたゴゼンタチバナ  4葉と6葉があるようだ。

 標高2,430mの大天狗には13時50分に到着。この頃にはもう2人の姿は全く見当たらない。眺望を期待していたのだが、大天狗の山頂は木が邪魔になってあまり良くなさそうだった。(霧で景色見えなかった。)登山道周辺にはミツバオウレンとコイワカガミの群落が広がっており、白とピンクの絨毯になっていた。

    大天狗山頂  眺望はいまひとつ。


    大天狗のコイワカガミ群落


    大天狗のミツバオウレンとコイワカガミ群落  白とピンクの絨毯。


    ヤマザクラがまだ残っていた。


    霧に霞むダケカンバの森

 この先がこのルートの核心部となる。傾斜がきつくなり、森林限界を超えるとそこには足場の悪い鎖場が待っている。足をかけるところが少なく、鎖にぶら下がるようにして登るのだが、その途中で稀少植物のムシトリスミレを発見。鎖を抱え込みながら体を固定してなんとか撮影、2株見つけた。さらにその上の大岩にはいろいろな花がついていた。コイワカガミ、ミヤマキンバイ、ミヤマダイコンソウ(まだ葉だけ)、イワウメ、ハクサンイチゲ、チシマアマナ、そしてまだ花の咲かないムシトリスミレなど。長野県側と違って歩く人が少ない山梨県側ルートだけあって、手付かずでそのまま咲いているという感じだった。

    鎖場から県界尾根を振り返る。


    鎖場のところで見つけたハクサンチドリ


    希少植物ムシトリスミレ


    大岩のところに咲いていたチシマアマナ

 その先も鎖場が続くが、今度は傾斜が緩いので難無く登れる。左手は痛むには痛むがあまり酷くは無い。そしてようやく赤岳が見渡せる県界尾根上部に出たのは午後4時だった。もう2人は小屋に到着している頃だろう。見上げる赤岳は鋭く切り立っていて、今までに見てきた赤岳とは少し様相が違う。三脚を出して撮影準備をしているとあっという間に雲に巻かれて赤岳は消えてしまった。20分ほど待ったがとうとう姿を現さず、あきらめて山頂小屋目指して再び登り始める。

    鎖場の上部から見上げる赤岳  鋭く尖って格好良い。(あの上が山頂ではない)


    鎖場と赤岳山頂小屋  もう少し、されどまだ遠い。花はイワヒゲ。


    最後の登りの途中から見る横岳と赤岳展望荘


    小屋のすぐ下にあったミヤマシオガマはまだ蕾がついたばかり。モヤモヤした綿毛が可愛らしい。

 途中で電話連絡が入り、夕食は5時半からだという。十分に間に合う時間ではあるが、山頂直下のルートもまた大変な道で、ハシゴと鎖が何本も続く急傾斜の道だった。ひたすら休みながら、明日に疲れを残さないように登り、5時15分、ようやく山頂小屋に到着した。アルペン気分満点の面白いルートだったが、最後の登りはちょっときつい。
 さて、このルートで見つけた目玉の稀少植物は、ひとつは前述のムシトリスミレだが、もうひとつ、イチヨウランを発見した。イチヨウラン自体はおそらくは探せばあるのだろうが、ほとんどが1~2本ポツポツと咲く程度だ。しかし、この株は7本がかたまって咲いていた。こんなにたくさん並んでいるのを見たことがある人はほとんどいないのでは?この日一番の収穫だった。(2日目に続く)

    イチヨウラン(一葉蘭)


    7株も固まって咲いていた。こんなにたくさん咲いているのを見たことがありますか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

霧に咲くアズマシャクナゲ、瑞牆山  平成23年6月18日

2011年06月28日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年6月18日

 7月海の日の連休に北岳に行く予定を立てているが、初心者が多いために2泊、1日目は御池小屋に泊り、2日目で肩の小屋、危険な八本歯のコルと左俣雪渓は避けて右俣回りで行く予定である。今回の瑞牆山はそれに向けてのトレーニングを兼ねている。予定ではもう少し大人数で行くはずだったのだが、都合のつかない人と天候が不順なために行くかどうか微妙だったため、連絡が遅くなってしまい、最終的に私を含めて3人となった。先日の小川山八丁平は今回の下見があるが、この日に登れなかったことを想定して今年のシャクナゲの状況を見ておきたかったこともある。
 6時に甲府市内の職場駐車場に集合し、車で出発。明野の広域農道を通って増富の瑞牆山荘に向うが、1時間半ほどかかり、登山開始は7時50分ごろになってしまう。空はどんより曇り空でいつ降り出すかわからないような空模様だ。にもかかわらず、駐車場には20台以上の車が停まっていた。天気が良ければ駐車できないほどの登山者が訪れていたことだろう。いつものようにスローペースで歩き始め、クリンソウの咲く登山道脇の湿地に立ち寄り、林道に出てからは登山道ではなく林道を歩き、瑞牆山展望台、さらにカモメランを探しながら歩く。今年のカモメランはやはり数が少なく、いつもならば簡単に5~6株見つけられる場所で1株しか見つけることができなかった。富士見平小屋に到着したのは9時少し前、1時間少々で到着できた。

    富士見平小屋とレンゲツツジ

 富士見平から天鳥川(あまとりがわ)へは一旦下りとなり、最後の急下降点のところからシャクナゲが見え始める。このあたりのシャクナゲは時期を若干過ぎていて、花が落ち始めていた。天鳥川のところで休憩していよいよ瑞牆山への急登りとなる。昨年来た時に工事をしており、何を作ったのかと思ったら立派な階段がつけられていた。確かに登り易くはなったが、これが無くても普通に登れるのではないだろうか。

    霧に巻かれるアズマシャクナゲ  天鳥川下降点付近で。


    霧に巻かれる桃太郎岩  このあたりからレンズが結露し始める。


    登山道脇のアズマシャクナゲ  花が大きい。


    同上  こちらの花は色鮮やか。レンズが結露して画像が霞むが、これもまた良し??


    中腹で突然若者に声をかけられた。「ブログやられている方ですよね?」私も有名人になったものだ。

 下部のシャクナゲはもう花が落ち始めていたが、日当たりの悪い林の中は満開のシャクナゲが楽しめた。標高1,800mあたりから上部はちょうど見頃、上品なピンク色や濃い色のシャクナゲが登山道脇や林の中に咲き誇る。ちょっと道を逸れて大ヤスリ岩の根元の部分、ロープが張られたところを越えて行くとそこはコイワカガミの群落になっている。昨年にも増して花がたくさんついていた。

    霧に咲くアズマシャクナゲ  こんな感じの画像を撮ってみたかった。


    満開のアズマシャクナゲ


    登山道脇に咲くキバナノコマノツメ


    大ヤスリ岩あたりの登山道は一部渋滞。でもそんなの関係ねー。登って来られた方々ほとんどに追い抜かれました。


    大ヤスリ岩基部のところのコイワカガミ群落

 上部の岩の下に2年前来た時にクモイコザクラを発見したのでその場所を探すが花が見つからない。これと思わしき岩を見つけたが、その岩の下は雨水が流れた跡で地面がえぐられており、花は消失していた。さらに上部の左側の岩には7~8輪咲いているのが確認できた。まだ残っているようで、安心した。

    岩の隙間に咲いていたクモイコザクラ  望遠レンズを持って行かなかったのでこれが限界。


    山頂裏ルートに咲くシャクナゲ  向こうに見えるのは山頂隣の岩峰。

 さて、山頂直下は正規のロープとハシゴのあるルートのほかに道とは思えないような場所から登る裏ルートがある。もともとはきちんとした道だったのだろうが、入り口が崩落してわからなくなってしまったのだろう。その道にもきちんとしたハシゴが設置されている。山頂の喧騒が嘘のように静かな人が入らないルートだ。シャクナゲがたくさん咲く。

    山頂に無事到着。5時間もかかってますが、その分いろいろ楽しめました。

 ザックを下ろして身軽にしてそのルートを登ると10分ほどで山頂に到着する。午後1時、山頂到着。紅葉の季節と並んでシャクナゲが咲くハイ・シーズンなので山頂はたくさんの人が訪れていた。雨がポツポツと降り出し、記念撮影して早々に撤退、ザックを下ろした場所に戻って一つ向こう側の岩峰の裏側に移動する。これもあまり知る人がいない場所で、そこに行く取り付き口がわからないので知らないと行けない。テントが2~3張できそうな平らで広いスペースがある。雨が降ってきたのでカッパを着用し、岩の陰に隠れてやや遅い昼食となる。時折空が明るくなって隣りの金峰山が見えるが、天気予報ではこらから下り坂だ。眼下の大ヤスリ岩を取り囲むように雲が流れて行く。

    休憩した隣の岩峰から見る山頂と金峰山


    眼下に見える大ヤスリ岩


    雲上に咲くアズマシャクナゲ

 2時10分、下山開始。岩が滑るのでスリップに十分に注意しながら順調に下山。小雨は持続的に降っていたが本降りにはならず、途中で富士見平小屋に立ち寄って休憩させてもらった。新しい管理人さんが着任されたばかりで、小屋の中が整備されてきれいになっていた。休憩料300円かかるが、お茶を出してくれ、瑞牆山や金峰山の山情報をいろいろ聞くことができた。いつかは歩いてみたいと思っている八幡尾根(黒平方面から金峰山山頂のひとつ増富側ピークに至る道無き尾根)のことも大変良く知っていた。小屋主さんと30分以上も話し込んでしまい、最終的に駐車場に到着したのは5時半だった。下界は雨が降っていなかった。

    存分に楽しませていただきました。来年もたくさん咲いてください。

 レポートがすっかり遅くなってしまったが、今年の奥秩父山塊のシャクナゲは当たり年だ。標高の高い金峰山や黒金山あたりでは次週もまだ楽しめるかもしれない。(6月28日記)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アズマシャクナゲ咲く森、小川山八丁平  平成23年6月16日

2011年06月20日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年6月16日

 明け方に皆既月食の赤い月が見られるはずだったこの日、予定では前夜から杓子山にテントを張って富士の裾野に沈む赤い月を見るはずだった。半年前から計画的にこの日は休みをとっていたのだが、あいにくの空模様で月は見えず、杓子山行きは中止した。しかし、折角の休み、何もしないのはもったいない。どんより曇り空だが、夕方まではなんとか天気が持ちそうなので小川山に行く途中の林の中にある秘密の場所、アズマシャクナゲ林を見に行くことにした。
 夜更けまで携帯電話の衛星雲画像と三つ峠富士山ライブカメラ、そして空の様子をにらめっこしていたので、朝起きられるはずもなく、起床したのは7時半。8時過ぎに自宅出発し、瑞牆山荘のところの駐車場から歩き始めたのは10時になってしまう。急いで行くかといったらそういうわけでもなく、この季節に咲くクリンソウを見て道無き道を歩き、さらにカモメランの咲く場所に立ち寄って登るため、そう簡単には目的地に到着しない。カモメランは咲いてはいたが、昨年よりは数が少なく感じた。今回は調査ではないので、群生地の一部を見るに留めたが、5株の花を見つけることができた。

    駐車場からすぐのところに咲いていたササバギンラン


    登山道脇に咲いていたギンリョウソウ


    この季節恒例のクリンソウ この株は紫色で鮮やかだった。


    登山道脇の湿地に咲くクリンソウ


    山の中にひっそり咲くカモメラン

 富士見平を過ぎて瑞牆山と小川山の分岐部のところに行くとシャクナゲが咲いていた。少し時期を過ぎていたが満開のものもある。今年は例年に無く花の付きが良く、当たり年のようだ。

    アズマシャクナゲと瑞牆山

 右側の小川山方向に進むと瑞牆山の展望地があるが、この日は雲に霞んで瑞牆山は不鮮明だった。さらに行くと造林小屋跡地の平坦地に出る。ここはかつてはキバナノコマノツメとシロバナノヘビイチゴが足の踏み場が無いほどにびっしりと咲いていた場所だが、ずいぶんと数が減ってしまい寂しくなってしまっていた。

    造林小屋跡地のキバナノコマノツメとシロバナノヘビイチゴ群落


    小川山八町平 左が大日岩に行く道、右が登って来た富士見平からの道

 小川を渡って進むと川から離れて樹林帯に入り、ほどなく八丁平というツガ林の中の広場に出る。ここで大日岩方面と小川山方面に行く道に分かれる。秘密のシャクナゲ展望地は小川山側に進む。登山道脇にシャクナゲが見え始めるが、そのあたりは花の付きが悪く、今年はダメかとその時は思った。しかし、登山道を登って行くと左側のシャクナゲ林にピンク色の鮮やかな花がたくさん見え出した。満開直前、まだ新鮮な花ばかりで観賞するには絶好の時期だった。薮に分け入って良さそうな場所を探して撮影する。

    登山道を覆うシャクナゲの木  このあたりの花付きは悪かった。


    登山道脇の斜面に咲いたアズマシャクナゲ  今年は色が濃くて花が大きく、数も多い。


    シャクナゲの藪  見渡す限りシャクナゲだらけ。

 さらに登って秘密の展望地に到着すると、そこはアズマシャクナゲの花園。ピンク色の絨毯が広がっているかのようだった。いつもよりも色の濃い、上品なピンク色の花がたくさん咲いていた。今年は明らかに当たり年、3度訪れた中で今年がいちばん良い。予定では大日岩を回って富士見平に戻るはずだったが、ここで完全に足が止まった。2時間近くもこのシャクナゲ林を堪能し、時間は3時を過ぎてしまう。雲行きも怪しくなり始め、大日岩は止めて来た道を戻って下山した。午後5時半、駐車場到着。車に乗って運転し始めるとすぐに雨がパラパラと降り出し、甲府に到着した頃にはもうすっかり本降りになっていた。

    秘密の展望地から見るシャクナゲの森 (15mm diagonal fisheye)


    奥秩父の森、アズマシャクナゲ林


    アズマシャクナゲ咲く森


    同上  向こうに微かに見えているのは瑞牆山


    アズマシャクナゲ 今年は色が良い。是非行くべし!

 今年の奥秩父山塊はアズマシャクナゲ当たり年である。6月いっぱいがちょうど見頃、是非行かれてみることをお奨めする。(この後、6月19日は瑞牆山に行きました。山頂は7~8分咲き、まだ十分楽しめます。)
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初心者を連れて春の乾徳山へ 平成23年5月14日

2011年05月20日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年5月14日

 山頂直下に長い鎖場が2ヶ所ある乾徳山。登って良し、景色良し、山に登ったという満足感の得られる楽しい山である。しかし、初心者にとっては傾斜の厳しい頂上直下の鎖場はちょっと難しく、滑落して大怪我をした人や、また命を落とした人もいる。今回のメンバーは登山歴数ヶ月が2名、高校時代の山岳部が1名と私の4人構成。しかし3人とも乾徳山は初めてで、鎖場の経験もほとんど無い。そこで念のためザイルを準備して、滑落しない程度に補助しながら登ることにした。
 6時半甲府市内の職場前駐車場集合。一人は山梨市なので途中で拾い、車2台で乾徳山に向う。1台は大平牧場に止め(ちなみに1日800円の駐車料金がかかります)折り返して徳和の登山口に移動してそちらから登りはじめる。ルート的には大平牧場のほうが楽だが、乾徳山を存分に楽しむには水場が2ヶ所ある徳和のルートのほうが面白い。歩き始めるまでの準備に時間がかかり、乾徳山登山道の入り口に着いたのは9時になってしまった。

    徳和の乾徳山登山口 車でも行けるが悪路、かつ駐車場がこの辺りにはない。15分ほど手前の駐車スペースから歩くのが無難。

 既にたくさんの人が登って行った。登山道入り口でも7~8人の人たちが登り始めるところだった。足の遅い私たちのグループは後ろから来た人たちに皆追い抜いて先に行ってもらい、鎖場での渋滞を避けるように午後1時過ぎの山頂到着を目指す。銀晶水、錦晶水の水場や、登山道沿いに咲いているマムシグサ、タチツボスミレ、ニリンソウなどの花を楽しみつつ、12時20分、国師ヶ原の月見岩に到着した。春霞に霞んだ富士山が甲府盆地の向こう、御坂山塊の上に立つ。昼食の時間だが、ここはおやつに留めて、山頂まで楽しみはとっておく。さて、ここから先が核心部だ。

    銀晶水の水場に咲いていたニリンソウ


    国師ヶ原から見上げる乾徳山


    月見岩 休憩に適しており、富士山の眺望が良い。


    月見岩から見る富士山

 通常ならば1時間少々で山頂だが、ザイルを出して補助するために相当な時間がかかる。都合良く、ほとんどの人はもう下山して行ったので、鎖場で渋滞することは無さそうだ。道は険しさを増し、岩場を登るようになる。高度感のある足場を越えていよいよ1ヶ所目の鎖場となる。ここの鎖場は2段になっていて、1段目は傾斜が緩く難無く登れるが、2本目の鎖はぶら下がるようにしないと難しい。私が先に登ってザイルを固定、さらに自分の体をシュリンゲとザイルで鎖の支柱に固定し、補助しながら3人に登ってもらう。この補助はあくまでも滑落防止のもので、間違って鎖から落ちたとしても1~2mの落下で済むように補助するだけのものである。従ってザイルで引き上げるのではなく、あくまでも自力で登ってもらうことになる。山岳部だった1人は最初だけ補助したがあとは補助無しで登ってもらった。他の2人は恐いと言いつつも無事に鎖場を越えて2本目の鎖場に向う。

    岩場を登る。これから核心部の鎖場。


    乾徳山山頂直下の鎖場。初めて見ると、これを登るのか、と思ってしまう。

 山頂直下の最後の鎖は下から見上げると垂直に近い1枚岩を登って行くように見える。左腕に不安がある私は巻き道を使うかどうか迷ったが、左手でぶら下がってみて大丈夫そうだったので登ってみたが、全く問題なかった。ここも2段階でザイルを使用、最初の平面の岩は少しばかり補助ザイルに力を加えて引き上げたが、2本目は足場があるので普通に登り、ようやく山頂に到着した。時間は2時半、月見岩から2時間近くかかったことになる。しかし、何事も無く無事に山頂まで到着できて何よりだった。
 見渡せば先ほどの月見岩よりも遥か上から甲府盆地を望み、富士山も大きく見える。裏側には金峰山五丈岩の針のような突出、国師ヶ岳、甲武信ヶ岳、そして雲取山、大菩薩連山と、360度の大パノラマだ。3人とも大いに満足してくれたようだ。

    山頂到着、バンザイ!


    乾徳山山頂から見る富士山 夜景を撮るならやはりここだ。ただ、テントは張れなそう。
 
 昼食をとり、3時過ぎ、下りるのがもったいなかったが、下山にとりかかる。今度はハシゴのある巻き道を下りるが、こちらも急傾斜で結構恐い。下の鎖場は上の段だけザイル補助した。山頂でお会いしたご夫婦の、奥様のほうは山にあまり慣れていないようだったので、同様にザイル補助して下ろした。あとは大平牧場に向ってひたすら下る。月見岩の先の道満尾根は以前に歩いた時よりも歩きやすくなっているような気がした。午後5時40分、大平牧場の乾徳山登山口に到着、6時駐車場に無事到着した。

    鎖場の下り。ザイル補助で登っているところを撮ってあげたかったが、こちらもそんな余裕なかった。


    ハイ、ポーズ。余裕です。


    林道の道満尾根徳和方面への分岐点。夕暮れ迫り、影が長く伸びる。


    大平牧場の登山口に無事到着。

 5年ほど前だろうか、初めてこの山に来た時に山頂直下にピンク色の可愛らしい花が咲いていた。後に調べたらクモイコザクラだった。この花がまだあるのか確かめたかったのだが、今年は花の時期が遅れていて、さらに季節が早かったこともあり、まだ葉さえ出ていなかった。国師ヶ原で見つけたノジスミレやアケボノスミレにも出会えずちょっと残念だった。収穫だったのは、この左腕でもなんとか人を補助して登るくらいはできそうだということだ。全快は困難な頚椎症による左腕のしびれと痛み、これとつきあうために、以前にも増してルートを考え、登り方を考え、体力と技術を考慮し、よりいっそう頭を使って登るようになった。山に登り始めた頃の新鮮な気持ちに戻って、また新たに山に取り組んでいる。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅漢寺山から旧道を経て千娥滝へ(後編)

2011年05月17日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年5月8日

 昇仙峡の奥にある開墾地、千田集落から太刀の抜き岩、白山展望台、白砂山に立ち寄りながら4時間ほどかけて羅漢寺山弥三郎岳に12時半到着した。山頂直下で咲き始めたトウゴクミツバツツジを存分に撮影後、午後1時15分、下山開始する。弥三郎岳の直下に「非常に危険 注意」と書かれた看板が目に留まるが、通行禁止とは書かれていないので通れない道ではないのだろう。しかし、ここで滑落事故があったことも知っている。左腕の調子はまずまず、ならば・・・行ってみることにした。

    羅漢寺山山頂付近に咲いていたツツジと茅ヶ岳・曲岳・黒富士連山


    山頂直下から分かれるこの道を行く。
 最初は普通の登山道。展望台のような場所から下を見下ろすと、昇仙峡の集落が直下に見える急傾斜の斜面だ。道はここで左に曲がり、急斜面の尾根を下るようになる。尾根取り付きの手前に木で×印にゲートが設けられていて、通行禁止ということなのかもしれない。真新しい足跡が一つか二つあり、最近この道を歩いた人がいることを伺わせる。急勾配の尾根を下り始めるとすぐに壊れかけたハシゴがあり、これを通過して15分ほど下ると大きな岩に突き当たった。ここで道は2方向に分かれているように見えた。左の道をのぞいてみると、ほんの数メートル行っただけで道は崖のようになった樹林帯の中に消えていた。右の道に行くと、真直ぐ進もうとするととても道とは思えないような急下りの斜面に続いていて、下りられそうも無い。その先を良く探してみると、一段昇って先ほどの大きな岩の裏側を巻くようにしてほぼ直角に道が曲がり、左方向に道が続いているのを発見した。おそらく滑落はここでルートを見失うために起こるのではないだろうか。

    展望台のような場所から見下ろす昇仙峡の建物。崖から見下ろすように見える。


    壊れかけたハシゴが2本


    大きな岩に突き当たる。ここはルートがわかりにくい。


    こんなところにカイイワカガミ。たくさんあった。

 そちらの方向に進むと、再び道は明瞭となり、相変わらずの急下りが続く。大きな岩から30分ほど下ったところで今度は完全に壊れて両脇の木だけが残ったハシゴに出くわした。ここは横の岩につかまって下りる。直下には昇仙峡の売店の屋根が見える。そこから10分ほど行くと大きな岩にワイヤーが取り付けられており、これは昇仙峡の川にかかる影絵の森美術館の吊り橋を支えているワイヤーだった。駐車場が直下に見えるのだが、そこからの下山道がわからない。最後の10mほどの壁が下りられないのだ。そのまま進むとトンネルがあり、そこから下りられるかと思ったがその先は急傾斜の崖だ。戻って良く見ると、斜めに傾いたフェンスの横に黄色いテープがついているのが見えた。まさかこのフェンスの横を通過するのか・・・と思いながら、フェンスを押しのけながら下りて行くと、その下の別のフェンスにまた黄色いテープがついている。昇仙峡を散策しているたくさんの人の目が気になったが、このフェンスにしがみついて道に下りることができた。時間にして約1時間の行程だった。

    変わった形の岩。何かの石碑かと思ったがただの岩だった。


    だんだんと昇仙峡の建物が近付いてくるが、相変わらずの急傾斜。


    壊れたハシゴを振り返る。ハシゴとしては機能しておらず、左側の岩につかまって降りる。


    岩に固定されたワイヤーロープ。影絵の森美術館の前にかかる橋を支えるもの。


    下山口わからず。先に進むとトンネルがあった。が・・・


    トンネルの先を降りるのは難しそう。

 本当にここが登山口なのか?こんなところでは知らなければ絶対に取り付けない。他の入り口は無いのか、道路沿いを探したがそれらしいものは見つからなかった。影絵の森美術館の橋のところで監視をしている地元の方がいたので、旧道の登山口はあそこなのかと聞いてみたところ、まさにそこが登山口で他には無いという。悪路なのでここからは入山しないようにという配慮なのだろう。

    出たのはこんな看板の裏側のフェンス。黄色いテープがつけられている。


    この看板の裏が登山道入り口。知らなければここからは入山できない。


    千娥滝 面白かったです。羅漢寺山。低山とて侮るなかれ!

 羅漢寺山はルートが整備されたハイキングコースと言って良い低山ではあるが、中・上級者向けの面白い道もあるのだ。羅漢寺山の面白さを存分に楽しんだ1日だった。


    今回歩いたルート(右回り)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花咲く武田の杜、湯村山から白山を経て興因寺山へ(後編)

2011年05月03日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年4月24日

 朝から晴天のこの日、前日の雨のおかげで春霞が飛び、富士山がくっきりと見える。緑ヶ丘運動公園から湯村山、白山を経て千代田湖の脇を走る県道に至り、この県道を甲府市街方向に歩いて和田峠中腹にある武田の杜遊歩道に到着した。時間は11時少し前。この遊歩道周辺がまた花の宝庫なのだ。

    ジュウニヒトエ この武田の杜遊歩道沿いにたくさん咲く。


    イチリンソウ ずいぶん数が減ってしまっている。他の場所に咲いているのも発見。


    ヤマザクラは満開。向こうに見えるのが白山の山塊


    ホタルカズラ 以前は数輪しか見つけられなかったが、その気で探すとたくさんあった。


    ヒトリシズカ これもたくさんあるが、時期的にやや遅い。


    キンポウゲ(だと思う) 数輪道端にひっそり咲いていた。


    花の名前不明。1箇所だけ群落になってたくさん咲いていた。

 遊歩道を15分ほど歩くと左側にやや大きな白い花の群落が目に付く。イチリンソウ群落だ。踏まれないように群落境界部には石の囲いが目印として敷かれている。初めてこの群落を見た3年前に比べると群落は小さくなり、花の咲き方も半分以下になってしまっていた。盗掘とは思えないが、このまま消滅してしまわないことを祈る。さらにこのあたりから道端にジュウニヒトエの花がこれでもかというくらい目に付くようになる。名前が凄いが、花もそれに負けないあでやかな花弁を何重にもつける、面白い花だ。さらにヒトリシズカ、ホタルカズラ、フデリンドウ、イカリソウなど、たくさんの花が咲く。アカネスミレもあったはずなのだが、今回は見つけることができなかった。

    金子峠分岐のところで羽化したばかりのオオミズアオに出会った。


    金子峠分岐の道標

 12時20分、金子峠分岐部に到着。ここで大休憩し、昼食をとる。ふと見れば羽化したばかりの緑色の蝶、ではなくてオオミズアオという大型の蛾が道の傍らにぶら下がっていた。まだ翅が十分に開ききっていないようで、飛び立つこともなく私たちが食事している傍らでじっと木の枝に止まっていた。

    金子峠 この上に弥勒館という建物がある。


    淡雪山への登りは少しだけ岩になっているが、容易に通過できる。


    淡雪山で記念撮影

 さて、ここからまたやや急な登りとなる。金子峠への道は一部崩落していて巻き道になっているが、良く踏まれていて迷うことは無い。峠に着くと弥勒館という宗教団体の建物があるが、この前を通り過ぎてすぐ上の淡雪山まで登り、ここで休憩をとる。淡雪という名の如く、花崗岩とその風化した白砂でできたこの山は白い雪を抱いているかのように見える。

    淡雪山の先の稜線は甲府盆地と富士山を見る絶景地。下に見える池は武田神社の北側にある竜華池(りゅうがいけ)。

 ここから先は、かつて通の人しか歩かない薮ルートだったのだが、最近ルートが整備されて草や木が刈り払われ、すっかり普通の登山道と変わらなくなってしまっている。淡雪山から15分ほど登ったあたりの稜線は、甲府盆地の町並みが一望でき、左側の愛宕山の上に富士山が見える絶景地である。夜景はさぞかし綺麗だろうと思う。いずれは夜に訪れてみたい。

    興因寺山山頂 大きな送電線鉄塔が立つ。眺望はあまり無い。

 コブを2つ3つ越えると送電線鉄塔の立つ興因寺山山頂が眼前に迫る。切り払われた明瞭な道だが、眺望はあまり得られない。そして興因寺山山頂到着、時間は午後3時25分。歩いてきた稜線を振り返ると遥か向こうに小さく千代田湖が見える。ずいぶんと遠くまで歩いてきた気がする。

    興因寺山から積翠寺農道に下りる途中にあった熊棚。我が家の裏山には熊が住んでいる。


    農道脇の広場に止めた車に到着。左上には富士山がちらり。

 興因寺山からは南側の広い尾根を真直ぐに下りる。途中の木の上にゴミが乗っているのかと思いきや、良く見ればこれは熊棚。しかも3つもある。木の上で熊が枝を折って座を造り、栗の実を食べた跡だ。しかも私の住む積翠寺のすぐ裏山、1時間ほどで到着できる場所だ。餌のある年は良いだろうが不作の時は里まで下りてくるかもしれない。かつて要害山で熊の目撃情報があり、しばらく閉鎖になったルートがあったが、この山域一帯はどこで熊に出会ってもおかしくない場所ということなのだろう。午後4時半、予め車を停めておいた林道脇の広場に無事到着した。
 山歩きの後は恒例のカッパ寿司。せっかく歩いて減らした体重もこれでまた元にもどってしまう。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花咲く武田の杜、湯村山から白山を経て興因寺山へ(前編)

2011年04月26日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年4月24日

 数日前に下見をしておいた八王子山(白山)界隈のヤマザクラは見頃を迎えている。春爛漫のこの季節、甲府市北部の低山は新緑に包まれて花が咲き、散策するには最高のシーズンを迎える。毎年恒例のように歩いているこのあたりの山だが、今回は昨年と逆のコース、湯村山から興因寺山までを歩いてみた。当院職員とその知人2名を誘い、計5名で出かけた。下山予定の積翠寺西側林道に予め車を止めておき、緑ヶ丘運動公園から出発した。
 7時45分出発。湯村山はアスファルトの道が山頂付近まで整備されていて、散歩する地元の人たちやトレイルランニングの人たちが走っているコースだが、ここはこのアスファルトの道を避けて、南東側の送電線の立つ尾根を直登する。送電線の監視用ルートと思われるが、道らしきものはしっかりとついている。30分ほどで湯村山山頂に到着する。柔らかな新緑の向こうに、春にしては珍しいすっきりとした富士山が立っていた。

    湯村山から見る春富士


    ヤマツツジと烽火台


    新緑の武田の杜を歩く


    ヤマザクラ咲く春の杜

 武田の杜遊歩道に入り、白山を目指す。新緑の中に咲くヤマザクラが満開でまさに春爛漫。足元を見ればタチツボスミレやニオイタチツボスミレ、センボンヤリ、タンポポなど、春の花が咲いている。途中の小ピークは左に巻き道があるのだが、ここは草の生えるやや急な斜面を直登する。以前来た時、この斜面にアケボノスミレがたくさん咲いていた記憶がある。草を踏まないように花を探しながら歩くが、アケボノは1株だけしか見つからず、その代わりに花が開いたばかりの可愛らしいフデリンドウの花を見つけた。食べごろのワラビも数本だが出ていた。

    途中の小ピークを、花を探しながら直登


    見つけたのは咲いたばかりの可愛らしいフデリンドウの花


    春爛漫、ヤマザクラ咲く杜と南アルプス


    ヤマザクラ彩る

 白山直下の西側斜面はヤマザクラがたくさんあり、柔らかで上品な白い色が新緑の淡い緑に溶け込んで、春の臭い満点の景色を見ることができた。ルートを少し外れて岩の上に乗ると、歩いてきた湯村山の稜線の向こうに甲府盆地が広がり、その向こうに富士山が立つ絶景を楽しむことができる。天気も良く、この山域を歩くには最高の日になった。

    白山手前のピークから見る甲府盆地と富士山


    白山から見る南アルプス


    白山の千代田湖側展望台から見る八ヶ岳と茅ヶ岳


    同上、南アルプス

 八王子神社を越えて千代田湖側に行くと、白いイワカガミが咲いている。これはこのあたりの特産種カイイワカガミだ。この花を見るために千代田湖から散策に訪れる人も多い。以前に比べると花の数が減って花の着き方も少なくなったような印象を受けた。しかし県道に近い北側の遊歩道に行ってみると、そちら側では大株のカイイワカガミを見ることができた。探していたアケボノスミレも咲いていた。

    アケボノスミレ  この日に見たかった花のひとつ。


    カイイワカガミ  これは比較的大きな株。

 さて、ここから一旦県道に下りて甲府市街側に20分ほど下り、武田の杜遊歩道に入って金子峠(きんすとうげ)に登りなおし、淡雪山、興因寺山を目指す。千代田湖のほとりからアスファルトの道をユースホステル目指して歩き、その先にある金子峠に行ったほうがコースとしては楽なのだが、あえて武田の杜遊歩道を歩くのは理由がある。(後編に続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

金ヶ岳一夜(2日目)

2011年04月11日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年3月26-27日

 金ヶ岳の夜は予想以上に寒かった。冬型の気圧配置になったこの日は前年の1月に泊った時よりもずっと寒く感じた。温度計は持って行かなかったが、おそらくは-10℃くらいになったのではないだろうか。フリース、ダウン、そしてオーバージャケットを着込んでシュラフに潜ったにもかかわらず、寒くて2時間ほどで目が覚めてしまう。止む無くバーナーを焚きながら横になっていると、そのまま眠ってしまい、気がつけば起床予定の午前3時半だ。バーナーに触れなかったから良かったものの、一歩間違えばテントが火事になっていたかもしれない。気をつけなければ。

    甲府盆地に昇る月 15mm diagonal fisheye


    同上 月の右側にうっすらと天の川が見える。その右の星座がさそり座。

 テントの外に出ると月が昇り始めていた。さそり座の尻尾のあたりに昇る月で、天の川が流れているあたりになるのだが、この日の月は明るすぎて天の川は見えない。写真に撮ってみると、少しだけ天の川が写っていた。富士山と茅ヶ岳を並べてこの月を撮影したかったので、300mほど下った崩落地点に移動して三脚を構える。山の上から見る甲府盆地の明かりは本当にきれいだ。

    薄明の甲府盆地に昇る月


    茅ヶ岳、富士、そして月

 やがて水平線がオレンジ色に染まり始め、空が明るみ始める。瑠璃色に染まる空、そこに輝く月、今回見たかった景色が広がる。ふと後ろを見ると八ヶ岳の空にEarth shadowが出ている。もっと鮮やかだったのは南アルプスだが、残念ながらこの位置からだと木が邪魔になって山がうまく見えない。そして、白い山々に朝日が射し始め、日の出を迎える。風が止んで穏やかな朝になった。

    八ヶ岳とEarth shadow


    夜明けの南アルプス


    朝日射す八ヶ岳


    朝の茅ヶ岳と富士


    茅ヶ岳の上に立つ朝富士(金ヶ岳北峰山頂から)


    朝の南アルプス(金ヶ岳北峰から)


    茅ヶ岳の左に立つ富士(金ヶ岳南峰中腹から)

 テントに戻って朝食後、テント撤収して茅ヶ岳に向う。腕の調子次第ではそのまま下山と思っていたのだが、朝起きた時点ではほとんど左腕の症状がない。これならば距離が長くなるが茅ヶ岳から千本桜ルートで下山しても大丈夫という判断で、茅ヶ岳の標柱を見て行くことにした。8時金ヶ岳北峰を出発、雪があるので軽アイゼンを装着したが、必要だったのは金ヶ岳北峰と南峰の間だけでその他はほとんど土が露出しており、アイゼン無しでも歩けた。9時20分茅ヶ岳山頂到着。ツインタワーは元気に立っていた。持ってきたラッカースプレーを噴霧して標柱整備を行なう。10時ごろまで山頂でのんびりしていたが、この日は誰も登ってこなかった。

    茅ヶ岳と金ヶ岳の間にあるトンネル岩


    茅ヶ岳ツインタワーと金峰山

 千本桜ルートは、最初は急下りだがやがてなだらかな尾根道になる。3つ4つ小コブを越えると再び急下りとなり、下り切ると千本桜公園に到着する。道はしっかりしていて歩きやすいのだが、深田公園側のルートに比べると距離が長い。11時25分、千本桜公園到着。ルート中間点あたりで左手の筋力が尽きて腕が萎えてしまった。左腕は筋力だけでなく、持久力も相当衰えているようだ。公園から駐車場まではすぐだろうと思っていたが甘かったようで、林道は谷間を大きく回りこんでいて、50分ほど歩いてようやく到着した。12時半、無事下山。

    茅ヶ岳から見る南アルプス


    金ヶ岳と八ヶ岳


    茅ヶ岳から見る富士山

 昨年秋以来、行こうと思いつつも何度も断念していた金ヶ岳1泊山行、ようやく行くことができた。テント泊などしなくても登るだけなら簡単に行ける山だが、甲府盆地の夜景、カノープス、月、そしてさそり座と天の川など、この山は夜の魅力満載の山だ。空気の澄んだ日に、今度は肉眼で甲府盆地の上に輝くカノープス、そして空を横切る天の川を眺めてみたいものだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テスト4:加重負荷 月と星の金ヶ岳一夜 

2011年04月02日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年3月26-27日

 萎縮した左腕の筋力はまだ全く戻った気がしない。夕方になると相変わらず左手を締め付けられるような痛みが襲ってくるものの、頻度も持続時間も酷かった1月に比べると格段に良くなった。この状態でテント泊の装備を背負って山に登れるのだろうか?茅ヶ岳の向こうにある金ヶ岳は眺望が良く、昨年1月にも一度山頂に泊っているがもう一度行きたいと思いつつも、悪天候や今回の頚椎症の影響などで計画しつつも行けなかった山だ。北杜市明野にあるふれあいの村から登ると2時間半~3時間くらいで行ける手頃な山になる。加重負荷テストを兼ねて、残雪の雪山フル装備、約17kgの荷物を背負って金ヶ岳に行った。
 行き慣れた山なので夜でも歩ける。どうせ写真撮影はほとんど夜なので、山頂6時到着の予定で明野ふれあいの村を午後3時に出発した。昨年10月の笊ヶ岳以来約半年ぶりのテント装備荷物だが、意外と重さは感じない。左手の調子も良さそうだ。最初はなだらかな登りだが、ところどころ急斜面あり、最後の登りは岩の混じる急傾斜となる。中腹過ぎたあたりで左腕のしびれ、というよりも筋性疲労といったほうが良いかもしれないが、だるくなってきた。しかし、斜面を登るには大きな支障はない。

    ふれあいの里側の金ヶ岳登山道から、いざ、出陣。約半年ぶりのテント山行。


    山頂の下300mの崩落地。八ヶ岳の眺望が良いが、この時間は大きな雲がかかる。


    茅ヶ岳と並ぶ夕暮れ富士  ここで日没を迎える。

 5時半、山頂まで300mのところの崩落地に到着。ここは富士山側と八ヶ岳側の眺望が抜群で、茅ヶ岳の右側に並ぶ富士山を見ることができる。もうすぐ陽が沈むが、山頂まで行かずにここで日没を迎えることにした。この日は冬型の気圧配置で強風吹き荒れる日だったが、低気圧が過ぎ去った後の夕方か夜には高気圧が張り出して風が止み、空が晴れてくる予想だ。心なしか風が収まり始め、富士山にかかっていた雲も晴れてきた。6時までここで待ち、富士山の残照が消えたところで山頂に登った。

    甲府盆地の夕暮れと茅ヶ岳  金ヶ岳北峰から。


    夕暮れの甲府盆地。低空にカノープスが輝いているはずだが、肉眼では確認できず。


    上の拡大図。低空の明るいオレンジ色の星がカノープス。一目見れば長生きできると言われている。

 6時20分、金ヶ岳山頂到着。町明かりが灯っている。素晴らしい甲府盆地の夜景だ。空にはおおいぬ座シリウスが輝き、夕暮れとともにその輝きが増して行く。ちょうど南中している冬の大三角形、その真下にはあのカノープスがあるはずだが・・・甲府盆地の町明かりに消えて肉眼では確認できない。一応写真に撮っておき、後にパソコンで確認すると、やはりカノープスが写っていた。この山からも条件さえ良ければ肉眼でカノープスを見ることができるのだ。7時過ぎまで夜景と星空を楽しみ、テント設営して夕食をとる。

    金峰山とうしかい座アルクトゥールス

 9時過ぎ、外に出てみると予想通り風が止み、星空が見えている。そろそろオリオン座が南アルプスに沈む頃だ。その前に金ヶ岳南峰からの甲府の夜景と金峰山が見たい。南峰からは角度が変わり、今度は富士山が茅ヶ岳の左手に見えるようになるのだ。10cmほどの雪が残る北峰と南峰の間を三脚担いで木の根っこにつかまりながら慎重に通過し、南峰頂上に立つ。甲府盆地の夜景がきれいだが、富士山は山頂が雲で隠れているようだ。金峰山は大丈夫のように見えたが、後にパソコンで見るとやはり山頂は雲がかかっていた。春の大三角形を撮ろうと思っていたのだが時間が遅く、また両側の木が邪魔して画角的にも難しそうだ。

    南アルプスに傾くオリオン座と冬の大三角形  北峰と南峰のコルから撮影。プロソフトンAフィルターを使用。


    こちらはフィルターを使用していない画像。星は小さいが山はきれいに映る。ハーフプロソフトンフィルターなるものがあれば良いのだが、残念ながら無い。

 オリオン座が南アルプスに傾いており、一角にある一等星リゲルが甲斐駒ケ岳に沈む直前で北峰に戻った。今回撮りたかった画像のひとつが、この南アルプスに沈むオリオン座と冬の大三角形だ。最近使っているプロソフトンという拡散フィルターを使ってみるが、星が大きく写るのは良いものの、山がボケてしまうのがどうにも気に入らない。もう一工夫必要なようだ。

    南アルプスに沈むオリオン座と冬の大三角形  金ヶ岳北峰から。


    北峰に設営したテントと星空。フライシートを持って行かなかったら、想定外に寒かった。

 電池3個持ってきたが、既に2個を使い切り残りは1個のみ。夜明けのために温存し、テントに戻って10時半、シュラフにもぐり込んで寝る。久しぶりの山の上は思った以上に寒かった。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元日に昇る月と金星 茅ヶ岳 そして病との闘い

2011年01月24日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成23年1月1日

 本来ならば年末から入山して山上で元日を迎えるはずだった。予定していたのは茅ヶ岳の向こう、金ヶ岳山頂。準備をして明野の近くまでは車で行ったものの、昨年11月ごろからひどく患っている左手のしびれと痛み・・・テント装備のザックを担いで登る自信無く、途中で引き返してきた。
 何年ぶりか、自宅で紅白歌合戦を見て年を明かし、新年を迎えた未明1時、自宅を出発してホームグラウンドの茅ヶ岳に向う。初日の出くらいは山の上から拝みたい。林道を短絡するつもりだったが、大明神林道は冬季閉鎖となっていたため、深田公園駐車場に車を止めて未明2時半から歩き始める。4~5台車が停まっているが中に人がいる様子は無く、山に登っているのだろうか?登山道に積もった薄雪の上にも新しい足跡が残っている。荷物をできるだけ軽くし、バーナーも置いて行くが、三脚とカメラだけは置いて行けない。暗闇の中をヘッドライト点灯して、左腕をかばいつつ、黙々と歩いて5時15分ごろ山頂に到着した。

    新春に昇る月と金星


    金ヶ岳と八ヶ岳  空に輝く星はぎょしゃ座のカペラ

 オリオン座はもう西の空に沈んだ後だったが、東の空にはひときわ明るい金星とその下に二十六夜の細い月が昇ってきていた。近くにはさそり座のアンタレスも見える。月例を計算せずに登って来ただけに、この景色は山の神様からの新年の贈り物のように思えた。山頂にはテントが3張、まだ暗いのに既に起きている人もいた。強風、かつ寒い朝、自分のあてにならない温度計を見ると、気温-18℃。そこまではないだろうが、氷点下10℃はありそうだ。寒さしのぎに三脚を担いで山の上を右往左往して日の出を待つ。その前に朝食を取ろうと思ったら、朝食まで車の中に置いてきてしまった。止む無し、非常用のチョコレートとお菓子で凌ぐ。

    雪の茅ヶ岳山頂とテント  3張あった。テントから顔を出した人の明かりがちょうど標柱を照らした。


    茅ヶ岳twin tower 健在。ラッカースプレーを持って行ったが、気温低くうまく気化せず。


    二十六夜(二十五夜?)の細い月


    金ヶ岳と八ヶ岳とEarth shadowの空  ご存知ですか?Earth shadowとは水平線に映る地球の影。


    金峰山と朝焼けの空

 やがて水平線がオレンジ色に染まり出し、空が明るんで行く。何度見ても山上で迎える朝は美しい。そして新春の日の出。テント泊の人たち、そして私の後から登って来た人たちを含めて、茅ヶ岳山頂で7~8人の人たちが初日の出を拝んだ。何を願うわけでも、何を誓うわけでもない今年の初日の出。ただ心配なのはこの左腕がこの先どうなるのか?

    新春の日の出


    朝日射す金ヶ岳


    朝の南アルプス


    初日の出

 日の出を見て速攻で下山する。寒いこと、そしてお腹が空いたこと。夜が明けて改めて登山道を見ると結構な雪が積もっている。アイゼンを使うほどではないが、スリップに注意しながら下山した。

    今年もよろしくお願いします。

 さて、この左腕、症状が始まったのはもう一昨年の10月ごろからだろうか。最初は左前腕と手の軽いしびれ程度だった。槍ヶ岳に重い荷物を背負って出かけたので、そのためかと思っていたが、休んでも改善せず、さほど気になるものでもなかったので放置していた。昨年10月ごろからしびれがひどくなり、左腕全体に広がったがそれでもテントを担いで笊ヶ岳には行けた。11月に入ってから痛みが強くなり、そして遂に腕の筋肉の痙攣、さらに大胸筋と広背筋の痙攣が始まった。これは病変が知覚神経だけでなく運動神経にまで及んできたということだ。整形外科にかからざるを得ない状況となり、受診した結果、頚椎症と胸郭出口症候群の合併したものと診断された。現在内服治療のほかに週2回の理学療法と首の牽引、それと頚部安静のため首に装具を巻くことになった。1月に入ってから左腕の筋肉の萎縮が目立つようになってきている。午前中はまだ良いが、夕方になると強烈な左腕の痛みが波を打つように押し寄せる。治療で若干は回復してはいるものの、軽快にはほど遠い状態である。そういうわけで、ブログファンの皆様には申し訳ないが、当面はご期待に沿えるような画像が提供できないことをご承知いただきたいと思う。療養して必ず復活します!
コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ツインタワーを見に行こう!職員を連れて茅ヶ岳へ 

2010年11月02日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成22年10月17日 天候曇り時々晴れ

 茅ヶ岳のツインタワーを再建した後、お手伝いいただいた末木さんがいろいろと標柱保護のために手配してくださり、登山口に「もう標柱を壊さないで」という看板を立ててくれたり、補強の金具を打ち込んでくれたりと、多大な協力をいただいている。ここまでやられると、犯人もそう簡単には今度の標柱には手が出せないだろう。心配しているのは初代の標柱で、探し当てた時からもうだいぶ朽ちてしまってボロボロになっていた。さらに腐って崩れ落ちてしまうかもしれないので、定期的にニスを塗ったりボンドで固めたりという管理が必要だ。今回当院の職員希望者と、職員の娘さん(5歳の女の子)を連れて標柱整備を兼ねて茅ヶ岳に登った。中腹の急斜面と上部の岩場は5歳の子供には難しいかもしれないので、補助ザイルを準備して行く。

    5歳の女の子を含めて総勢6人で出かける。


    女岩の水場で休憩

 集まったのは私を含めて総勢6人、1人は高校時代に山岳部所属していたが、そのほかは全くの初心者だ。林道まで車を乗り入れて深田公園からのコースを40分ほど短絡して出発、とにかく疲れないようにいつもに増してゆっくりと歩く。通常2時間少々のコースを3時間半かけて登ろうというプランだ。女岩水場まで3回の休憩を交えつつ1時間20分で到着。問題はこの先の急斜面と稜線に取り付いてからの岩混じりの道だ。ひとまず補助ザイルを準備するが、深田久弥慰霊碑の場所まではザイル補助無しに手を引いただけでほとんど自力で女の子は登って来た。その先の岩場は少しばかり歩幅が足りない場所があり、ザイルで補助して下からも押し上げてもらって越え、11時半、予定通りの3時間半で無事茅ヶ岳山頂に到着した。

    山頂直下で振り返って見る富士山


    全員無事到着。ランチタイム。

 振り返れば雲の中に富士山が立っていた。南アルプスも、八ヶ岳も、金峰山も霞んではいるがなんとか見える。みんな満足の様子だった。ゆっくり昼食をとった後標柱整備をはじめる。末木さんが大変良く管理してくれていて、標柱基部には石が積まれ、裏には新聞記事の切り抜きコピーと標柱を壊さないでという文字をパウチして針金で止めてあった。そういえば、女岩水場のマグカップも4個に増えていたし、この山の整備に本当に尽力されているのは末木さんだろう。本当に感謝である。私たちは持っていったボンドスプレーをまず朽ちかけている初代標柱に吹きかけてもろくなった部分を補強後、ニスとラッカーのスプレーを吹きかけてきれいに仕上げてきた。山頂には15人ほどの人たちが入れ替わりで登って来たが、この標柱のいきさつを話して標柱の保護をお願いした。(私のブログの名刺も配らせていただきました。)

    標柱整備のためまずボンドスプレー、ついでニス、ラッカースプレーをかける。


    整備した標柱とともに記念撮影。持っている看板は末木さんが作ってくれた新聞切り抜き等のパウチ。


    隣の金ヶ岳はもうすぐ紅葉盛期を迎える。八ヶ岳は最初は見えていたが雲隠れしてしまった。

 さて、またまた問題の下山だ。最初の下りが急斜面だが、岩場の少ない尾根道を下る。枯れ葉が落ちていて滑りやすい斜面をスリップに注意しつつ、女の子の手を引きながら慎重に下る。急斜面がもうすぐ終わるというところで後方を歩いていた女性の1人がスリップして転倒、膝を捻挫してしまう。なんとか歩けるが痛そうなので、テーピングを施して持っていた荷物を他のメンバーで分担して担ぎ、なんとか歩いて下山する。さらにトラブルが続く。中腹の平らな道になったところで休憩すると、女の子が腹痛を訴え出した。そして横になったと思ったら嘔吐し始めてしまったのだ。あと1時間はかからずに車のところまで行けるが、これ以上歩かせるのは無理だろう。おんぶして下山するしかない。ザイルを束ねておんぶ紐にして、体重17kgの5歳の女の子を背負って下りる。私の重いザックは同行した女性2名が分担して担いでくれた。(おそらく1人15kg近い荷物になったのではないだろうか。)私と女の子の母親は一足先に下山して車の後部座席に女の子を寝かせ(途中ですっかりすやすやと眠りについてしまった)、また戻って残り3人を迎えに行くが、さほど心配するほどでもなかったようで、3人で楽しそうにガールズトークしながらちょっと危ない岩場の下りを無事に越えて下りてきた。午後4時半、全員無事に駐車場に到着。
 6人中2人にトラブルが起こると対処が大変だが、幸いにして今回はザイルやらテーピングの準備やらと装備を持っていたこと、そしてメンバーに恵まれたことで全員無事に下山できた。この山は山の神様が私たちを守ってくれている、標柱探しの一件といい、今回の件といい、そういう気がしてならない。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

完成!茅ヶ岳twin tower 平成22年9月1日

2010年09月02日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成22年9月1日

 世間(といっても山日新聞をとっている山梨県内だけだが)を騒がせている山梨百名山、かつ日本二百名山のひとつである茅ヶ岳山頂の標柱。8月20日、21日に捨てられていた初代の標柱を発見してひとまず山頂に立て直し、さらに鋸で切られた新しいほうの標柱上部も見つけて山頂に隠してきた。つなぎ合わせるには土木関係の技術者が必須だが、ボランティアで協力いただいている望月君はあいにく土・日曜日は都合が悪い。9月1日の水曜日、無理矢理時間をあけて、午前中から2人で茅ヶ岳に向かった。

    作戦会議。あれをここに入れてああやって・・・


    いよいよ接合作業


    「そんな小さな金槌じゃだめだ」と石を拾ってきて打ち付ける。

 10時20分、林道から歩き始めて約2時間で山頂に到着。先客が一人、と思いきや、その方こそ茅ヶ岳の番人、末木さんだった。アウトドアショップエルクで今回標柱再建に行くことを聞いて、手伝いに来てくれたのだ。3人であれやこれやと相談しながら標柱再建作業が始まる。前回はあっけなく引き抜かれてしまったので、今回は接合部に更なる工夫を凝らせ、接着剤が無くても抜けないような細工をして新しいほうの標柱をつなげた。さらにもう1本、古いほうの初代標柱は朽ちている下の部分を鋸で切り落とし、添え木のようにして新しい標柱の横にスクリュー釘6本で固定した。約2時間の作業でかなり頑丈な茅ヶ岳twin tower標柱が完成した。まずまずの出来映えだ、と自己満足する。

    今度は古い標柱をスクリュー釘で固定する。


    茅ヶ岳twin tower 完成!


    記念撮影

 しかし、何故に犯人はここまでこの標柱を嫌うのか?犯人を捕まえてやろうなどとは全く思わないが、どのような理由があるのかは聞いてみたいものだ。おそらく、多くの人がそう思っているのではないだろうか。引き続き標柱管理を行って行きたいと思っている。不審な者の目撃情報、標柱の変化、不都合な事などありましたら、ご連絡いただきたい。


    途中に咲いていた花。鋸岳に登った時も見かけたが、未だに名前わからず。


    ビランジ満開。吸密に来たウラギンヒョウモン(たぶん。裏側確認できず。)
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする