山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

巡礼の山、御嶽山  平成21年8月23日

2009年09月02日 | 日本百名山
 平成21年8月23日 天候晴れ

 7月に所属する山岳会嶺朋クラブで御岳登山があったのだが、時間的都合で参加できず、今回単独で行くことにした。主な登山口が5か所ほどある御嶽山だが、今回選んだのはその中でも最も早く切り開かれた巡礼の道(開かれたのは1,785年)、御嶽ロープウェイを利用しての黒沢口からの道を選んだ。
 朝4時前に甲府出発し、中央道を伊那インターで降り、権兵衛トンネルを通って御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅に7時40分到着した。既にロープウェイを待っている人が10数人ほどいた。本日は8時から運行を始め、最終が17時(通常は9時から16時まで)、普通に行けばゆったりと山頂往復できる時間だ。8時にロープウェイに乗り、7合目の飯森高原駅の展望台に真っ先に行き、ここからだけ見られるという幻の大滝をまず眺める。解説を見ると、この規模の大きな滝では日本最高所のものらしい。

    ロープウェイ鹿ノ瀬駅の花壇から見上げる御嶽山。咲いているのは蕎麦の花。


    御嶽山幻の大滝。この規模の滝では日本最高所の滝。


    植物園の隅にある御嶽社。この裏に道が続いており、そちらに行ったのがそもそもの間違い。

 飯森高原駅の周辺は植物園になっており、紫色の濃いタカネマツムシソウが咲いていた。そのほかの植物園に植えてある花の名前を見てビックリ!テカリキリンソウ?さらにハヤチネウスユキソウまであった。これは盗掘じゃないのか!?と少しばかり腹がムカつく。その先に御嶽社という神社があり、その裏側に道が続いていたので、てっきりそれが登山道だと思って登って行くと・・・ロープの張られた整備された道、しかし途中で二手に分かれていて何かおかしい。もう一つおかしいのは誰も歩いていないし、声も聞えない。なにか変・・・と思いつつ20分ほど登ると、二手に分かれた道が合流してその先は・・・ロープが張られていて行き止まりになっていた。どうやら神社の裏の遊歩道らしい。30分ほど時間をロスしてしまい、登山道入り口の7合目行場山荘を9時15分に通過した。

    御嶽ロープウェイ利用の場合、登山道の入り口とも言える7合目行者山荘。


    8合目女人堂までは巡礼の道らしい木の階段道が続く。


    樹林帯を抜け、女人堂が見えるようになってくる。このあたりから眺望が良くなる。



    歴史ある信仰の山らしい様々な建造物が立っている。

 この先8合目女人堂までは巡礼の道らしい木の階段の道が続く。子供連れの人たちや、巡礼の白装束を纏った人たちなど、たくさんの人たちが登ったり、下りてきたりする。1時間ほどで8合目女人堂に到着、ここで一気に視界が開け、目指す御嶽山山頂や、北側の乗鞍岳・北アルプス、東から南側には八ヶ岳から南アルプス、そして中央アルプスの峰々がずらりと見えるようになる。曇り空ながら、遠くまで見渡すことができた。このあたりには西国開基、刀利天王像、御嶽全山総霊神之碑といった霊山らしい建造物がいくつも立っている。登山道は石のゴツゴツした道に変わるが、踏み固められていて浮石などは少ない。黒岩という溶岩の大岩を過ぎたあたりから傾斜がきつくなり、石室山荘の横を通り過ぎて11時40分ごろに覚明堂に到着した。

    石室山荘直下のオンタデ群落。この花は最初に御嶽山で見つけられたためこの名がある。


    山の斜面を見下げるとハイマツの根が白く露出している。気象の厳しさがうかがえる。

 20分ほど休憩して軽食をとり、山頂に向う。二の池分岐の福仙大菩薩像あたりから山頂を見上げると、昼食時ということもあってたくさんの人でごったがえしているように見える。そこで山頂手前にある鳥居の立つ小ピークに立ち寄り、そこで写真を撮ることにした。こちらはロープの張られた登山道からちょっと外れるので立ち寄る人も無く、人を気にせずに三脚を立てることができる。空は晴れ始め、青空が見え始めた。中央アルプスのその向うに並ぶ南アルプス、さらにその向うに富士山まで見渡すことができた。のんびりしすぎて、時間は午後1時近くになってしまった。

    二の池分岐、福仙大菩薩像から見上げる御嶽山山頂(左側の建物が立つピーク)。


    山頂手前の鳥居が立つ小ピークから見る中央アルプス方面の眺望。南アルプス塩見岳の横に富士山が立っているのが見える。


    一の池と秋の空。3000mの山の上はもう肌寒い。


    二の池と乗鞍岳。その向こうには左に笠ヶ岳、右に槍・穂高が見える。

 山頂直下の立派な階段を登ると、山頂は予想通りたくさんの人たちが記念撮影をしたり、昼食をとったりしていた。ここは記念撮影だけさせてもらってさっさと退却し、二の池に下りる。ここで時間は1時半、三の池を回るとなると、トラバース道を使ったとして三の池からロープウェイ駅までは少なくとも2時間は見ておかないといけない。地図で確認すると、二の池から三の池までは約1時間、休憩時間を入れると、5時ギリギリといったところだろうか。急げばなんとか・・・と三の池を回ることにしたのだが、ここでまた道を間違えて真直ぐに二の池新館方向に行けば良いものを御嶽お鉢巡りコースに入ってしまったため、10分ほど時間をロスしてしまう。

    この立派な階段を上ると御嶽山山頂。


    御嶽山山頂。たくさんの人がくつろいでいた。


    ちょっとだけ記念撮影させてもらう。


    二の池のほとりから見る御嶽山頂上。

 サイノ河原は広々としたお花畑で、花期は過ぎていたがチングルマの綿毛がたくさん生えていた。サイノ河原避難小屋から見下ろす三の池はかなり下にあるように見える。実際に歩いてみると、やはりかなりの急傾斜で、四の池への分岐から下は大きな岩のゴロゴロした道だった。2時35分三の池のほとりに到着し、ここで遅い昼食を急いで食べる。

    サイノ河原。チングルマの実がたくさん生えている。花の時期にはお花畑が広がっているのだろう。


    サイノ河原避難小屋から見下げる三の池。御嶽山最大の池。ずいぶん下に見える。


    三の池。信者さんたちがお経を唱えた終わった直後に到着。

 サイノ河原避難小屋の看板情報によると、この先のトラバース道はまだ雪渓が残っているらしい。踏み跡を見ると、足跡がしっかりと残っているので何人も通過していったことは間違いない。2時45分、出発。石がゴツゴツしていて決して歩きやすい道ではない。途中急下りのはしご状の階段あり、そこは工事の人が修復作業中だった。通過には全く問題なく、石がゴロゴロした沢を過ぎると次は雪渓のある谷、しかししっかり踏み固められていて通過には全く問題なかった。雪渓を過ぎると今度は登りだ。急傾斜ではないが、結構登る。そしていくつかの尾根を越えてよやく7合目女人堂が見えてきた。と思ったらまた谷と尾根を回り込み、見えているのになかなか到着しない。3時50分、ようやく女人堂に到着した。

    トラバース道のガレた沢を越える。


    続いて雪渓のある谷。通過には支障なし。


    歩いてきた道を振り返る。山腹を這うように道が続いている。

 ほとんど休憩無しで歩いてきたので、ここで5分ほど休憩し、水を補給する。1時間あれば、ロープウェイ駅には十分到着できるだろう。登りがゆっくりだったので、足の疲れはあまりなかったので、この先は久しぶりに少し足早に(軽く走るくらいに)飛ばしてみた。15人ほど追い抜いただろうか、登り1時間かかった七合目行場山荘まで20分で下り、4時半にはロープウェイ駅に到着した。ちょっとばかり膝に来た。
 ロープウェイ鹿の瀬駅に降りて車に向おうとしたところ、60才過ぎと思われる男性に声をかけられた。バスで木曽福島駅まで行くはずだったのだが、乗り遅れたらしい。休日のロープウェイは5時まで動いているが、バスは平日と同じ運行で4時20分が最終なのだ。この方は腎不全で人工透析を受けており、明日透析に行かないと生命的に危険なことにもなりかねない。東京在住とのことで、方向が同じなので甲府まで送ってゆくことにした。この方は山歴40年以上の大ベテラン、バリアンスルートのこともよくご存知で、槍ヶ岳北釜尾根のほか、二王子岳から飯豊山までのルート(道は無いはず!)も歩いたことのある凄い人だった。透析しながらも毎週のように山歩きをしている山大好き人間で、たいへん参考になり、また励みにもなった。おかげで帰り道は白馬岳で知り合ったアッキーさん夫妻の時と同様、睡魔に襲われず楽しく帰ってくることができた。
コメント (2)
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