平成21年12月12日
アサヨ峰以来、1ヶ月ぶりのまともな山行となる。左手のしびれは相変わらずで、テント等重い荷物を背負うには若干の不安がないわけではない。しかし、16kgの荷物を背負ってみると意外と重さは感じないし、しびれが強くなるわけでもない。これならば、今まで通りに行けそうだ。この日の夜はふたご座流星群が観察できる日だ。御座山(おぐらやま、日本二百名山)からだと、未明に八ヶ岳にオリオン座と冬の大三角形が沈んでゆくはずだ。月も無く、星空と流星群を観察するには好条件だ。
高速道路を使って長坂インターで下り、清里を抜けて小海の手前で右に曲がって相木村へ向う。登り口はいくつもあるのだが、今回はコースが最も良く整備されている長者の森からのコースを歩く。駐車場のすぐ横に登山道を示す看板があるのだが、これを見逃してしまいそのまま直進してしまった。道は林道となり、やがてゲートに突き当たった。地図で確認すると、ここが登り口ではない。引き返すと登山口の看板が目についた。歩き始めたのは11時、順調に行けば4時間くらいで山頂に到着するはずだ。
長者の森の御座山登山口
雪の積もった登山道をひたすら登る
5cmほど雪の積もった木の階段道を黙々と歩く。誰も歩いた様子は無く、あるのは鹿の足跡だけだ。御座山の山頂は岩の露出した場所で、テントを張るのは難しいと聞いていたので、その時は山頂直下の避難小屋に寝ようと思っていた。今夜は1人で静かな避難小屋だろう、とこの時は思っていた。尾根を登りついて傾斜が緩くなると、その先に大きな鉄塔が立っていた。左下に林道が見え、先ほど間違えて入り込んだ林道はこの鉄塔を管理するための道らしい。さらに進むと白岩登山道と合流し、右下には畑らしき広場と道が見える。車も数台停まっているように見えたが、登山者ではないらしく、この先もトレースはなかった。
見晴台 ここで御座山と八ヶ岳方面の展望が180度開ける.
傾斜がきつくなり、雪も増えてきたところで軽アイゼンを装着するが、雪はあったり無かったりでアイゼン無しでも十分に歩けた。見晴台と書かれた標高1,750m地点で視界が開け、御座山山頂と八ヶ岳方面が約180度見渡せるようになる。時間はここで午後2時、ずいぶんと予定より時間がかかっている。前衛峰の先端から一旦下って、いよいよ山頂への最後の急登となる。登り切って平らになりその先に立派な避難小屋が見えてきた。と思ったら、その手前の林の中から突然黒いものが立ち上がった。一瞬熊か!と思って驚いたが、用を足して立ち上がった人だった。ここまで全くトレースは無かったので別のルートで登って来た人たちだ。小屋の中では4~5人の人が食事の準備をしていた。おそらく今晩は宴会だろう。小屋に立ち寄らず、山頂に向う。
山頂は聞いていた通りの岩がゴツゴツとした山頂で、西側は鋭く切り立っている。標柱手前の小ピークに古い小屋跡らしき石積みがあり、そこなら一張は張れそうだが、中央部に岩が出っ張っている。標柱のある場所はちょっと厳しいが、その裏側は狭いがなんとか張れそうなスペースがあった。雪を踏み固めてそこにテントを張る。しかしややスペースが足りず、奥の隅は地面につかず15cmほど中に浮いた部分ができてしまう。風が強ければ危険だが、岩の陰なのでさほど風は吹き付けず、寝るには支障ない。テントを張り終えた頃にはもう薄暗くなっていたので、5時ごろだったのだろう。山頂は雲に巻かれてあたりの山は全く見えず、食事をとってさっさと寝ることにした。
夕方6時過ぎ、テントにザーッと何かが当たる音がする。外を見ると小雪が舞ってきた。避難小屋では宴会の真最中らしく、話し声や笑い声が聞こえてくる。果たして、空は晴れてくれるのだろうか?ただ何となく明朝は良い景色が見られそうな・・・そんな予感と期待を抱きつつ、とにかく眠りについた。
オリオン座と冬の大三角形とふたご座流星群 画面下部に縦に流れる筋が流星.山は左が南アルプス,右が八ヶ岳.
オリオン座とふたご座流星群 八ヶ岳の左上に流れる線が流星.肉眼では雲の中を流れる流星がはっきりと見えた.
八ヶ岳とオリオン座 この時間帯がいちばん星空が良く見えたが,ほんの30分ほどだった.
西に傾くオリオン座と冬の大三角形 右が八ヶ岳,左が南アルプス.
未明2時、目覚まし時計をかけたわけでもないが、目が覚める。テントの外に出てみると、雲の切れ間から時々星が見える。まだ雲と霞の多い空で、とても写真になるような空ではなかった。しかし、きっと晴れるに違いない・・・そんな期待を抱きつつ、山頂で雲が切れるのをじっと待つ。午前3時を回った頃、西の空にオリオン座が輝いているのが見え始めた。そして、眼下を覆っていた雲が切れ始め、八ヶ岳が、さらに南アルプスが見えるようになってきた。期待通りに空は晴れてくれた。しかも雲海上の八ヶ岳と南アルプスだ。やはり登ってみるものだ。下界とは全く違う景色がそこには広がる。薄雲が流れ行く空だが、雲の切れ間を見ながらシャッターを切る。雲が多い時は長時間露出で雲海上の八ヶ岳を撮る。2~3個流星が流れるのを見かけたがなかなかタイミングが合わない。その中で、なんとか2カット、オリオン座と一緒に流星が写ってくれた。
東の空から月が昇る.
雲海に浮かぶ朝の八ヶ岳
雲海の彼方の南アルプス
朝日射す山並と浅間山
躍動する雲海と八ヶ岳
やがて東の空が明るくなり、月が昇って来た。そして朝焼けになり、夜明けを迎える。朝になるにつれて空は薄雲がかかりはじめ、星は見えなくなってしまった。しかし、躍動する雲海の上に八ヶ岳と南アルプスは巨大な戦艦のようにどっしりと浮かんでいた。日が昇り、山頂の標識を朝日が燦々と照らしたところで本日の撮影は終了。テントを撤収して下山した。午前11時、無事長者の森駐車場に到着。
夜明けの山頂と私のテント スペースが狭く,左奥隅は宙に浮いている状態.
日の出
3羽ホシガラス
山頂に朝日射す
やはり山の上の景色は最高だ。
アサヨ峰以来、1ヶ月ぶりのまともな山行となる。左手のしびれは相変わらずで、テント等重い荷物を背負うには若干の不安がないわけではない。しかし、16kgの荷物を背負ってみると意外と重さは感じないし、しびれが強くなるわけでもない。これならば、今まで通りに行けそうだ。この日の夜はふたご座流星群が観察できる日だ。御座山(おぐらやま、日本二百名山)からだと、未明に八ヶ岳にオリオン座と冬の大三角形が沈んでゆくはずだ。月も無く、星空と流星群を観察するには好条件だ。
高速道路を使って長坂インターで下り、清里を抜けて小海の手前で右に曲がって相木村へ向う。登り口はいくつもあるのだが、今回はコースが最も良く整備されている長者の森からのコースを歩く。駐車場のすぐ横に登山道を示す看板があるのだが、これを見逃してしまいそのまま直進してしまった。道は林道となり、やがてゲートに突き当たった。地図で確認すると、ここが登り口ではない。引き返すと登山口の看板が目についた。歩き始めたのは11時、順調に行けば4時間くらいで山頂に到着するはずだ。
長者の森の御座山登山口
雪の積もった登山道をひたすら登る
5cmほど雪の積もった木の階段道を黙々と歩く。誰も歩いた様子は無く、あるのは鹿の足跡だけだ。御座山の山頂は岩の露出した場所で、テントを張るのは難しいと聞いていたので、その時は山頂直下の避難小屋に寝ようと思っていた。今夜は1人で静かな避難小屋だろう、とこの時は思っていた。尾根を登りついて傾斜が緩くなると、その先に大きな鉄塔が立っていた。左下に林道が見え、先ほど間違えて入り込んだ林道はこの鉄塔を管理するための道らしい。さらに進むと白岩登山道と合流し、右下には畑らしき広場と道が見える。車も数台停まっているように見えたが、登山者ではないらしく、この先もトレースはなかった。
見晴台 ここで御座山と八ヶ岳方面の展望が180度開ける.
傾斜がきつくなり、雪も増えてきたところで軽アイゼンを装着するが、雪はあったり無かったりでアイゼン無しでも十分に歩けた。見晴台と書かれた標高1,750m地点で視界が開け、御座山山頂と八ヶ岳方面が約180度見渡せるようになる。時間はここで午後2時、ずいぶんと予定より時間がかかっている。前衛峰の先端から一旦下って、いよいよ山頂への最後の急登となる。登り切って平らになりその先に立派な避難小屋が見えてきた。と思ったら、その手前の林の中から突然黒いものが立ち上がった。一瞬熊か!と思って驚いたが、用を足して立ち上がった人だった。ここまで全くトレースは無かったので別のルートで登って来た人たちだ。小屋の中では4~5人の人が食事の準備をしていた。おそらく今晩は宴会だろう。小屋に立ち寄らず、山頂に向う。
山頂は聞いていた通りの岩がゴツゴツとした山頂で、西側は鋭く切り立っている。標柱手前の小ピークに古い小屋跡らしき石積みがあり、そこなら一張は張れそうだが、中央部に岩が出っ張っている。標柱のある場所はちょっと厳しいが、その裏側は狭いがなんとか張れそうなスペースがあった。雪を踏み固めてそこにテントを張る。しかしややスペースが足りず、奥の隅は地面につかず15cmほど中に浮いた部分ができてしまう。風が強ければ危険だが、岩の陰なのでさほど風は吹き付けず、寝るには支障ない。テントを張り終えた頃にはもう薄暗くなっていたので、5時ごろだったのだろう。山頂は雲に巻かれてあたりの山は全く見えず、食事をとってさっさと寝ることにした。
夕方6時過ぎ、テントにザーッと何かが当たる音がする。外を見ると小雪が舞ってきた。避難小屋では宴会の真最中らしく、話し声や笑い声が聞こえてくる。果たして、空は晴れてくれるのだろうか?ただ何となく明朝は良い景色が見られそうな・・・そんな予感と期待を抱きつつ、とにかく眠りについた。
オリオン座と冬の大三角形とふたご座流星群 画面下部に縦に流れる筋が流星.山は左が南アルプス,右が八ヶ岳.
オリオン座とふたご座流星群 八ヶ岳の左上に流れる線が流星.肉眼では雲の中を流れる流星がはっきりと見えた.
八ヶ岳とオリオン座 この時間帯がいちばん星空が良く見えたが,ほんの30分ほどだった.
西に傾くオリオン座と冬の大三角形 右が八ヶ岳,左が南アルプス.
未明2時、目覚まし時計をかけたわけでもないが、目が覚める。テントの外に出てみると、雲の切れ間から時々星が見える。まだ雲と霞の多い空で、とても写真になるような空ではなかった。しかし、きっと晴れるに違いない・・・そんな期待を抱きつつ、山頂で雲が切れるのをじっと待つ。午前3時を回った頃、西の空にオリオン座が輝いているのが見え始めた。そして、眼下を覆っていた雲が切れ始め、八ヶ岳が、さらに南アルプスが見えるようになってきた。期待通りに空は晴れてくれた。しかも雲海上の八ヶ岳と南アルプスだ。やはり登ってみるものだ。下界とは全く違う景色がそこには広がる。薄雲が流れ行く空だが、雲の切れ間を見ながらシャッターを切る。雲が多い時は長時間露出で雲海上の八ヶ岳を撮る。2~3個流星が流れるのを見かけたがなかなかタイミングが合わない。その中で、なんとか2カット、オリオン座と一緒に流星が写ってくれた。
東の空から月が昇る.
雲海に浮かぶ朝の八ヶ岳
雲海の彼方の南アルプス
朝日射す山並と浅間山
躍動する雲海と八ヶ岳
やがて東の空が明るくなり、月が昇って来た。そして朝焼けになり、夜明けを迎える。朝になるにつれて空は薄雲がかかりはじめ、星は見えなくなってしまった。しかし、躍動する雲海の上に八ヶ岳と南アルプスは巨大な戦艦のようにどっしりと浮かんでいた。日が昇り、山頂の標識を朝日が燦々と照らしたところで本日の撮影は終了。テントを撤収して下山した。午前11時、無事長者の森駐車場に到着。
夜明けの山頂と私のテント スペースが狭く,左奥隅は宙に浮いている状態.
日の出
3羽ホシガラス
山頂に朝日射す
やはり山の上の景色は最高だ。