平成21年12月29日 天候晴れ
数年前、甲府市の宮島市長がテレビで甲府五山を訪れてみてほしいと宣伝していたのを見た。五山といってもこれは山ではない。甲府五山とは、長禅寺、能成寺、東光寺、円光院、法泉寺という甲府市北部にある武田氏ゆかりのお寺である。車で回るのは簡単だが、歩くとなると結構な距離がある。愛宕山を挟んで前3者は南~東側、後2者は西側に位置している。愛宕山を越えて歩くとなると、距離約14kmの長丁場(というほどでもないが)、かつ、標高差約200mの愛宕山を越えることになる。以前から歩いてみたいと思っていたのだがなかなか機会が無く、冬休みに入った初日、歩いてみることにした。
ここから出発。私の職場です。
工事中の甲府駅北口と南アルプス。だいぶ歩道は完成してきた。
駅の南東側にある舞鶴城公園。いちばん上の天守閣の部分だが、建物はない。
舞鶴城公園から愛宕山を望む。本日はあの裏側を越えて戻るようにして西に回り込む。
起点になったのは社会保険山梨病院、ここの駐車場に車を止めて(といっても自分の駐車場ですが)いざ出陣。まず甲府駅に向かい折角なので舞鶴城公園の中を通って長禅寺に向う。歴史的なことは何も知らないが、このお寺には三重塔と五重塔が建っている大きなお寺である。
長禅寺の門と甲府五山の標柱。門の向こうに五重塔が見える。
長禅寺の五重塔
そこから20分ほど歩くと能成寺に到着する。途中の道沿いにもいくつかのお寺が立ち並ぶ。どちらかというとモダンな建物の印象を受ける本堂で、横のお墓の道を登って行くと裏側のブドウ畑に出る。このあたりは愛宕山の山腹になり、ブドウ畑の上には新興の分譲地があり、新しいきれいな家が立ち並んでいる。畑の道を少し上に登ると、薮の中を降りられそうな道があり、そこを降りてみると大きな岩があり、その下は階段道になっていた。降りてゆくと鳥居があり、稲荷神社と書かれてあり、ここは天然記念物の大さかきの木が立っている場所だと知った。さかきを見ずに降りてきてしまった。
能成寺参道
能成寺本堂。五山の中では最もモダンな感じがする。
能成寺裏側から甲府盆地を望む
さらに20分ほどで東光寺に到着する。このお寺の本堂はわらぶき屋根でできており、国の重要文化財に指定されている建造物だ。庭園も手入れが行き届いていて美しい。庭園の中にサルスベリのようなちょっと変わった木が植えてあったので、近くにいた庭職人の方に何の木か尋ねたところ、カリンの木だそうだ。カリンの実が枯山水の庭の中にさりげなく置かれていた。
東光寺参道と門
東光寺本堂 国の重要文化財に指定されている。
東光寺の庭園 手入れが行き届いていて美しい。
さて、ここからいよいよ愛宕山越えとなる。大きな車道を歩いて行く手もあるのだが、ここはまだ歩いたことも車で走ったこともない、愛宕山の裏側、茶道峠を通る細い道を歩いてみることにした。道は全面舗装されており、峠の上の方まで人家が建っており、新興住宅地らしく新しい建物が多かった。途中で左に分かれる林道らしき道があり、ひょっとしたら愛宕山まで行けるのかと思って行ってみたのだが、その道はブドウ畑の農道で、行き止まりになっていた。そこからは甲府盆地が一望できる良い景色が望めたが、残念ながら富士山は雲隠れしていた。
間違って入り込んだ農道の終点から見るブドウ畑と甲府盆地の風景
茶道峠 ここは眺望がないが、この手前からは甲府盆地が見える。
茶道峠を越えて反対側に抜けると、甲府盆地の展望が開け、その向うに南アルプスが見えてくる。円光院はもうすぐそこだ。曲がりくねった車道は面倒なので短絡できそうな道があったのでそこを降りてゆくと、水道局の大きな貯水タンクの場所に出た。直下が円光院の墓地になっていて、間もなく円光院に到着した。本堂前の階段のところに立つ大きなさかき(けやき?)の木が出迎えてくれる。円光院には武田信玄の正室、三條婦人のお墓がある。
茶道峠を抜けて反対側から見る甲府盆地と南アルプス。右下の駐車場は円光院。
階段上の大きなサカキ(ケヤキ?にしてはこの時期に葉がついている。)
円光院
時間は既に12時を回り、腹が減ったが本日は町歩きなのでザックの中は飲み物と防寒着(念のためカッパも入れてある)のほかはおやつも含めて食べ物は何も入っていない。護国神社まで歩いたところで神社の前にドリンクの自動販売機があり、おしるこが売っていた。ここでひとまず糖分を補給して、裏道を武田神社に向って歩く。神社東側の駐車場のところに城門の遺跡が出たらしく、大規模な発掘工事が一時行なわれていたが、現在はほぼ終了したらしく、通行できるようになっていた。武田神社の中を通り、できるだけ今まで通ったことのない道を歩くようにして緑ヶ丘運動公園を目指す。
法泉寺の門
法泉寺 ようやく最後のお寺に到着。
大きな通りに出ずに北側の人家の中の道を通って緑ヶ丘運動公園まで行こうとしたのだが、途中で相川という川に突き当たった。上流に橋は見当たらず、下流に向って歩いて行くと、結局は国立甲府病院の前を通って緑ヶ丘に行く大きな道に出てしまった。やや遠回りをしてしまった感がある。目指す最後のお寺、法泉寺は運動公園の北側にある。プールと運動トラックの境目あたりのところに右に行く道があり、法泉寺と書かれた案内板が立っていた。道順に従って歩いて行くと、10分ほどで最後のお寺、法泉寺に到着した。時間は13時25分、約4時間半歩いた(といってもお寺を見ながら休憩しているが)ことになる。このお寺には武田信武、武田勝頼のお墓がある。
テクテクと歩いて緑ヶ丘運動公園に戻り、パスタ屋さんに寄ってようやく昼食となる。初めて立ち寄ったお店だったが、パスタはなかなかうまかった。サラダは400円でボールに山盛り、これだけでもお腹いっぱいになりそうなくらいあった。足はたいした疲れはなかったが、問題なのは履きなれていないトレッキングシューズだった。途中で足の甲が痛かったので靴紐を緩めたところ、今度は足の指先が痛くなってきた。右足裏にはマメができたような嫌な感触と痛みがある。靴底の硬い山岳用トレッキングシューズはアスファルトの跳ね返りの衝撃も強く、足首と膝も若干傷む。病院まではあと20分ほどだ。テクテクと山梨病院に向って歩いて行くと、公園の出口のところで目の前を見慣れた車がブーッと走り抜けていった。帰宅途中の私の妻の車だった。数秒の差で発見してもらえず、結局は病院まで歩くことになる。午後2時半、病院到着。
疲れたというよりも足が痛くてまいった。念願だった甲府五山を歩き、山梨百名山と同じように標柱が立っているところが良かった。年末年始は地元の低山で楽しむことにしている。
今回歩いたコース
数年前、甲府市の宮島市長がテレビで甲府五山を訪れてみてほしいと宣伝していたのを見た。五山といってもこれは山ではない。甲府五山とは、長禅寺、能成寺、東光寺、円光院、法泉寺という甲府市北部にある武田氏ゆかりのお寺である。車で回るのは簡単だが、歩くとなると結構な距離がある。愛宕山を挟んで前3者は南~東側、後2者は西側に位置している。愛宕山を越えて歩くとなると、距離約14kmの長丁場(というほどでもないが)、かつ、標高差約200mの愛宕山を越えることになる。以前から歩いてみたいと思っていたのだがなかなか機会が無く、冬休みに入った初日、歩いてみることにした。
ここから出発。私の職場です。
工事中の甲府駅北口と南アルプス。だいぶ歩道は完成してきた。
駅の南東側にある舞鶴城公園。いちばん上の天守閣の部分だが、建物はない。
舞鶴城公園から愛宕山を望む。本日はあの裏側を越えて戻るようにして西に回り込む。
起点になったのは社会保険山梨病院、ここの駐車場に車を止めて(といっても自分の駐車場ですが)いざ出陣。まず甲府駅に向かい折角なので舞鶴城公園の中を通って長禅寺に向う。歴史的なことは何も知らないが、このお寺には三重塔と五重塔が建っている大きなお寺である。
長禅寺の門と甲府五山の標柱。門の向こうに五重塔が見える。
長禅寺の五重塔
そこから20分ほど歩くと能成寺に到着する。途中の道沿いにもいくつかのお寺が立ち並ぶ。どちらかというとモダンな建物の印象を受ける本堂で、横のお墓の道を登って行くと裏側のブドウ畑に出る。このあたりは愛宕山の山腹になり、ブドウ畑の上には新興の分譲地があり、新しいきれいな家が立ち並んでいる。畑の道を少し上に登ると、薮の中を降りられそうな道があり、そこを降りてみると大きな岩があり、その下は階段道になっていた。降りてゆくと鳥居があり、稲荷神社と書かれてあり、ここは天然記念物の大さかきの木が立っている場所だと知った。さかきを見ずに降りてきてしまった。
能成寺参道
能成寺本堂。五山の中では最もモダンな感じがする。
能成寺裏側から甲府盆地を望む
さらに20分ほどで東光寺に到着する。このお寺の本堂はわらぶき屋根でできており、国の重要文化財に指定されている建造物だ。庭園も手入れが行き届いていて美しい。庭園の中にサルスベリのようなちょっと変わった木が植えてあったので、近くにいた庭職人の方に何の木か尋ねたところ、カリンの木だそうだ。カリンの実が枯山水の庭の中にさりげなく置かれていた。
東光寺参道と門
東光寺本堂 国の重要文化財に指定されている。
東光寺の庭園 手入れが行き届いていて美しい。
さて、ここからいよいよ愛宕山越えとなる。大きな車道を歩いて行く手もあるのだが、ここはまだ歩いたことも車で走ったこともない、愛宕山の裏側、茶道峠を通る細い道を歩いてみることにした。道は全面舗装されており、峠の上の方まで人家が建っており、新興住宅地らしく新しい建物が多かった。途中で左に分かれる林道らしき道があり、ひょっとしたら愛宕山まで行けるのかと思って行ってみたのだが、その道はブドウ畑の農道で、行き止まりになっていた。そこからは甲府盆地が一望できる良い景色が望めたが、残念ながら富士山は雲隠れしていた。
間違って入り込んだ農道の終点から見るブドウ畑と甲府盆地の風景
茶道峠 ここは眺望がないが、この手前からは甲府盆地が見える。
茶道峠を越えて反対側に抜けると、甲府盆地の展望が開け、その向うに南アルプスが見えてくる。円光院はもうすぐそこだ。曲がりくねった車道は面倒なので短絡できそうな道があったのでそこを降りてゆくと、水道局の大きな貯水タンクの場所に出た。直下が円光院の墓地になっていて、間もなく円光院に到着した。本堂前の階段のところに立つ大きなさかき(けやき?)の木が出迎えてくれる。円光院には武田信玄の正室、三條婦人のお墓がある。
茶道峠を抜けて反対側から見る甲府盆地と南アルプス。右下の駐車場は円光院。
階段上の大きなサカキ(ケヤキ?にしてはこの時期に葉がついている。)
円光院
時間は既に12時を回り、腹が減ったが本日は町歩きなのでザックの中は飲み物と防寒着(念のためカッパも入れてある)のほかはおやつも含めて食べ物は何も入っていない。護国神社まで歩いたところで神社の前にドリンクの自動販売機があり、おしるこが売っていた。ここでひとまず糖分を補給して、裏道を武田神社に向って歩く。神社東側の駐車場のところに城門の遺跡が出たらしく、大規模な発掘工事が一時行なわれていたが、現在はほぼ終了したらしく、通行できるようになっていた。武田神社の中を通り、できるだけ今まで通ったことのない道を歩くようにして緑ヶ丘運動公園を目指す。
法泉寺の門
法泉寺 ようやく最後のお寺に到着。
大きな通りに出ずに北側の人家の中の道を通って緑ヶ丘運動公園まで行こうとしたのだが、途中で相川という川に突き当たった。上流に橋は見当たらず、下流に向って歩いて行くと、結局は国立甲府病院の前を通って緑ヶ丘に行く大きな道に出てしまった。やや遠回りをしてしまった感がある。目指す最後のお寺、法泉寺は運動公園の北側にある。プールと運動トラックの境目あたりのところに右に行く道があり、法泉寺と書かれた案内板が立っていた。道順に従って歩いて行くと、10分ほどで最後のお寺、法泉寺に到着した。時間は13時25分、約4時間半歩いた(といってもお寺を見ながら休憩しているが)ことになる。このお寺には武田信武、武田勝頼のお墓がある。
テクテクと歩いて緑ヶ丘運動公園に戻り、パスタ屋さんに寄ってようやく昼食となる。初めて立ち寄ったお店だったが、パスタはなかなかうまかった。サラダは400円でボールに山盛り、これだけでもお腹いっぱいになりそうなくらいあった。足はたいした疲れはなかったが、問題なのは履きなれていないトレッキングシューズだった。途中で足の甲が痛かったので靴紐を緩めたところ、今度は足の指先が痛くなってきた。右足裏にはマメができたような嫌な感触と痛みがある。靴底の硬い山岳用トレッキングシューズはアスファルトの跳ね返りの衝撃も強く、足首と膝も若干傷む。病院まではあと20分ほどだ。テクテクと山梨病院に向って歩いて行くと、公園の出口のところで目の前を見慣れた車がブーッと走り抜けていった。帰宅途中の私の妻の車だった。数秒の差で発見してもらえず、結局は病院まで歩くことになる。午後2時半、病院到着。
疲れたというよりも足が痛くてまいった。念願だった甲府五山を歩き、山梨百名山と同じように標柱が立っているところが良かった。年末年始は地元の低山で楽しむことにしている。
今回歩いたコース