山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

初夏の鳳凰山薬師岳(2日目) 令和3年6月19日

2021年06月23日 | 高山に咲く花
 薬師岳小屋は感染対策が徹底しており、部屋は敷居を立てて個室になっており床や壁には透明なビニールシートが張られている。宿泊客の人数も通常の半分以下に制限しており、これでは儲からないのではないかと心配になってしまう。ゆっくりと寝て朝食は6時に準備していただいた。予想はしていたが筋肉痛を起こしており、足だけでなく重い荷物を背負ったため背中も痛い。痛み止めのロキソニンを1錠飲んで7時前に小屋を出発し、南御室小屋に向かう。


    朝から小雨。カッパを着て出発する。


    コイワカガミはまだ蕾のものが多いが、気象条件が厳しい場所に咲くため花は傷んでいるものが多い。


    クモマナズナ。シロウマナズナが無いかと探してみたが見つからず。


    ヒモカズラというシダの仲間。結構レアもの。


    リンネソウはまだ蕾も見えない。


    南御室小屋に到着。

 8時半に南御室小屋に到着し、小屋の中で休ませてもらう。他の仲間たちは夜叉神峠を早朝に出発し、10時ごろには南御室小屋に到着するらしい。どれだけにのハイピッチで登ってくるのだろうか?その前に小屋周辺の植物を散策する。


    南御室小屋前の草地。ここには様々な高山植物が生えるが食害を受けてバイケイソウがだいぶ増えてしまっている。


    草地を上から見下ろす。


    草地の中のギョウジャニンニク群落。食料目的で採取されてしまい、現在では山梨県で残っている場所が少ない。


    まだ蕾のギョウジャニンニクの花


    テント場の草地にはヒメスゲがたくさん生えていた。


    もう1種類たくさん生えていたのがこれ。普通にみればただの雑草。


    これはイネ科の草なのか?これから調べて行きたいと思う。

 メンバーは予定通りの10時に小屋に到着した。足の速いつわものばかりである。小雨の中で作業を行い、手際良く進んでお昼には作業を終えた。


    本日の目的はこの保護柵の設置である。

 昨年の8月に韮崎市の依頼で鳳凰山の植生調査が行われ、その際に私も同行したため今回の作業にも協力することとなった。分からない植物も多々あるのだが、柵内に生育する植物の調査にも今回は協力させていただいた。作業後、南御室小屋で準備していただいた餃子スープをご馳走になりながら、小屋の中でゆっくり休みながら昼食となる。そしてまた、本日の宿泊地である薬師岳小屋に戻る。明日は薬師岳小屋周辺の保護柵設置の予定である。天候は回復してくれそうである。




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初夏の鳳凰山薬師岳(1日目) 令和3年6月18日

2021年06月23日 | 高山に咲く花
 訳あって鳳凰山に行くこととなった。合流予定の他メンバーに先駆けて1日早い6月18日に薬師岳小屋に泊めていただき、あわやくば星空の写真を撮ろうという作戦に出る。花を見ながらのゆっくり登山ではあるが、久しぶりに登る青木鉱泉からの中道登山道は急登のうえに距離が長く、悪戦苦闘して薬師岳山頂にたどり着いた。


    林道脇に咲いていたウツギの仲間。白や薄紅の花が混ざっており、これはニシキウツギか?


    他のウツギを探しながら登ったのだが目ぼしいものは見つからず。これはコゴメウツギだろう。


    ミヤマベニシダ


    よほど食べ物が無いのか、食害に遭っていた。


    オシダも食べられていた。


    アスヒカズラ


    こちらはマンネンスギ。いずれもあまり数は無かった。


    ホソバテンナンショウと思われるが仏炎苞の筋が半透明に透けて見え、別物かも知れない。


    まだ蕾のコフタバラン


    こちらもまだ蕾のキソチドリ


    イチヨウランは葉を数枚確認できたのみで、花や花芽は見つからず。


    オサバグサはこの一株しか見つからなかった。


    キバナノコマノツメは結構咲いていた。


    もうすぐ薬師岳山頂に抜け出る。疲れて足が上がらない。


    やっと見えた薬師岳山頂の岩峰


    ずっと曇り空と途中は霧の中だったが、なんとか雨に降られずに薬師岳に到着。

 6時間くらいで登りつけるだろうと思っていたのだが予定時間を遥かにオーバーして8時間かかってやっと薬師岳山頂に到着した。山頂周辺の植物を散策しながら薬師岳小屋に行く。さらに夕食までまだ時間があったので砂払山の周辺も散策してみる。


    岩の隙間に咲いていたクモマナズナ。シロウマナズナとの違いは葉に切れ込みがあること。


    ハイマツの下にひっそり咲いていたヒメイチゲ。


    コイワカガミは風に吹きさらされるためか、花が傷んでいた。


    確信は無いがこれはミヤマコウボウと思われる。


    穂の拡大。個体数はあまり多くなかった。


    こちらはミヤマハルガヤではないかと思うが、全く自信無し。


    叢生してたくさん生えていた。


    小屋の前に生えていたヒメスゲ。甘利山で多く見かけるが、標高2700mの高地にも普通に生えていた。


    こちらはコハリスゲではないかと思う。中腹の登山道脇にも結構生えていた。


    夕食前のひととき、白根三山が姿を見せてくれた。

 この日の薬師岳小屋の宿泊客は私一人だけだった。天候が良くないうえにまだシーズンではないので登山客は少ないようである。ゆったりと過ごさせていただいた。まだ高山植物はあまり咲いていないが、イネ科やカヤツリグサ科の植物はそれなりに穂を出して楽しませてくれている。しかし、勉強不足なことと結実してからでないと確定出来ないこともあって、まだ分からないものばかりである。正体が分かるまでには数年かかるかも知れない。

 夜になると小雨が降りだした。明日の天気予報は終日雨のようである。星空はあきらめて、明日の作業に備えてゆっくりと寝ることにする。

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高山帯の花とシダを巡る 鳳凰山2泊3日(3 日目)  令和2年8月3日

2020年08月06日 | 高山に咲く花
 本日が鳳凰山2泊3日の最終日である。前日夕方から降っていた雨は深夜には上がっていて朝は青空が広がった。8時には眠りについたのだが久しぶりに背負った重い荷物で少しばかり背筋の筋肉痛を起こし、寝返りを打った時に痛みで何度か目が覚めた。起きたのは朝4時だったので、8時間は寝たことになり睡眠は十分である。5時半に朝食となり、ゆっくり準備して7時ごろから調査開始となる。まずは鳳凰小屋周辺から花を見て回るが、小屋の周辺は移植された植物がいくつかあるものの、良く管理されていて様々な種類の植物を見ることが出来た。中にはだいぶ数を増やしている稀少植物もあった。


    鳳凰小屋の前にあるお花畑


    ホザキイチヨウランが咲いていた。


    まだ蕾だが、これはヒメシャジンか、ミヤマシャジンか?


    マクロレンズで覗き込む限りでは萼に鋸歯は無くミヤマシャジンのようである。


    花弁が黄色味を帯びている。


    距は長く、緩く前屈している。おそらくホソバノキソチドリと思われる。ヤマサギソウとの区別がいまひとつ分からず。


    ちなみにこちらがキソチドリ。花の形は良く似ているが色が緑色で唇弁、側萼片、側花弁とも細長い。距は手前のほうから強めに前屈する。


    大株のタカネビランジ。周辺にはかつてヤナギランの群落があったが、昨年の台風で全て流されてしまったそうだ。

 他にも様々な珍しい植物があったのだが、撮影し切れずに出発となる。本日の行程は燕頭山を経て御座石鉱泉側の西ノ平まで下山し、そこに迎えの車が待っている。3日間で最も短い行程であるが、もちろん植生調査しながらの下山なのでそれほど早くは進めない。


    コフタバラン群生


    オサバグサとキソチドリ。いずれも終わりかけ。


    コイチヨウラン。数は多くは無いが数ヶ所で確認。


    森の様子から見てきっとあるだろうと何度か探していたランにやっと遭遇した。


    ミヤマフタバラン。光沢のある葉と茶色い茎が特徴。黒戸尾根で見かけたのでこちらにもきっとあると思っていた。


    もっと見たかったのがこの白いラン。もう終わりかけである。


    素心花(白花)のイチヨウラン。やっと出会えた。もっとあったはずだが、イチヨウランを含めて今年大規模な盗掘に遭い激減してしまった。


    咲き終わりのオサバグサ


    オサバグサ群生


    シダも見て回る。シノブカグマは光沢のある緑色が鮮やか。


    初見のシダ、ミヤマサトメシダと思われる。


    ソーラスは長楕円形、ないしは鍵型。鱗片は撮り忘れた。


    これも初見のシダ、イワイヌワラビ。ヘビノネゴザに似るが全体的に細長く小羽片の切れ込みが少ない。


    茶色い帯が入る鱗片はヘビノネゴザに似るがこちらのほうが細長い。


    ソーラスは未成熟だった。まだ自信を持って見分けることは出来ない。


    こちらがヘビノネゴザ。最下羽片の形と向きが違い、小羽片の切れ込みが細かい。しかし、幼弱なものはイワイヌワラビに酷似している。


    ソーラスにも違いがあるらしいが、もう少し数を見ないと鑑別出来なそうだ。


    ミヤマシダ。キヨタキシダに良く似ているが小羽片の切れ込みが深い。かつ、やや高地に分布している。


    鱗片はキヨタキシダよりも少な目である。

 予定では3時ごろに西ノ平到着であったが、1時間ほど早く2時に到着した。韮崎市の職員が燕頭山まで私たち一行を迎えに来てくれた。ゆっくりの行程だったが明日は筋肉痛になりそうである。

 今回の植生調査に同行させていただき、いろいろと課題が見えてきた。まずは地面に生えている背の低い植物だけでなく、背の高い樹木を見なければ植生は理解出来ないということだ。広葉樹林と針葉樹林くらいしか見分けていなかったが、ブナの森とナラの森では下に生える植物は違うし、シラビソとツガの森でもまた違ってくる。全く勉強していなかった樹木を知らないと、本当の意味でのその森の植生は理解出来ないということである。それはカヤツリグサやイネの仲間、イグサの仲間も同じことが言える。つまり、まだまだ勉強不足で植生を語るには程遠いレベルにあるということである。これからは少しずつでも森の木を見て行くようにしたいと思っている。


    食害に遭わずに咲き残っていたシモツケソウ





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高山帯の花とシダを巡る 鳳凰山2泊3日(2 日目)  令和2年8月2日

2020年08月06日 | 高山に咲く花
 薬師岳小屋で6時半に朝食をとり、7時過ぎから植生調査を行う。まずは薬師岳小屋の周辺、そして薬師岳に移動し、ロープが張られた立ち入り禁止区域を含めて調査を行う。鳳凰山を代表するタカネビランジだけでなく、トリカブトの仲間やミヤマダイモンジソウ、樹木などを含めて生育している植物ひとつひとつを調べて行く。ナヨシダやトガクシデンダなどの高山性のシダを期待していたのだが稜線上では発見できなかった。


    お世話になった薬師岳小屋。快適でした。


    鳳凰山を代表する花、タカネビランジ。


    ビランジの変種と言われており、苞と茎には密に毛が生えている。


    キタザワブシ、とのことだが、私にはホソバトリカブトとキタザワブシの区別が出来ない。


    観音岳に近付くとホウオウシャジンが現れる。まだ蕾である。


    咲いていたのはチシマギキョウ


    大部分結実したクモマナズナ。図鑑で調べてシロウマナズナとの葉の違いが分かったが、来年まで覚えていられるかどうか?


    観音岳直下に生えていたタイツリオウギ。


    大株のタカネビランジ


    ほとんど分からないカヤツリグサ科とイネ科の植物だがそうも言っていられない。普通に生えているイワスゲ(カヤツリグサ科)。


    これも普通に見かけるが・・・イワノガリヤス(イネ科)か?


    これも結構ある。ヒメスゲ(カヤツリグサ科)

 タカネビランジは7分咲きというところで、今年は開花が遅れている。長雨で日当たりが悪かったためか、例年よりも数が少なく小さな個体が多かった。観音岳には11時ごろに到着し、小休止して地蔵岳に向かう。


    稜線の岩の隙間に生えているシダはこのミヤマウラボシしか見当たらず。


    岩の隙間に生えていたミヤマダイモンジソウ


    湿った岩壁に群生していたミヤマダイモンジソウ


    薄ピンク色のミヤマダイモンジソウに出会った。


    ムカゴトラノオ。下にある蕾はトウヤクリンドウ。


    咲き始めのイワインチン


    もう消滅したかと思っていたが、残っていてくれたカイタカラコウ。サンカヨウは見つからず。


    赤抜沢の頭の岩峰が迫る。


    この界隈のタカネビランジは色が濃くて美しい。


    色の濃いタカネビランジ


    タイツリオウギ。シロウマオウギは見当たらず。


    稜線の石塔


    赤抜け沢の頭から見る地蔵岳オベリスク


    ハクサンシャクナゲとオベリスク


    賽の河原のお地蔵さん

 賽の河原を通り過ぎたあたりから雲行きがかなり怪しくなり、雨が降り出した。本日宿泊予定地の鳳凰小屋まであと30分ほどであるが、ここで合羽を着てザックカバーを着ける。雨は降ったり止んだりだったが、その後は深夜まで雨が続いた。


    鳳凰小屋手前で見かけたモミジカラマツ


    こちらはヤマブキショウマ

 午後4時半に鳳凰小屋に到着する。日中は日差しが強く、日焼け止めを塗って歩いてきたが首の後ろと顔面がだいぶ日焼けしたようでヒリヒリする。今回の植生調査の一番の目的は、保護ネットをどこに設置すれば植物保護に有効であるかの下調べであるが、風化花崗岩と花崗岩砂で出来ている鳳凰山の稜線はポールが立てにくく、雨や雪の影響を受けて倒れてしまう可能性が高く、保護柵の設置は難しいであろうと思われた。鳳凰小屋の定番であるおいしいカレーをおかわりして腹いっぱいいただき、8時には早々に眠りにつく。
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高山帯の花とシダを巡る 鳳凰山2泊3日(1日目)  令和2年8月1日

2020年08月04日 | 高山に咲く花
 鳳凰山に生育する植物の調査に参加させていただくこととなったのだが、レインジャー調査のように咲いている花を見てくるのではなくて今回は咲いていない花を含めて全ての植物を調査する。そのため、葉を見て何の植物かを判断しなくてはないうえに樹木やシダ、スゲなどの植物も同定するとのことである。専門家の先生2名に付いて行く形での参加で、私はあまり戦力にはならないであろう。足を引っ張らないように、少しでも協力できればと思う。1日目の行程は夜叉神峠から薬師岳小屋までの長い行程である。山小屋に泊めていただくので、医療関係者である私はコロナウィルスに感染している可能性が無きにしもあらずなので、前日に抗原検査を行って陰性であることを確認してから参加させていただいた。


    シコクママコナ


    以前は足の踏み場も無いほどに密生していたがだいぶ減った。今年は少し増えてきたように見える。


    シャクジョウソウ


    花の散ったギンリョウソウ


    ヒトツバイチヤクソウ。葉が小さく、半分は菌従属栄養の植物と思われる。


    ミヤマバイケイソウ。夜叉神峠付近では白い花を咲かせるバイケイソウだったが、高度を上げると緑色の花に変わる。


    針葉樹林の苔の生えた林床を好むキソチドリ


    こちらも同じような環境を好むコイチヨウラン。数は少ない。


    コフタバランは辻山のあたりまで行くと比較的多く目にする。


    咲き残りのオサバグサ。これもあまり多くは無い。


    ヒカゲノカズラ。御室小屋周辺にはたくさん生育している。

 登山道周辺の植生調査と写真を撮りながら登って来たため、南御室小屋まで7時間少々かかった。樹木の名前は広葉樹も針葉樹も全く分からず、教えていただいても3分後には頭の中から消えている。覚えているのはシラビソとオオシラビソの葉の違いくらいである。南御室小屋でお茶とお菓子をご馳走になり、休憩しながら小屋周辺の植生調査を行った。


    南御室小屋のロープが張られた草地。比較的良く植生が保護されているが、シシウドは食害に遭っていた。


    テガタチドリ


    おそらくホソバノキソチドリ


    黄緑色の花と長い距は真直ぐか先端部が緩く前屈している。


    クルマユリとクモマベニヒカゲ


    カイタカラコウ

 南御室小屋から薬師小屋に至るまでは本日最後の試練の急登である。森林限界を超えるあたりの岩の隙間に高山性のシダがあるのではないかと期待していたのだが、なかなか目ぼしいシダは見つからず。その中でも山梨県ではほとんど存在が知られていなかったヒモカズラに出会えたことは大きな喜びだった。


    岩の隙間に生育していたのはほとんどがこのミヤマウラボシ。


    苔の生えた岩壁に着生していたヒモカズラ


    日当たりが悪い側の岩壁を好んで生育していた。


    砂払い山のタカネビランジ


    ヒメコゴメグサ。別名コバノコゴメグサ。


    ヒメコゴメグサの群生


    振り返って見る砂払い山。やっと宿泊予定地の薬師岳小屋到着である。

 午後5時半、予定していた時間よりも1時間以上遅れてやっと薬師岳小屋に到着である。心配した小屋主さんが砂払い山の先まで迎えに来てくれた。テント装備ほどではないが2泊分の荷物とシュラフに交換レンズ数本を詰め込んだ重いザックで、自分自身ここまで歩けるのかどうか少しばかり不安があったが、以外に歩けるものだと思った。


    樹林の中で見たリンネソウは咲き始めたばかり。個体数は多くは無い。


    マンネンスギ。低い山でも高い山でも生育していることが分かってきた。


    以前にも見ているが何だか分からなかったイノデの仲間。ホソイノデであることが分かった。全体に細長く流線型をしている。


    幅広の鱗片と毛のような細い鱗片が混在する。


    葉軸中間付近の鱗片は鬣(たてがみ)のように見える。大き目のソーラスが特徴らしいがこの個体にはまだ付いていなかった。


    お目当てだったのがこのヒメワラビの仲間。


    葉の辺縁は鈍い鋸歯状で葉が肉質で厚い。おそらくヤマハナワラビと思われるが、秋に胞子穂が出ているのを確認する必要がある。

 小屋はコロナ対策が徹底しており、敷居を入れて完全個室になっていた。入り口には手指の消毒液が設置されており、マットや布団は貸してくれるが原則シュラフ持参である。食事をとりながら登って来たメンバーと小屋主さんを含めて様々な花談義に花が咲く。快適な個室でぐっすりと眠ることが出来た。
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八ヶ岳花探索 2日目  令和2年7月12日

2020年07月17日 | 高山に咲く花
 昨日の悪天候は回復してこの日は少しばかり青空が広がった。そして久しぶりに富士山が姿を現してくれた。本日もそれなりのメンバーを取り揃えて、前日とは違う八ヶ岳の尾根を花探索に出かける。


    遊歩道脇に生えていたミヤマタムラソウ、別名ケナツノタムラソウ。


    ダイコンソウ。今までにも見ているはずだが名前を知ったのは初めてである。


    草むらの中に生えていたツレサギソウ属。


    やや黄色がかった花と緩く湾曲する距、おそらくホソバキソチドリと思われる。


    樹林帯の中に咲いていたキソチドリ


    コバノイチヤクソウ


    これは初見の花、エゾノヨツバムグラ。


    うっすらとピンク色をしていた。おそらく山梨ではレアもの。


    岩場に生えていたビランジ。これも山梨ではあまり見かけない。


    ハコネグミ?だったか?星状毛があるとか無いとか説明された気がするが・・・忘れた。樹木関係は全くダメ。(➡ニッコウナツグミ、別名ツクバグミでした)


    久しぶりに見る山上からの富士山

 植物に詳しい方が同行してくれたので、かなり効率良く花を見ることが出来た。小ピークまで行って昼食をとり下山する。


    ミヤマワラビ。少し高い山に行くと普通に生えている。


    こちらが今回見たかったニッコウシダ。流線型をしている。


    鱗片は薄め。


    湿地の横に群生していた。


    ソーラスはまだ薄くてはっきりしていない。


    ミズチドリが1本


    タカトウダイ。


    さほど珍しく無いはずだが、写真を撮るのはおそらく初めてである。

 前日とは打って変わって穏やかな天候で、メンバーにも恵まれて存分に花観察を楽しんだ1日となった。


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富士山御中道とオオサワトリカブト  令和1年9月14日

2019年09月17日 | 高山に咲く花
 前日から山中湖きららに泊まり込んで未明の鉄砲木の頭から見るパール富士(この日は中秋の名月で狙い目だった)を狙ったのだが睡眠薬が効き過ぎて山頂まで足元がおぼつかず、かつ到着した頃には富士山と月は雲の中。撃沈して下山してきた。そして車に到着するや否や爆睡してしまい、目が覚めれば9時半を過ぎていた。

 さて、それから富士山に移動して以前から歩きたいと思っていた御中道の散策に出かける。マイカー規制が解除されたばかりで本日は5合目の駐車場は大混雑しているらしいが御中道の入り口にあたる奥庭駐車場は数台止められるスペースが空いていた。御中道のルートは何ヶ所か崩落していて通行不能という話も聞いているがネットで検索してみると行けないことも無いようである。ダメならばそこで撤退・・・ということで11時に出発する。


    さて、無事に大沢休憩所まで行けますかどうか?


    石畳の道


    御庭から見上げる富士山。青空が広がった。下界は暑いだろうが標高2,300mのこの場所は快適である。


    案内板があってそれに従って大沢崩れの道に入るが・・・


    すぐにロープが張られて通行止めの看板。やはり行けないのか?

 大沢崩れへの道に進んだがすぐに通行止めの看板に突き当たってしまった。ルートが変わったのか?と思って一旦戻り、広い道を歩いているとその通行止めの道を下りてきた人に偶然出くわした。大沢崩れへの道を尋ねると、現在歩いている道を進むと林道を経由して元の場所に戻ってしまうそうだ。大沢崩れまで行くには看板を無視して進むのだそうで、その先は自己責任で進むということになる。GPSで位置を確認して看板をくぐり抜けて先に進んでみる。何人か先行して入っている人の姿が見えた。


    広いザレ地に出た。見上げる富士山。


    反対側は一面に広がる雲海。荒川岳・赤石岳が浮かんで見える。向こうからこちらを見ると雲海の上に浮かぶ富士山が見えているのだろう。


    その先でルートは崩落していた。先行者の足跡がありそれをたどって対岸に入るが・・・ルートが見つからず。


    上に登ってルートを探すと頼りないテープがあった。そこから樹林の中に入ると細い踏み跡があった。


    頼りないテープと薄い踏み跡。これに沿って下って行くと本来の御中道の道に出た。


    仏石流の石塔


    その先で2ヶ所目の崩落地。これも先行者の足跡をたどって対岸に至る。今度はあっさりとルートが見つかった。

 2ヶ所の崩落地を過ぎるとその先は明瞭な道でそれなりにルートは整備されていた。大沢崩れまで行けば本日のお目当てのオオサワトリカブトが見られるはずだが、その手前の一番沢周辺でも見ることが出来た。


    一番沢の石塔。その上にオオサワトリカブトが咲いているのを発見。


    沢の周辺ではそこそこにオオサワトリカブトが咲いていた。葉はもっと細いのかと思っていたがホソバやキタダケトリカブトほど細く無い。


    一番沢に咲くオオサワトリカブト


    花柄に生えている毛は開出毛(直毛)


    さらに進むとやっと大沢休憩所の小屋に出た。花を見ながら写真を撮りながら来たこともあるが、4時間かかった。


    大沢休憩所小屋の前に咲いていたオオサワトリカブト。先ほどのトリカブトよりも若干葉が細い気がする。


    花


    帰り際に別の場所で見たオオサワトリカブト


    こんなのも生えていた。タテヤマキンバイ。


    これも見たかった花だが当然もう終わっている。ムラサキモメンヅル。


    大株のヤハズヒゴタイ


    樹林の中ではミヤマフタバランが普通に生えていた。


    ミヤマウラボシ。他にもシダはたくさん見てきたが何だか分からないので掲載せず。

 帰りはルートに迷うことも無く、普通のペースで歩いて2時間で駐車場に到着した。途中霧に巻かれて小雨も降ったがおおむね天気に恵まれて目的だったオオサワトリカブトを存分に楽しむことが出来た。季節を変えるとまた違った花が咲き、秋にはカラマツの紅葉を楽しむことが出来るのだろう。道迷いには十分に注意が必要だがなかなか面白いコースだった。(激焼けの赤富士に続く)




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八ヶ岳に咲くミヤマアケボノソウ  令和1年8月24日

2019年08月26日 | 高山に咲く花
 今年から山梨県の特定指定種に指定されたミヤマアケボノソウであるが山梨県での生育地の情報はほとんど無く、八ヶ岳キレットあたりが怪しいかと思って権現岳からキレット小屋の尾根を探したが発見できなかった。もう1ヶ所ありそうな場所を花仲間が調査に行ってくれ、見事に探し出してきてくれた。間近で見られる場所では無く近付き難い急斜面の草地の中だと聞いたので200㎜望遠レンズを持って出かける。


    登山口付近から見上げる赤岳。山頂小屋が見える。


    尾根まで登って見上げる赤岳。「聳え立つ」といった感じの格好良い雄姿である。


    天候に恵まれたこの日は雲に浮かぶ富士山を望むことが出来た。


    眼前に赤岳が迫る。いよいよここからが本格的な登りになる。


    途中に立っているお地蔵さんは何者かに頭を持ち去られて代わりに石が置いてあった。


    おそらくこちらの尾根にもあるだろうと探していた花。もう結実しているがミヤマフタバラン。


    急斜面の尾根脇にもあった。


    コフタバランも結実して既に種を飛ばした後のようだ。

 核心部の登りは急峻な岩の斜面に長い鎖が取りつけられている。前回この尾根を訪れたのは記録を見ると平成23年7月だった。しばらくぶりに訪れるとこんな急峻なところがあったことをほとんど覚えていない。ミヤマアケボノソウが咲くという草地はその上にあるはずだ。


    急峻な鎖場を何本か登る。登りよりも下りのほうが怖い。


    その急峻な岩場にこんな贅沢なクロクモソウが咲いていた。


    クロクモソウとミヤマダイモンジソウ


    ハナイカリと咲き終えたムラサキタカネアオヤギソウ


    タカネコウリンカ


    トリカブト。高度的にホソバトリカブトだと思うが葉の幅はやや太め。


    花穂の毛は直毛だった。キタダケトリカブトはどうなっているのか、見に行ってみたいが行けるかどうか?


    岩場に付着したムシトリスミレの群落


    こんな変わったシダにも出会えた。

 さて、目的の草地に到着した。急斜面で下りるのは命がけになりそうなので、双眼鏡を使って草地の中を覗き込む。草むらから顔を出して咲いている黒い花が何株か見える。間違い無し、探していたミヤマアケボノソウだ。しかし距離が遠過ぎて200㎜望遠レンズでも追い切れない。


    探していた花は赤岳山頂直下の切れ立った草地の中に生育していた。


    ここを下りて探す気にはとてもなれない。


    黒い花が何本か草むらから顔を出して咲いている。200㎜望遠レンズでやっとこのくらいの距離。


    トリーミング。間違い無し、探していたミヤマアケボノソウだ。


    いちばん近い場所に咲いていた株だが、100㎜マクロレンズでは歯が立たない。


    200㎜望遠でやっとこれくらい。


    トリーミング。これならばなんとか来年の山岳レインジャー説明会で使えそうだ。

 ようやく出会えたミヤマアケボノソウだがそう簡単に近付けるような場所には咲いておらず、これが山梨県でこの花が発見されない理由であろうと思われる。斜面がきつく鹿もそう簡単に登って来そうな場所では無く、この花は地理的な条件で出来た天然の要塞に守られている花という印象を受けた。満足な撮影が出来たとは言えないが、とりあえずは今年の課題であった山梨県に咲くミヤマアケボノソウに出会うことが出来た。持つべきは良き花仲間である。

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花と星の北岳へ 令和1年8月3日‐4日(2日目 後編)

2019年08月06日 | 高山に咲く花
 北岳2日目の朝、日の出前から東の空に昇るオリオン座を眺め、日の出を見てから山頂を目指して登り始めた。交換電池を3本持って来たと思っていたのだが1本は車の助手席に忘れてきてしまったようで、北岳山頂を目前にしてカメラの電池切れを起こしてしまった。途中で遅れて出発してきた山岳レインジャー隊のメンバーが追いついて来た。山頂で集合写真を撮ろうと思っていたのだがそれもままならず。さて、どうするか?


    残った電池でなんとか撮影したキタダケキンポウゲ。このカットを最後に撮影不能となる。高山性シダ撮影目的で持って来たマクロレンズで撮った唯一のカット。

 山岳レインジャー隊は北岳山荘まで下りるというので山頂で一旦別れ、私は山頂からトラバース道周辺の花と高山性シダの観察に行く。途中でもうキタダケトリカブトが咲き始めている姿を目にしてなんとか撮れないものかと考えに考えて・・・今まで一度も使ったことが無いスマホのカメラを使ってみることにした。電池残量は40%、何枚撮れてどのくらいの画質が得られるのかも全く分からず、その前に使ったことが無いので操作が分からない。スマホのカメラを起動すると何故か自分の顔が画面に写っている。これはどうやって切り替えるのか?そんなことから始まって、いろいろいじっているとなんとか撮影の仕方が分かってきた。ここから先は全てスマホで撮影した画像である。


    中腹の八本歯コルと北岳山荘分岐付近から見る間ノ岳。そこそこに写るじゃないか。


    キンロバイのお花畑


    タカネシュロソウ(ムラサキタカネアオヤギソウ)咲くお花畑


    シナノキンバイ


    キタダケトリカブトと間ノ岳


    ミヤマムラサキ


    タカネナデシコ


    咲き始めたシラネヒゴタイ


    ハゴロモグサ

 スマホのカメラだと風景はそれなりに写ってくれるが花の接写はなかなかうまく行かないことが分かってきたが撮れるだけ増しである。

 高山性のシダは予想では4種類見られるだろうと思っているがそれを確認するため不審者の如く岩の隙間や岩の下を覗き込みながら探してみると、やはり思っていた通りの4種類が確認された。


    昨年の秋にキタダケデンダだと思って撮影してきたシダはタカネシダだった。


    胞子嚢群は葉の中央付近に寄って配列している。


    葉の切れ込みが深いトガクシデンダ


    胞子嚢群は切れ込んだ葉の真ん中あたりに配列している。


    いちばん確認したかったのがこのシダ。昨年はタカネシダだろうと思っていたのだが画像を見直してみるとどうも違うようだ。


    胞子嚢群の配列を確認。やはり線状の胞子嚢群が葉の中央付近に配列している。これはアオチャセンシダだ。


    そしていちばん見たかったこのシダ、キタダケデンダ。


    胞子嚢群は葉の辺縁付近に配列し毛が生えている。

 山岳レインジャー隊と別行動にしてもらったのはこの4種類のシダを確認したかったからで、レインジャー隊のスピードで歩くととてもではないが岩の隙間に咲くこのシダを見て歩くのは不可能だったからである。胞子嚢群の配列は確認できたがまだ未熟なので出来れば9月に再確認に訪れることが出来ればと思っている。キタダケトリカブトと思っている個体の中にはキタザワブシやホソバトリカブトが混ざっているらしく、それらを見分けるのも今後の課題である。

 トラバース道の北岳山荘側で待っていると予定通りに山岳レインジャー隊が10時前にやって来た。合流して4種類のシダを案内しつつ下山の途につく。足の遅い私は寝不足の疲れが出たのもあって途中でペースに付いて行けず、1時間ほど遅い4時半の最終タクシーに乗って芦安駐車場に戻った。


    シロウマオウギ。リシリオウギもあったそうだが判別できず見落とした。まだまだ勉強不足。


    モミジカラマツがこんなに咲いているとは今まで気がつかなかった。普通のミヤマカラマツだと思って通り過ぎていた。

 カメラの電池切れで目的のひとつだった高山性シダの撮影はままならなかったがひとまず確認は出来た。星の撮影は想定していた以上の星空が広がってくれてそれなりに撮れたと思う。ミッションはコンプリートとは言えないが、ほぼ達成である。日差しが強くて顔と首が激しい日焼けを起こして痛くなり、少しばかり速足で歩いたので翌日は筋肉痛を起こした。しかし、今回も北岳は期待を裏切らず素晴らしい姿を見せてくれた。


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花と星の北岳へ 令和1年8月3日‐4日(1日目前編)

2019年08月05日 | 高山に咲く花
 八ヶ岳か北岳か、それともそろそろ咲いているであろうタカネビランジを見に鳳凰山に行くか。数少ない土曜日曜の2日間フルに休める機会をどう使うか迷ったが、山岳レインジャー隊が北岳に植物調査に行くのに半分便乗して北岳に行くことを前日の午後に決める。怖いのは夕立と雷だが夜は月明かりが無く星空が期待出来そうである。タカネマンテマも見ごろを迎えている頃だろうし、昨年単独で調査に行ったもののまだ決着が着いていない高山性のシダもある程度目星を付けておきたい。昨年撮影した画像を再度良く確認してみると、キタダケデンダの他に3種類の似たようなシダが有りそうなので確認しておきたい。こっそりとレインジャー隊の後を追いかけて北岳肩の小屋で合流しようと目論んでいたのだが、駐車場に車を止める前で見つかってしまう。花の写真を存分に撮りながら登りたいので、後から小屋に着くことを告げて別行動で入山する。


    広河原から見上げる北岳。朝の天気は良好だが、怖いのは午後の夕立と雷だ。


    まだ蕾だったタカネフタバラン。数が減ったように思う。


    沢の横に咲いたオニシモツケ


    葉がハート形のカイタカラコウ。まだ咲き始めたばかりだった。


    ホソバトリカブト。風で揺れるうえに橋の脇に咲いていて登山者が通過するため撮影に一苦労。


    ホタルサイコかと思っていたのだが調べてみるとオオハクサンサイコという南アルプス特産種だった。枝分かれが少なく萼に筋が入っているらしいがそこまでは観察していない。


    ミヤマハナシノブ。咲き始めの新鮮な花。


    ミツバツチグリとは葉の出方が違い、ツルキンバイと思われる。


    岩に付いていた華奢な菊を発見。


    ミヤマアズマギクかと思ったが図鑑で調べるとどうやらエゾムカシヨモギらしい。


    途中で見つけたテンナンショウ属。葉が5枚で2本出ている。


    葉よりやや低い位置に花が付いており紫色の仏炎苞と付属体である。ヒロハテンナンショウの仲間と思われるが正体不明。オオミネテンナンショウが一番近そうである。


    もう1種類。これはユモトマムシグサに似ているが形がずっと小さい。変種のヤマナシテンナンショウではないかと思われる。


    二又に到着した頃には北岳に雲がかかってきた。

 4時間少々かかって10時45分にやっと二又に到着した。いろいろ探しながら歩くとここまでの行程でもまだ知らない花がいろいろとあることが分かってきた。特に花期が遅れた今年は以前から葉があることは確認していたが咲き残りのテンナンショウ属に出会えたことは大きかった。周辺の林の中に葉がたくさんあるのも確認しており、この花が咲いている頃に是非見に来てみたいと思った。

 軽く食事していよいよここから右又の急登が始まる。夕立が怖いが時間と天候の許す限り出来るだけゆっくりと花を見ながら登ることにする。


    マルバタケブキ


    ヨツバムグラだが大型で葉に筋が入っており、オオバノヨツバムグラと思われる。


    ヒメコゴメグサ


    右又を見下ろすムラサキタカネアオヤギソウ


    タカネコウリンカ


    咲き残りのコイワカガミ


    御池小屋分岐付近のムカゴトラノオのお花畑


    咲き残りのシナノキンバイ


    ミヤマアカバナの群落


    砂礫の中に咲いていたタテヤマキンバイ


    アカイシミヤマクワガタ満開


    仙丈ケ岳の方向で雷鳴が轟いている。こっちに来るなと祈りつつ急ぎ足で肩の小屋まで登る。

 天気が許せば花を探して5時に肩の小屋に到着すれば良いだろうと思っていたのだが、御池小屋分岐付近で遠雷が鳴り始める。さほど近くは無さそうだがいつこちらで鳴り出してもおかしく無い空である。稜線に抜け出て小太郎尾根分岐あたりからはもはや気が気では無く写真を撮るのを控えて急いで小屋に向かい、3時半に肩の小屋に到着した。少しだけ雨に降られたがすぐに止んでくれ、雷雲の直撃も避けられたことは幸運だった。山岳レインジャー隊は今回19名参加という大人数で、2時ごろに到着したそうで既にビールを開けて小宴会が始まっていた。合流して同じ部屋に泊まらせていただくことにした。大学生や留学生も参加しておりなかなか面白い自己紹介や山と花の情報交換で盛り上がった。


    途中の草地で見かけたホザキイチヨウラン。数はそこそこにあるのだが、この場所のこの花は小型で良く探さないと見つからない。


    今年は数が少なかったミヤマチドリ。


    さらに数が少なかったタカネアオチドリ。天候が気になってあまり探せなかったこともあるが1株しか見つからなかった。

 夕食後も談義が続いたが空を見ると雲がだいぶ晴れてきた。カメラを持って外に出ると仙丈ケ岳に沈んで行く真っ赤な夕陽が見えている。これは夜の星空が期待できそうだ。


    仙丈ケ岳に傾く夕陽

(1日目後編 夕の部に続く)
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再び八ヶ岳へ  令和1年7月20日

2019年07月22日 | 高山に咲く花
 7月初旬にも訪れている八ヶ岳を再訪である。前回の訪問はいわば下見のようなもので、今回が本番と言って良いだろう。目的は八ヶ岳で見つかった稀少植物の保護に向けての本格的な現地調査である。今回のメンバーは全員が何らかの形で植物の調査や保護に携わっているそれなりのメンバーが揃っており私はいちばんの下っ端である。植物が見つかった当初から保護のためにどうしたら良いかを考えていろいろ手を回してきたが山梨県や環境省がいよいよ保護に乗り出すことが現実味を帯びてきた。


    今回は植物保護に向けての現地調査。台風接近で一時は中止になるかと思っていたが意外と天候は持ってくれた。


    一時は富士山も見えた。雲の上に山々が浮かんでいる。


    やはり食害を受けて無くなっていたエゾスズラン。背が高くて目立つだけに簡単にやられてしまう。


    ケブカツルカコソウも背が伸びて目立つため、昨年はほとんどが食害を受けた。生えてくれて良かったが今後どうなるかわからない。


    登山道から少し離れた場所でひっそりと咲いていたヤマトキソウ。


    一方、登山道脇にあったヤマトキソウは花の前方の草地が踏み荒らされて陽にさらされていた。可哀想な気がした。


    登山道沿いで見つかったコハクラン。笹に隠れているうえに地味な色なのであまり人目にはさらされていないようだ。


    こちらもツガ樹林帯の登山道脇にあったコハクラン2株。


    コハクラン。まだ幼弱な小型である。周辺にはまだ花芽を出していない幼弱な葉が2枚あった。


    一方、草地の中にあったコハクランは酷い状況になっていた。周辺はふみ跡だらけ、かつ撮影のために花周辺の草がむしり取られている。


    ニョホウチドリは斜面の土砂が一部流れ出て数が減っていた。


    ハクサンチドリはちらほらと咲いている。

 調査地は想定していた以上に踏み跡が著しく、小さな葉の植物が踏まれているものも確認された。珍しい植物の周辺の草は写真撮影のためにむしり取られていて陽にさらされてしまっている。これでは鹿の食害と何ら変わりない状態である。ラン科植物は共生している菌の活性が花を咲かせたり成長して行くために重要な役割を果たしており、踏みつけて地面が固くなったり陽にさらされてしまうことで菌活性は著しく障害されてしまう。こういうことをやられてしまうと今後咲かなくなってしまうことが十分にあり得るのである。他にも貴重な植物が生育している場所でありこの周辺にも重要な植物が生育していて、同じように踏み荒らしや周辺の草がむしり取られているのが確認された。こうなっているであろうことは予想していたが、想定していた以上に残念な状況だった。特に草をむしり取るのは花を観察するうえで絶対にやってはいけないマナー違反であろう。環境と植物を守るためにはもはや囲って保護する以外には方法が無いであろうと確信するに至った。


    花の観察や撮影は植物の保護を第一に考えてマナーを守ってください。

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オオヤマサギソウはまだ蕾だった 芦川  令和1年7月17日

2019年07月22日 | 高山に咲く花
 オオヤマサギソウ群生場所の保護柵を設置して1週間以上が過ぎた。御坂山塊の中でもこれだけまとまってオオヤマサギソウが咲く場所は無いであろう。柵が無事なのかどうかも心配だが、そろそろ咲いているのではないかと見に行ってみる。


    小屋の前にも長い花穂を出していたオオヤマサギソウ。無事に咲いてくれれば良いのだが?


    ポールが少し傾いて抜けかけている場所があったがほぼ良好に立っていた保護柵。


    中に入ってみる。だいぶ花穂が伸びている。


    しかし残念ながらまだ蕾。ここのところずっと天候が悪く気温が低かったのでまだ咲かないようだ。


    保護柵で囲ったので食害の心配はまず無さそうである。


    クモキリソウが満開。


    スズランの森の中を散策してみる。オオバギボウシが咲き出していた。


    しかし保護柵で囲われているにもかかわらず、柵内は鹿の食害があちらこちらで見られる。


    クガイソウ


    今年は見られないだろうと思っていたこの花。


    まだ咲き残っていた。ジガバチソウ。

 もう何年も見ていない御坂山系のオオヤマサギソウ、今年は開花が遅れているが確実に見ることが出来そうである。柵内は6本の花穂が出ているのを確認、柵の外でも2本確認した。開花はまだ1∼2週間先になりそうである。
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オオヤマサギソウ保護作戦 御坂山系  令和1年7月8日

2019年07月09日 | 高山に咲く花
 2006年版山梨県レッドデータブックでは絶滅危惧ⅠB類だったオオヤマサギソウはやや大型で目立つ花だけに鹿の食害が著しく減少の一途をたどっており、2018年版ではⅠA類に格上げとなった。かつては黒岳の山頂付近や釈迦ヶ岳で見られたが今では時々葉が見つかるものの花を咲かせている個体に出会うことはほとんど無くなってしまった。ところが今回、数年前に発見して時々見に行っていた場所で7株ほど生えているのが確認され、花芽を付けている株も5株ほど見つかった。放置しておくと食害に遭って咲かない可能性が十分にあり保護柵設置が必用であろうとずっと気になっていた。もうそろそろ花穂を長く伸ばして目立っている頃で最も食害に逢い易い危険な時期である。午後の内科受診を出来るだけ早めに済ませてもらって現地に向かう。


    本日も良い天気とは言い難い。


    長い花穂を伸ばしているオオヤマサギソウ


    だいぶ目立っている。


    根元に近い場所に付く葉は先端部が円くなっているのが特徴。


    千切れている葉があり、おそらくは食害だろう。他の株は危機一髪難を逃れている。


    元気に花穂が育っている。


    あと2週間もすれば咲きそうである。


    持って行った荷物。ポールは180㎝の長さのものを20本。木にくくりつけることを想定してシュロ紐を持って行ったが使わなかった。


    3時間かかって夕方7時に完成。


    決して立派な柵とは言えないが、今シーズンはなんとか持ち堪えてくれるだろう。

 もう何年も見ていない御坂山塊の白緑色のクリオネが舞う花、今年は見られそうである。咲くのが楽しみだ。

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梅雨の八ヶ岳に咲く花たち  令和1年7月7日

2019年07月09日 | 高山に咲く花
 ここ数年の恒例になっている八ヶ岳三ツ頭界隈の花巡りである。権現岳まで行っても良いのだが天候が不順でとてもそこまで登る気にはなれず、少し遅めに出発して三ツ頭あたりまでで折り返すことにする。歩き始めは霧雨だったが途中から雨が降ったり止んだりとなり、カメラはカッパの中に仕舞い込んで胸で抱くようにして登る。それでもレンズが結露してしまい撮影には一苦労である。


    今日も天気が悪い。やがて雨が降ったり止んだりとなる。


    エゾスズランはまだ蕾。固まって生えていたが食害に遭わずに無事に咲いてくれることを祈る。


    紫色のヒメハギ


    オキナグサの葉を確認。春先にも訪れているがこの場所は花はひとつも咲いていなかった。


    花が開いていたササバギンラン。なかなか花を開いてくれない。


    コバノイチヤクソウが群生


    昨年は著しい鹿の食害に遭っていたがなんとか咲いてくれたケブカツルカコソウ。やはり個体数は減ってしまっている。


    キバナノコマノツメ満開


    ムシトリスミレも満開。今年は色が濃くて元気に見える。


    ハクサンチドリ。以前に比べると数はだいぶ減ってしまった。ニョホウチドリはまだ蕾だった。


    ヒメハナワラビ。まだ小さい。


    ヒメムヨウラン満開。数はそこそこにある。


    ハクサンシャクナゲ。少し黄色味がかっていてキバナシャクナゲのように見える。この場所は花付きが良かった。


    距が見えていないのでミヤマチドリか?まだ蕾だった。


    見たかった花、タカネアオチドリ。まだ咲き始めたばかりだが今年は小さいだけでなく数も少ない。


    こちらは唇弁が緑色のタイプ。


    今年は4株咲いてくれたカモメラン。


    しかし草地が退化して乾燥化しつつあり、葉数はかなり減ってしまっている。状態は良く無い。

 例年ならばこの季節にキソチドリやミヤマチドリ、ニョホウチドリなどが咲いているのだが今年は花期が遅れていて見ることが出来なかった。そして一番期待していた琥珀色のランだが葉も含めて一株も発見できず残念だった。本降りの雨にならなかったのが今回は幸いだった。また訪問する機会があるだろう。
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